【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済については、米中貿易摩擦の長期化を背景に、製造業を中心に減速傾向に推移してきた中で、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響を受け経済活動は大きく制限され景気が急速に悪化しております。
日本経済については、外需が低迷するも内需が牽引し雇用・所得環境に改善傾向がみられていましたが、自然災害や消費増税後における消費マインドの悪化、加えて新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け厳しい状況になっております。
このような経済情勢下、当社グループにおきましては、中国での商品販売や電子部材向けが低調に推移したことなどにより売上高につきましては118億69百万円(前年同期比9億1百万円、7.1%減)となりました。新型コロナウイルスの感染拡大を受け中国への輸出などに影響が生じています。損益面につきましては、減収に加え、設備投資による償却負担の増加、運送費の増加などにより営業利益は1億14百万円(前年同期比3億99百万円、77.7%減)、経常利益は、為替差損が発生したものの受取保険金などにより2億79百万円(前年同期比3億70百万円、57.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、新型コロナウイルス感染拡大を懸念した株式市場混乱による株価下落の影響を受け投資有価証券評価損が発生したことなどにより1億17百万円(前年同期比2億87百万円、71.0%減)となりました。
今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルスの影響が拡大しており、世界経済も先行きが不透明な状況が続いております。このような状況から、次期の業績予想は現時点では合理的に算定することが困難であると判断し未定といたします。なお、合理的な算定が可能となった時点で速やかに公表いたします。
財政状態の状況につきましては、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ7億75百万円増加し154億58百万円となりました。これは主に現金及び預金が12億79百万円、投資有価証券が4億2百万円増加し、受取手形及び売掛金が8億68百万円、有形固定資産48百万円減少したことなどによるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ5億92百万円増加し65億17百万円となりました。これは主に長期借入金が13億29百万円増加し、短期借入金が2億55百万円、支払手形及び買掛金が1億87百万円、未払金が2億34百万円減少したことなどによるものであります。
純資産につきましては前連結会計年度末に比べ1億82百万円増加し89億40百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ10億71百万円増加し26億94百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は13億79百万円で、これは主に税金等調整前当期純利益1億88百万円、減価償却費7億27百万円、売上債権の減少8億59百万円などによる資金増加に対して、たな卸資産の増加1億14百万円、仕入債務の減少1億49百万円、未払金の減少1億7百万円などによる資金減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は12億円で、これは主に定期預金の預入による支出2億77百万円、有形固定資産の取得8億98百万円、投資有価証券の取得1億56百万円などの支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果増加した資金は9億1百万円で、これは主に長期借入金16億50百万円の収入に対して、長期借入金の返済5億75百万円、配当金の支払68百万円、自己株式の取得96百万円などの支出によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度におけるグループ生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目
当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
化合炭酸カルシウム(百万円)
4,836
94.3
重質炭酸カルシウム(百万円)
982
100.4
その他(百万円)
6
101.4
合計(百万円)
5,824
95.2
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
製品について見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度におけるグループ販売実績をグループ内での製造品・グループ外からの購入品の別及び品目別に示すと、次のとおりであります。
品目
当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
化合炭酸カルシウム(百万円)
4,794
92.9
グループ内
重質炭酸カルシウム(百万円)
982
100.3
製造品
その他(百万円)
6
101.4
小計(百万円)
5,783
94.1
化合炭酸カルシウム(百万円)
179
95.7
グループ外
重質炭酸カルシウム(百万円)
2,443
102.0
購入品
その他(百万円)
3,463
85.7
小計(百万円)
6,086
91.9
合計(百万円)
11,869
92.9
(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度におけるグループ販売実績を用途別に示すと、次のとおりであります。
用途
当連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
前年同期比(%)
合成樹脂(百万円)
5,229
94.5
塗料(百万円)
2,966
90.4
輸出(百万円)
1,177
86.6
食品・飼料(百万円)
771
101.0
ゴム(百万円)
705
95.2
その他(百万円)
1,019
93.3
合計(百万円)
11,869
92.9
(注)1.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が10%以上の相手先がないため記載を省略しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、期初予想に対し売上高は、6億30百万円減(5.0%減)となりました。営業利益は1億55百万円減(57.6%減)、経常利益は1億10百万円減(28.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1億32百万円減(53.1%減)となりました。
売上高につきましては、米中貿易摩擦の影響により中国での商品販売や輸出などが低調に推移したことが主な減少要因です。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け中国への輸出などにも影響がでました。利益面につきましては、減収に加え、投資有価証券評価損が発生するなどしたことにより減益となりました。
第73期につきましては、電子部材用途製品等の生産合理化及び品質向上などを意図して、設備投資を5億15百万円(第72期比2億49百万円減)実行する予定です。
運転資金、設備投資資金等につきましては、自己資金又は金融機関からの借入による資金調達をすることにしております。
中長期の目標経営指標としましては、自己資本当期純利益率(ROE)8%を目指しております。当期は1.4%(前期5.0%)であり、上記に記した施策にて更なる収益構造の改善に努める所存です。
②資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主な資金需要は、原材料や商品の仕入、製造費、販売費及び一般管理費などの運転資金並びに設備投資資金であります。また、これらの主な資金調達としては、営業活動によるキャッシュ・フローなどの自己資金や金融機関からの借入によっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産・負債及び収益・費用などの報告数値に影響を与える会計上の見積りを行っております。
採用した重要な会計方針及び見積りは、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく、将来の業績予測などの見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、現時点で入手可能な情報に基づき見積っております。
(繰延税金資産)
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。なお、当該課税所得を見積るにあたって、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提条件や仮定に変更が生じ減少した場合には、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。