【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス変異株による感染再拡大の影響が懸念されておりますが、感染対策を徹底した上での行動緩和が進むなど、社会経済活動正常化の動きも見られました。
しかしながら、一方でロシア・ウクライナ情勢の長期化をはじめとし原材料・エネルギー価格高騰に加え、為替の著しい変動等、景気の先行きは非常に不安定・不透明な状況となりました。
建設業界におきましては、低金利融資の継続や住宅取得に係る税制優遇策等により、申請住宅戸数は持ち家については減少しているものの、戸建て分譲と貸家は増加傾向にあります。公共投資は堅調に推移いたしましたが、民間設備投資に力強さが戻らず、建設資材の価格高騰が深刻になる中、建設技術者・労働力不足の問題も継続しており、引き続き厳しい状況となりました。
このような状況の中、当連結会計年度の当社グループの売上高は4,300,103千円と前連結会計年度と比べ1,451,313千円の増加(50.9%増)、営業利益は296,252千円と前連結会計年度と比べ670,397千円の利益の増加、経常利益は313,699千円と前連結会計年度と比べ1,156,013千円の利益の増加、親会社株主に帰属する当期純利益は299,358千円と前連結会計年度と比べ1,214,336千円の利益の増加となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
なお、報告セグメントの一つであった広告事業はメディアレップ業務を取りやめたことにより、当社グループは広告事業より撤退いたしました。また、不動産事業については重要性が低下しているため、その他の事業に集約しております。
Ⅰ 建設事業
当セグメントにおきましては、売上高は4,228,461千円となり、前連結会計年度と比較して1,482,929千円の増加(54.0%増)、セグメント利益(営業利益)は679,750千円となり、前連結会計年度と比較して656,106千円の利益の増加となりました。
当該業績に至った主な要因は、前連結会計年度より継続して、需要が旺盛な大規模修繕工事を中心に受注及び工事売上高が順調に推移したことによるものであります。
Ⅱ オートモービル関連事業
当セグメントにおきましては、売上高は45,531千円となり、前連結会計年度と比較して23,369千円の減少(33.9%減)、セグメント損失(営業損失)は38,598千円となり、前連結会計年度と比較して26,201千円の損失の増加となりました。
当該業績に至った主な要因は、新型コロナウイルスの流行により国内の既存の車両におけるエンジンオイルの使用量が大幅に低下し、国内の売上高が大幅に減少した影響が依然残っていること、限られた予算内で広告宣伝活動を行ったものの、広告効果によるブランドイメージ及び商品認知の向上が図れず、売上の増加を達成できなかったことによるものであります。
Ⅲ コスメ衛生関連事業
当セグメントにおきましては、売上高は26,109千円となり、前連結会計年度と比較して7,419千円の減少(22.1%減)、セグメント損失(営業損失)は15,303千円となり、前連結会計年度と比較して3,574千円の損失の減少となりました。
当該業績に至った主な要因は、新型コロナウイルスの感染再拡大の懸念はあるものの、社会経済活動正常化の動きが進み、主力商品の需要が低下したことによります。限られた予算内で広告宣伝活動を行い商品認知の向上に努めましたが、売上の増加を達成できませんでした。
Ⅳ その他の事業
その他の事業には、当連結会計年度においての投資事業と、報告セグメントに含まれない事業を含んでおります。当セグメントにおきましては、売上はありませんでした。セグメント損失(営業損失)は13,288千円となり、前連結会計年度と比較して13,286千円の損失の増加となりました。
当該業績に至った主な要因は、新規事業のための子会社設立(㈱のら猫バンク)、事業開始に向けた費用を計上したことによるものであります。
b.財政状態
資産・負債・純資産の状況
当連結会計年度末の総資産は1,500,718千円となり、前連結会計年度末と比較して273,076千円の減少(15.4
%減)となりました。
(資産)
流動資産は1,464,671千円となり、前連結会計年度末と比較して279,110千円の減少(16.0%減)となりました。
この主な要因は、完成工事未収入金及び契約資産295,958千円の減少、商品及び製品107,709千円の減少、134,104千円の前渡金の増加などによるものであります。
固定資産は36,046千円となり、前連結会計年度末と比較して6,033千円の増加(20.1%増)となりました。
この主な要因は、新規事業(㈱のら猫バンク)におけるアプリ開発により、ソフトウエアを含むその他無形固定資産が増加したことなどによるものであります。
(負債)
流動負債は396,030千円となり、前連結会計年度末と比較して552,954千円の減少(58.3%減)となりました。
この主な要因は、買掛金211,274千円の減少、支払手形・工事未払金等368,482千円の減少などによるものであります。
固定負債は29,624千円となり、前連結会計年度末と比較して2,875千円の減少(8.8%減)となり、特筆すべき増減はありませんでした。
(純資産)
純資産は1,075,062千円となり、前連結会計年度末と比較して282,754千円の増加(35.7%増)となりました。
この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上299,358千円などによるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は67,107千円となり、前連結会計年度末と比較して24,813千円の減少(27.0%減)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は57,566千円(前連結会計年度の営業活動の結果減少した資金は1,196,272千円であります。)となりました。
この主な要因は、税金等調整前当期純利益364,555千円、売上債権の減少額162,353千円、棚卸資産の減少額106,936千円、仕入債務の減少額574,972千円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は20,405千円(前連結会計年度の投資活動の結果減少した資金は14,182千円であります。)となりました。
