【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、ウィズコロナの下で行動制限が緩和された結果、個人消費や雇用情勢は持ち直しているものの、消費者物価は上昇を続けており、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクがあるほか、ウクライナ情勢の先行きが極めて不透明であることから、本格的な景気の回復にはしばらく時間を要するものと思われます。
当社グループにおける出版物・雑貨等の輸出事業は、音楽ソフトが前年並みの売上を維持、文具・雑貨類は既存の顧客に加え新規開拓もできたことから売上伸長、北米を中心とする図書館向け学術書の受注も増加しましたが、海賊版の影響で日本語学習書販売が失速し、微増収に留まりました。また、洋書・メディアの輸入事業は、英語学習書が前年並みを維持、日本語学習書は行動制限の緩和により留学生が増加していることに伴い好調に推移、K-POPは旧譜がやや不調であったものの新譜の好調が補い売上増となりましたが、洋楽の不振が深刻で減収となりました。加えて、海外子会社は、海賊版の影響で日本語学習書販売は不振でありましたが、文具に関しては既存顧客からの受注は堅調に推移し新規顧客の開発も進んだことから売上増、玩具類も既存顧客向けの受注が好調に推移し、マイルストーンとしている連結売上100億円を今年度も超えることができました。
利益面では、本社建替えに伴う不動産収入の減少、賃借料の急増、待遇改善を目的とした給与、賞与の引き上げに伴う人件費増などにより経費が増加しましたが、原価率の低い商品群の比率が相対的に高まったことに加え、原価率の高い商品群の一部に対し原価低減の施策を講じたことから売上総利益率が向上し、売上総利益額の増加が経費の増加を上回ったことから、営業利益は増益となりました。
営業外損益に大きく影響を与える為替につきましては、前連結会計年度が3千6百万円の為替差益であったのに対し、当連結会計年度は下半期に若干円高に進んだことから、2千9百万円の為替差益の計上、営業外損益においてはマイナス要因となり、経常利益を押し下げました。
また、本社建替えに伴う移転費用等を特別損失として計上しましたが、前年の本社建替えに伴う諸費用等に比べ少額となったため、親会社株主に帰属する当期純利益は増益となりました。
その結果、当連結会計年度の売上高109億9百万円(前連結会計年度比1.6%増)、営業利益4億3千1百万円(前連結会計年度比8.3%増)、経常利益4億5千8百万円(前連結会計年度比1.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2億4千8百万円(前連結会計年度比163.7%増)となりました。
事業の種類別セグメントの業績は以下のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、従来「メディア事業」に含めていたEC関連の洋書売上を「洋書事業」に含めることにいたしました。
また、当連結会計年度より、従来「その他」の区分に含まれていた「海外子会社事業」について量的重要性が増したため、報告セグメントとして記載する方法に変更しております。
なお、当連結会計年度の比較情報として開示した前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の報告セグメントにより作成しており、前連結会計年度に開示した報告セグメントとの間に相違が見られます
(出版物・雑貨輸出事業)
音楽ソフトにつきましては、北米向けにはやや受注減となったものの、東アジア、ヨーロッパ向けには受注増となり、全体としては前年並みの売上となりました。文具、雑貨はメーカーとのタイアップが深化しつつあり、既存顧客に加え、新規顧客の開発も進みました。北米を中心とする大学図書館からの細かい要望に応えて受注増となったものの、海賊版の影響を受け日本語学習書販売が失速し、微増収に留まりました。
利益面では、原価率の高い販売チャネルの原価率改善に取り組み原価率は改善、経費は移転に伴う賃借料の急増、移転に伴う設備投資費用の増加、給与・賞与引き上げに伴う人件費増などの要因により増加したものの、増収に加え、原価率改善の効果も寄与し、営業利益は増加いたしました。
その結果、当部門の売上高は22億1千5百万円(前連結会計年度比0.9%増)、営業利益は1億7千2百万円(前連結会計年度比20.2%増)となりました。
(洋書事業)
新学期に向けた英語学習書販売につきましては、オンライン授業から対面授業に戻りつつあるものの、英語学習書を利用する授業の減少に歯止めはかかっていない印象で、足踏み状態が続いております。ただ、入国規制が緩和されてきているため、留学生向けの日本語学習書の受注は大きく回復いたしました。代理店を務める科学誌の売上減少に歯止めがかからないマイナス要因もありましたが、メディア事業から移管した売上が大きく寄与、オンライン英会話の生徒数拡大なども貢献し、増収となりました。
利益面では、原価率の高い販売チャネルの相対的なシェアが高まった結果、原価率は悪化したものの売上総利益額は増加、経費は移転に伴う賃借料の急増、移転に伴う設備投資費用の増加、給与・賞与引き上げに伴う人件費増などの要因により増加したものの、増収の効果が大きく、営業利益は増加いたしました。
その結果、当部門の売上高は33億2千3百万円(前連結会計年度比36.2%増)、営業利益は8千3百万円(前連結会計年度比116.5%増)となりました。
