【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績の状況当第2四半期における医療用医薬品市場は、2023年4月に中間年の薬価改定が実施されるなど引き続き医療費抑制策の影響を受けました。医療用医薬品の供給状況については、解熱鎮痛剤や後発医薬品を中心とした出荷調整が継続しております。また、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行となり、社会経済活動の正常化が進む一方で、例年より早いインフルエンザの流行や新型コロナウイルス感染症の再拡大などがみられ、当該市場は引き続き先行き不透明な状況が継続しております。このような状況のもと、当社グループは本年5月に2023年からの3カ年を期間とする中期経営計画2023-2025「次代を創る」を公表いたしました。医療・健康・介護分野に携わる企業集団として、この先に広がる次代においても、医療機関・患者さまをはじめとするステークホルダーへの付加価値の提供や社会への貢献を行うことが当社グループの使命と考えております。当中期経営計画の3カ年はその使命を確実に遂行していくための基盤創りの期間と位置付け、(1)事業変革、(2)成長投資・収益性向上、(3)サステナビリティ経営、(4)資本効率の改善と株主還元の向上、の4つを基本方針として掲げ、積極的なアライアンスやDXの導入などにより具体的施策をスピード感を持って実行しております。事業変革においては、具体的施策の一つとして掲げている「卸売事業の変革」を推進するため、7月に連結子会社の東邦薬品株式会社において営業部門を中心に大幅な組織変更を行い、地域に根ざした取り組みを推進するため二次医療圏をベースとした組織に再編いたしました。医薬と検査薬の融合や、事業所の統廃合、MS/EMSの役割の明確化による営業と配送の効率化も進めております。また、積極的なアライアンスにより最先端技術の導入や当社独自の顧客支援システムをはじめとする様々な機能との融合を図る取り組みも推進しております。国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)と今年4月に連携研究ラボを設立し、当社グループの出向研究員8名と社内研究員16名が医療アクセスの課題解決や新しい技術・システム・サービスの社会実装に向けて、共同研究に取り組んでおります。また、今年9月にはオンライン医療事業や臨床開発デジタルソリューション事業等を展開する、株式会社MICINと資本業務提携を行いました。当社グループの医薬品卸売、調剤薬局、顧客支援システム等の各事業とMICINが展開する各事業において協業シナジーが期待でき、ヘルスケア領域における様々な課題の解決に貢献するとともに、中長期的な企業価値の向上に資するものと考えております。さらに、製薬会社等の参画を得て発足させた「BCP体制構築検討会」において、「医薬品供給における事業継続計画に関する提言書」を取りまとめるとともに、陸上自衛隊と南海トラフ巨大地震を想定した協同防災訓練を実施するなど、サプライチェーン全体での事業継続計画を確立すべく取り組みを進めております。当第2四半期の連結業績は、売上高734,846百万円(前年同期比7.8%増)、営業利益6,492百万円(前年同期比11.3%増)、経常利益7,945百万円(前年同期比7.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益8,782百万円(前年同期比144.1%増)となりました。なお、第1四半期連結会計期間より、従来営業外収益として計上していた情報提供料収入等を売上高に含めることといたしました。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の情報提供料収入等についても売上高に組替えを行っております。
セグメントの業績の概略は以下のとおりです。医薬品卸売事業においては、当初新型コロナウイルス関連製品の大幅な売上減少を見込んでおりましたが、第9波ともいわれる感染拡大に伴い治療薬の売上が拡大し、期初計画を大きく上回って推移しました。また、がん治療薬をはじめとする新薬の市場伸長や、スペシャリティ医薬品をはじめとする、取扱卸を限定する製品の販売が順調に拡大したことなどが、売上に寄与いたしました。医療機関との価格交渉においては流通改善を推進すべく、個々の製品価値と流通コストに見合った単品単価交渉に努めました。顧客支援システムについてはENIFvoiceSPの導入や、ENIFからFutureENIFへの切り替えが進み、利益の底上げに貢献いたしました。これらの取り組みの結果、当第2四半期の医薬品卸売事業の売上高は709,414百万円(前年同期比8.0%増)、セグメント利益(営業利益)は6,811百万円(前年同期比34.0%増)となりました。調剤薬局事業においては、採算性を重視した新規開局と閉局を推進しております。また、デジタル化への対応を進めるため、処方箋送信機能と電子お薬手帳を備えたポータルアプリ「共創未来 薬局けんこうナビ」を開発いたしました。