この主な要因は、新規事業におけるアプリ開発により、ソフトウェアを購入したことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は61,974千円(前連結会計年度の財務活動の結果増加した資金は532,283千円であります。)となりました。
この主な要因は、役員からの短期借入に対する一部返済の実行などによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
建設事業
4,773,981
142.4
4,818
1.0
オートモービル関連事業
27,399
38.2
–
–
コスメ衛生関連事業
20,053
50.4
5,147
82.1
合 計
4,749,075
137.1
9,965
1.7
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
b.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
販売高(千円)
前年同期比(%)
建設事業
4,228,461
154.0
オートモービル関連事業
45,531
66.1
コスメ衛生関連事業
26,109
77.9
合 計
4,300,103
150.9
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
邦徳建設㈱
2,586,207
90.4
3,846,627
89.5
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、当社の基本的な方針はできるだけ費用又は損失については見込が可能な限り当該期間に計上するということであります。具体的には、保守的な観点での貸倒引当金、完成工事補償引当金の計上などであります。
②財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績
(売上高)
売上高は、4,300,103千円と前連結会計年度と比べ1,451,313千円の増加(50.9%増)となりました。売上高の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.経営成績」に記載のとおりです。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は、296,252千円と前連結会計年度と比べ670,397千円の利益の増加となりました。営業利益の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.経営成績」に記載のとおりです。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は、313,699千円と前連結会計年度と比べ1,156,013千円の利益の増加となりました。この主な要因は、上記営業利益の増加、貸倒引当金繰入額(営業外費用)404,906千円の減少、和解金(営業外費用)31,748千円の減少などによるものです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、299,358千円と前連結会計年度と比べ1,214,336千円の利益の増加となりました。この主な要因は、上記経常利益の増加、関係会社株式評価損(特別損失)75,516千円の減少及び法人税等58,737千円の増加に加えて、当連結会計年度において、固定資産売却益7,239千円、子会社株式売却益3,638千円、新株予約権戻入益16,584千円が発生したことなどによるものです。
b.財政状態
財政状態につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.財政状態」に記載のとおりです。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態及、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b.資金需要の主な内容
当社グループの資金需要における営業活動の主な需要は、生産活動に必要な材料費、人件費及び外注費等の運転資金、受注獲得のための引合費用等の販売費、新規事業立上げを目的とした準備投資となります。また、投資活動の主な需要は、事業成長や生産性の向上、新規事業立上げを目的とした投資有価証券の取得となります。今後、成長事業に対して必要な設備投資や研究開発投資、投資有価証券の取得等に積極的に取り組んで参ります。
④経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されていますが、その作成にあたっては、経営者の主観的な判断を伴う見積りが必要になる項目があります。
経営者はその見積りが合理的であると判断していますが、市況の変化等により将来の結果が異なるものとなり、連結財務諸表に影響を与える可能性があります。
当社グループの重要な会計方針のうち、特に重要性の高い会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、以下のとおりです。
工事契約に係る収益認識
(1)当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額
当連結財務諸表において、工事進捗による支払原価に基づいて計上した完成工事高は、3,846,627千円です。
(2)その他の情報
①金額の算定方法
原価進捗度に基づき計上した完成工事高は、工事収益総額、工事原価総額及び決算日における原価進捗度を合理的に見積り、これに応じて計上しております。
②金額の算出に用いた主要な仮定
工期がごく短期間の工事契約を除き、全ての工事契約について履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しております。工期がごく短期の工事契約については代替的な取扱いを適用し、完全に履行義務を充足した時点で収益を認識しております。履行義務の充足に係る進捗度の見積りの方法は、主として発生原価に基づくインプット法を採用しております。ただし、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができない場合で、当該履行義務を充足する際に発生する費用を回収することが見込まれる場合には、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積ることができる時まで原価回収基準を適用しております。
③翌連結会計年度の連結財務諸表に与える影響
上記記載の仮定については、最善の見積りを行っているものの、見積り後の発注者との条件変更、設計変更等によって、事後的な結果と乖離が生じる可能性があります。