【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済については、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響により景気は大きく落ち込み、その後一時持ち直しに転じましたが、2020年10月以降、感染拡大ペースが再加速し世界経済の回復ペースは鈍化しております。欧州では断続的なロックダウンの影響で景気の落ち込みが他の先進諸国よりも大きく、一方中国は他国に先駆けて新型コロナウイルス感染拡大を封じ込め比較的順調に持ち直し、米国経済は新型コロナウイルス感染拡大が高水準で続く中でも株高などを背景に持ち直しております。
日本経済については、各種政策や海外経済の改善により回復局面にありましたが、依然として感染拡大は収束せず、「緊急事態宣言」等により一定の経済活動抑制を余儀なくされており、先行きが不透明な状況になっております。
このような情勢下、当社グループにおきましては、新型コロナウイルス感染防止策を徹底し、販路開拓と安定供給に努めて参りました。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け建築資材向け、自動車向けなどが低調に推移しておりましたが、下半期に中国が景気回復したことや自動車などが好調に推移したことにより売上高につきましては108億44百万円(前年同期比10億25百万円、8.6%減)となりました。損益面につきましては、売上高が回復したことで上半期に比し工場稼働率が上昇し、加えてコスト削減に努めた結果、営業利益1億51百万円(前年同期比37百万円、32.7%増)、経常利益3億6百万円(前年同期比27百万円、9.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1億79百万円(前年同期比62百万円、53.4%増)となりました。
今後の経済見通しにつきましては、欧米では新型コロナウイルス感染症対策ワクチンの接種が進んでおり、景気回復が見込まれますが、東シナ海を巡る米中対立など、貿易や金融にも影響をおよぼす可能性があります。日本経済については消費者物価指数の上昇率は前年比マイナスで推移しており、消費の回復ペースは新型コロナウイルスをめぐる動向次第とみられ、依然として不透明な状況は続くと思われます。次期の見通しにつきましては、売上高は110億円(前年同期比2億98百万円、2.8%増)と増収を見込んでおります。損益面につきましては、コスト削減の努力をいたしますが、原料燃料費上昇傾向の懸念があり、営業利益は1億10百万円(前年同期比41百万円、27.6%減)、経常利益は2億10百万円(前年同期比96百万円、31.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1億30百万円(前年同期比49百万円、27.7%減)と見込んでおります。
なお、2022年3月期の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用するため、上記の連結業績の見通しは当該会計基準等を適用した後の金額となっており、対前期増減率については、2021年3月期に当該会計基準等を適用したと仮定して算定した増減率を記載しております。
財政状態の状況につきましては、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ11億37百万円増加し165億96百万円となりました。これは主に現金及び預金が3億99百万円、投資有価証券が10億56百万円増加し、有形固定資産が3億66百万円減少したことなどによるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ2億70百万円増加し67億87百万円となりました。これは主に短期借入金が1億8百万円、未払法人税等が54百万円、繰延税金負債が3億3百万円増加し、長期借入金が2億49百万円減少したことなどによるものであります。
純資産につきましては前連結会計年度末に比べ8億67百万円増加し98億8百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3億40百万円増加し30億35百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は10億75百万円で、これは主に税金等調整前当期純利益2億78百万円、減価償却費6億80百万円、仕入債務の増加13百万円などによる資金増加に対して、売上債権の増加8百万円、たな卸資産の増加64百万円などによる資金減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は4億31百万円で、これは主に定期預金の払戻92百万円の収入に対して、定期預金の預入1億46百万円、有形固定資産の取得3億63百万円などの支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は3億6百万円で、これは主に短期借入金の純増額1億8百万円の収入に対して、長期借入金の返済2億49百万円、配当金の支払67百万円、自己株式の取得78百万円などの支出によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度におけるグループ生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
化合炭酸カルシウム(百万円)
4,501
93.1
重質炭酸カルシウム(百万円)
888
90.5
その他(百万円)
4
66.2
合計(百万円)
5,394
92.6
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
製品について見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度におけるグループ販売実績をグループ内での製造品・グループ外からの購入品の別及び品目別に示すと、次のとおりであります。
品目
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
化合炭酸カルシウム(百万円)
4,498
93.8
グループ内
重質炭酸カルシウム(百万円)
887
90.4
製造品
その他(百万円)
4
66.2
小計(百万円)
5,391
93.2
化合炭酸カルシウム(百万円)
171
95.3
グループ外
重質炭酸カルシウム(百万円)
2,343
95.9
購入品
その他(百万円)
2,938
84.9
小計(百万円)
5,453
89.6
合計(百万円)
10,844
91.4
(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度におけるグループ販売実績を用途別に示すと、次のとおりであります。
用途
当連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)
合成樹脂(百万円)
4,681
89.5
塗料(百万円)
2,549
85.9
輸出(百万円)
1,342
114.0
食品・飼料(百万円)
756
98.1
ゴム(百万円)
613
86.9
その他(百万円)
900
88.3
合計(百万円)
10,844
91.4
(注)1.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が10%以上の相手先がないため記載を省略しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に含めて記載しております。
第74期につきましては、化合炭酸カルシウム等の生産合理化及び品質向上などを意図して、設備投資を5億88百万円(第73期比2億47百万円増)実行する予定です。
運転資金、設備投資資金等につきましては、自己資金又は金融機関からの借入による資金調達を予定しております。
中長期の目標経営指標としましては、自己資本当期純利益率(ROE)8%を目指しております。当期は2.0%(前期1.4%)であり、上記に記した施策にて更なる収益構造の改善に努める所存です。
②資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主な資金需要は、原材料や商品の仕入、製造費、販売費及び一般管理費などの運転資金並びに設備投資資金であります。また、これらの主な資金調達としては、営業活動によるキャッシュ・フローなどの自己資金や金融機関からの借入によっております。