さらに、在宅医療への貢献に向けた変革を推進するため、在宅専門診療所との連携強化に取り組みました。当第2四半期の業績は地域支援体制加算の経過措置が終了したことによる技術料への影響はあったものの、患者さまの受診抑制の回復に伴い処方箋応需枚数が増加したことなどにより、売上高は46,598百万円(前年同期比3.3%増)、セグメント利益(営業利益)は895百万円(前年同期比1.9%増)となりました。医薬品製造販売事業においては、自社で構築した独自の検証システムに基づく徹底した品質管理と、計画的な生産体制の構築により、高品質・高付加価値な医薬品の安定供給に取り組み、売上高は5,164百万円(前年同期比6.7%増)、セグメント利益は436百万円(前年同期比8.6%減)となりました。その他周辺事業においては、売上高は2,978百万円(前年同期比10.0%減)、セグメント利益(営業利益)は139百万円(前年同期比43.1%減)となりました。(注)セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高を含んでおります。
(2)財政状態の状況(資産)流動資産は、前連結会計年度末に比べて16.3%増加し、620,393百万円となりました。これは、現金及び預金が51,652百万円、受取手形及び売掛金が38,349百万円それぞれ増加し、商品及び製品が2,975百万円減少したこと等によります。固定資産は、前連結会計年度末に比べて0.4%減少し、180,986百万円となりました。これは、有形固定資産が1,651百万円減少したこと等によります。この結果、資産合計は、前連結会計年度末に比べて12.0%増加し、801,379百万円となりました。(負債)流動負債は、前連結会計年度末に比べて14.2%増加し、502,754百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が80,543百万円増加し、1年内償還予定の社債が20,003百万円減少したこと等によります。固定負債は、前連結会計年度末に比べて66.2%増加し、53,483百万円となりました。これは、社債が22,103百万円増加したこと等によります。この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて17.8%増加し、556,237百万円となりました。(純資産)純資産合計は、前連結会計年度末に比べて0.9%増加し、245,142百万円となりました。これは、利益剰余金が7,734百万円増加した一方、自己株式が5,971百万円増加したこと等によります。
(3)キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較し51,676百万円増加しました。その結果、当第2四半期連結累計期間末の資金残高は133,516百万円(前年同期比35,660百万円増加)となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果獲得した資金は、53,933百万円(営業活動によるキャッシュ・フローが前年同期比43,240百万円増加)となりました。これは、資金増加要因として、税金等調整前四半期純利益13,029百万円を計上、減価償却費3,098百万円、棚卸資産の減少額3,237百万円、仕入債務の増加額79,022百万円がありましたが、資金減少要因として、売上債権の増加額36,996百万円、法人税等の支払額4,765百万円があったこと等によるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果獲得した資金は、3,515百万円(投資活動によるキャッシュ・フローが前年同期比3,923百万円増加)となりました。これは、資金増加要因として、投資有価証券の売却及び償還による収入6,977百万円がありましたが、資金減少要因として、有形固定資産の取得による支出966百万円、無形固定資産の取得による支出792百万円、投資有価証券の取得による支出1,955百万円があったこと等によるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、5,775百万円(財務活動によるキャッシュ・フローが前年同期比2,814百万円減少)となりました。これは、資金増加要因として、社債の発行による収入22,110百万円がありましたが、資金減少要因として、長期借入金の返済による支出1,335百万円、社債の償還による支出20,000百万円、自己株式の取得による支出6,001百万円があったこと等によるものであります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は366百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)主要な設備前連結会計年度末において計画中であった九州東邦㈱の豊前営業所移転のための新設につきましては、2023年6月に完了しております。