【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、COVID-19に対する各種政策の効果により、景気が持ち直していくことが期待された一方で、為替相場の乱高下、原材料価格の高騰に伴う物価上昇、沈静化が見通せないウクライナ情勢による下振れリスクが高まるなど、依然として厳しい状況となりました。
当社サービスの対象である旅行業におきましては、COVID-19の感染拡大の防止策を講じ、経済活動が正常化に向かいつつある社会情勢を背景に、2022年における出国日本人者数は前年同期比441.1%増の277万人となり、世界的な拡大に伴い実施されていた入国制限については、世界的に緩和・全廃の動きが加速していることを受け特に下半期以降顕著に増加しました。また、訪日外客数も前年同期比1,458.6%増の383万人となっており、9月からの外国人観光客向け添乗員なしパッケージツアーの受入再開、ワクチン接種者に対する陰性証明書提示義務の廃止等もあり、2022年12月の訪日外客数は1,370千人と、2年10か月ぶりに百万人を上回りました。(出典:日本政府観光局(JNTO))。
そのような事業環境のもと、当社グループは、従来より現地体験ツアー専門のOTA(オンライン・トラベル・エージェント)企業として、(1)主に日本人の海外旅行向けのサービスを提供する「海外旅行部門」、(2)訪日旅行者向けのサービスを提供する「インバウンド部門」、(3)グローバルな旅行者向けに世界各地のサービスを提供する「グローバル部門」に組織編成しておりましたが、COVID-19の影響をうけて、2020年5月において、「インバウンド部門」の一部である中華圏事業(中国語サイト)及び「グローバル部門」の一部であるグローバル事業(ベルトラ英語サイト)を閉鎖しております。このような事業環境のもと、各国に発出していた感染症危険情報レベルの引き下げが行われ、日本における新型コロナウイルス感染症の水際対策緩和への動きとして、1日当たりの入国者数上限が撤廃されるなど、海外渡航再開の兆しがみられました。また日本国内においても国の観光支援である「県民割・ブロック割」により、全国規模でマイクロツーリズム需要が高まりをみせるなど、国内外における旅行需要が大幅に回復傾向にしつつある状況となっております。
この結果、当連結会計年度の営業収益は1,163,530千円(前年同期比136.2%増)となりました。なお、営業収益を収益区分別にみますと、OTA事業が986,624千円(前年同期比183.2%増)、観光IT事業が176,906千円(前年同期比22.7%増)となりました。
利益につきましては、COVID-19の全世界的な感染拡大が顕在化した2020年3月以降、全社的なコスト見直しを行い、広告宣伝費の大幅な削減、役員報酬の減額、従業員の休業対応などの徹底的なコストコントロールに努めておりますが、予約数の増加により下半期以降営業収益が回復したものの、営業損失は794,711千円(前年同期1,098,144千円の営業損失)、経常損失は753,928千円(前年同期1,104,121千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は794,447千円(前年同期1,157,363千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
なお、当社グループは、旅行関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
② 財政状態の状況
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は3,678,951千円と、前連結会計年度末比2,264,485千円増加しました。これは主に、現金及び預金が1,601,989千円増加、営業未収入金が705,354千円増加したことによるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は372,992千円と、前連結会計年度末比82,861千円減少しました。これは主に、ソフトウェアが140,806千円減少したことによるものです。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は2,670,745千円と、前連結会計年度末比1,979,660千円増加しました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が25,019千円減少した一方で、短期借入金が500,000千円、営業未払金が997,952千円、前受金が385,580千円それぞれ増加したことによるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は66千円と、前連結会計年度末比3,491千円減少しました。これは主に、その他固定負債が3,491千円減少したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は1,381,132千円と、前連結会計年度末比205,454千円増加しました。これは主に、新株の発行による資本金の増加484,903千円及び資本剰余金の増加474,926千円、利益剰余金793,483千円の減少によるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の残高は、前連結会計年度末より1,601,989千円増加し、2,799,164千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果増加した資金は146,317千円(前連結会計年度は677,737千円の支出)となりました。これは主に、減価償却費188,253千円、仕入債務の増加984,427千円及び前受金の増加376,262千円などの増加要因と、売上債権の増加697,521千円や税金等調整前当期純損失739,873千円などの減少要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果減少した資金は58,705千円(前連結会計年度は43,531千円の支出)となりました。これは、匿名組合からの入金50,970千円の増加要因と、固定資産の取得による支出109,675千円の減少要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果増加した資金は1,439,685千円(前連結会計年度は970,023千円の収入)となりました。これは主に、短期借入金の増加500,000千円や株式の発行による収入965,500千円の増加要因によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループは、概ね受注から役務提供までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは旅行関連事業の単一セグメントであるため、収益区分別に記載しております。
収益区分
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
営業収益(千円)
前年同期比(%)
OTA事業
986,624
183.2
観光IT事業
176,906
22.7
合計
1,163,530
136.2
(注)主要な販売先については、総販売実績に対する割合が100分の10以上に該当する相手がいないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。なお、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(営業収益)
営業収益は、1,163,530千円(前年同期比136.2%増)となりました。
なお、営業収益を収益区分別にみますと、OTA事業部門が986,624千円(前年同期比183.2%増)、観光IT事業部門が176,906千円(前年同期比22.7%増)となりました。
(営業費用及び営業損益)
営業費用は、1,958,241千円(前年同期比23.1%増)となりました。主な要因は、営業収益増加に伴うカード決済手数料の増加、今後の旅行需要の回復を見越しての人員増加による人件費及び広告宣伝費の増加によるものであります。これらの結果、営業損失は794,711千円(前年同期1,098,144千円の営業損失)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常損益)
営業外収益は56,484千円(前年同期比3.8%減)、営業外費用は15,702千円(前年同期比75.7%減)となりました。これは主に、株式交付費の減少などによるものであります。これらの結果、経常損失は753,928千円(前年同期1,104,121千円の経常損失)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
法人税等合計は61,959千円(前年同期比67.6%増)となりました。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純損失は794,447千円(前年同期1,157,363千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
③ 当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、広告宣伝費や人件費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は基幹システムの開発・改良等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。COVID-19収束後の市場回復期における事業成長のための投資を維持しながら、財務基盤の健全化を図る目的で発行した新株予約権の行使により、955,743千円を調達することで資本を増強いたしました。また、主要取引銀行と総額16億円の当座貸越契約の継続を行っておりますが、引続き、主要取引銀行との関係を維持しつつ、継続的に支援いただくための協議を行い、財務基盤の安定化に努めてまいります。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は500,000千円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,799,164千円となっております。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」で述べましたとおり、当社グループでは、営業収益成長率並びに営業利益率を重要な指標としております。当連結会計年度における営業収益成長率はプラス136.2%でありますが、営業損失の計上となりました。
引き続きこれらの指標の改善について取り組んでまいります。
⑤ 当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」で述べましたとおり、COVID-19の感染拡大の影響、人為災害、テロ、戦争等や、技術革新、システム障害、為替変動等が、経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
従いまして、当社グループは常に市場動向や各国の政情等に留意しつつ、内部管理体制を強化するとともに優秀な人材を確保し、顧客のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、上記のような経営成績に重要な影響を与えるリスクを低減してまいります。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
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