(メディア事業)
主力商材である輸入CDにつきましては、K-POPが旧譜の受注が低迷したものの、新譜の受注が好調に推移しK-POP全体としては売上増となりましたが、洋楽の新譜発売が激減しており受注も極めて不振に終わりました。代理店商品の受注は好調、ワゴンセールを中心とした催事事業も堅調でありましたが、売上の一部を洋書事業に移管した影響も大きく、減収となりました。
利益面では、原価率は前年並みを維持、経費は移転に伴う賃借料の急増、移転に伴う設備投資費用の増加、給与・賞与引き上げに伴う人件費増などの要因がある中、売上移管に伴う費用の移転、人員の適正配置などで削減を図ったものの、減収の影響は大きく営業利益は減少いたしました。
その結果、当部門の売上高は40億4千6百万円(前連結会計年度比20.3%減)、営業利益は1億6千2百万円(前連結会計年度比26.2%減)となりました。
(海外子会社事業)
海賊版の影響で日本語学習書販売は不振でありましたが、文具に関しては既存顧客からの受注は堅調に推移し新規顧客の開発も進んだことから売上増、玩具類も既存顧客向けの受注が好調に推移しました。利益の貢献度が低かったハワイの小売店を昨年8月に閉店、この閉店により海外子会社で小売店を運営しているところはなくなりました。今後は卸売事業に経営資源を集中してまいります。
利益面では、原価率は前年並みを維持、経費は給与・賞与引き上げ及び営業力強化を目的とした人員増により人件費が増加、売上増に比例した変動費の増加などの要因もありましたが、増収の効果に加えて円安効果も重なり、営業利益は増加いたしました。
その結果、当部門の売上高は12億9千3百万円(前連結会計年度比36.3%増)、営業利益は9千7百万円(前連結会計年度比77.9%増)となりました。
(不動産賃貸事業)
本社でのテナント事業は、建替えに向けてテナントの退出が相次いでおり、減収、減益となっております。なお、12月をもってすべてのテナントの退出が完了いたしました。1月より解体工事に入りました。
その結果、当部門の売上高は3千万円(前連結会計年度比58.3%減)、営業利益は4百万円(前連結会計年度比89.8%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は1億1千3百万円増加(前連結会計年度は7千8百万円の資金の増加)し、当連結会計年度は9億3千1百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の減少は3千2百万円(前連結会計年度は4億3千7百万円の資金の増加)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益3億6千4百万円を計上し、前渡金が5千万円、棚卸資産が9千9百万円それぞれ減少し、仕入債務が3億6千万円減少したことに加え法人税等の支払い1億7千1百万円を行ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は6千8百万円(前連結会計年度は1億2千2百万円の資金の減少)となりました。
これは主に有形固定資産の取得に6千3百万円、無形固定資産の取得に2百万それぞれ支出したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の増加は1億8千2百万円(前連結会計年度は2億4千7百万円の資金の減少)となりました。
これは主に資金の安定化を図るため長期借入2億4千4百万円(純増)を行ったこと及びリース債務の返済4千1百万円を行ったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(a)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前年同期比(%)
出版物・雑貨輸出事業
2,215,030
100.89
洋書事業
3,323,844
136.17
メディア事業
4,046,066
79.68
不動産賃貸事業
30,267
41.65
海外子会社事業
1,293,881
136.29
合計
10,909,090
101.61
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりで
あります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
アマゾン・ドット・コム インターナショナル セールス インク
2,848,002
26.53
2,531,775
23.21
丸善雄松堂株式会社
1,074,067
10.00
1,111,002
10.18
(b)受注実績
当社グループは取次を主体とした営業を行っており、顧客が不特定多数であり、かつ注文から販売に至るまでの日数も短期間であるため、記載を省略しております。
(c)仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前年同期比(%)
出版物・雑貨輸出事業
2,229,355
94.86
洋書事業
2,797,086
144.81
メディア事業
3,619,270
79.80
海外子会社事業
776,098
112.18
合計
9,421,810
99.09
(注)1.不動産賃貸原価は23,792千円であります。
2.金額は仕入価格によっておりセグメント間の内部振替前の数値によっております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1億円増加し71億9千3百万円となりました。
これは主に流動資産で現金及び預金が1億1千3百万円、固定資産でリース資産が1億3千6百万円増加した一方、前渡金が5千万円、商品が6千1百万円減少したことが要因です。
(負債)
当連結会計年度の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1億9千6百万円減少し、50億5千9百万円となりました。
これは主に流動負債で買掛金が3億3千2百万円、未払法人税等が7千5百万円、返金負債が4千1百万円減少した一方、長期借入金が2億3千3百万円増加したことが要因です。資金の安定化を図るため借入金が増加しております。
(純資産)
当連結会計年度の純資産合計は21億3千4百万円となり前連結会計年度末に比べ2億9千7百万円増加しております。
親会社株主に帰属する当四半期純利益の計上により利益剰余金が2億4千8百万円増加した一方、配当金の支払いにより利益剰余金が2千万円減少しております。
以上の結果、自己資本比率は29.7%(前連結会計年度末は25.9%)となり3.8ポイント増加しております。
経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は109億9百万円(前連結会計年度比1.6%増)となり、前連結会計年度と比べ1億7千2百万円増加いたしました。セグメント別の売上高については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は19億5千4百万円(前連結会計年度比9.7%増)となり、前連結会計年度と比べ1億7千3百万円増加いたしました。売上総利益率は前連結会計年度と比べ1.3ポイント増加し、17.9%となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は4億3千1百万円(前連結会計年度比8.3%増)となり、前連結会計年度と比べ3千3百万円増加いたしました。営業利益率については販売費及び一般管理費が前連結会計年度と比べ1億4千万円増加しましたが、前連結会計年度と比べ0.3ポイント増加し、4.0%となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における経常利益は4億5千8百万円(前連結会計年度比1.2%増)となり、前連結会計年度と比べ5百万円増加いたしました。営業外収益は3千9百万円(前連結会計年度比38.0%減)となり、前連結会計年度と比べ2千3百万円減少いたしました。営業外費用は1千1百万円(前連結会計年度比49.1%増)となり、前連結会計年度と比べ3百万円増加いたしました。
(税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は3億6千4千万円(前連結会計年度比203.3%増)となり、前連結会計年度と比べ2億4千4百万円増加いたしました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は2億4千8百万円(前連結会計年度比163.7%増)となり、前連結会計年度と比べ1億5千4百万円増加いたしました。法人税等は1億1千6百万円(前連結会計年度比346.7%増)となり、9千万円増加いたしました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資産の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要については、事業活動に必要な仕入・人件費・外注費、受注のための販促費・運営管理費等が主な内容であリます。
今後も新規事業開発・商材開発等に投資を継続し、市場環境や受注動向を踏まえ、有効かつ適正な投資活動を進めて参ります。
資金の源泉は、営業活動によるキャッシュ・フローにより資金を調達することを主としております。取引銀行とは当座貸越契約を締結しており、一時的な不測の事態への資金確保については十分であると認識しております。投資活動にかかる資金は内部資金および借入金により調達しております。
当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は13億3千万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は9億3千1百万円となっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたっては、財政状態、経営成績に影響を与える見積り予測を使用することが必要であります。当社グループは、過去の実績値や最新の入手可能な信頼のおける情報に基づき、見積り・予測を行っております。しかしながら、これらの見積り・予測は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
新型コロナウイルス感染症の影響については、一定期間続く仮定を前提条件として当社グループが把握している情報に基づいて会計上の見積りを算出しておりますが、収束時期等により、財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす場合には、経営者の判断のもと合理的に会計上見積りの再評価を行います