【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における我が国経済は、これまで世界的な拡大を見せてきた新型コロナウイルス感染症の影響も徐々に収束の兆しが見えてまいりましたが、それまでの雇用情勢や所得環境の改善による景気の緩やかな回復基調は一変し、米国、中国の対立に加え、ロシアのウクライナ侵攻の影響も懸念されるなど海外経済の不確実性が高まり、先行きは依然として不透明な状況で推移いたしました。
このような環境の中、当社グループは、中期スローガンとして「安心をお届けする不二精機グループ」を掲げ、品質管理体制の徹底強化によるグループ一体となった顧客満足の更なる追求を図り、精密金型のコア技術をもとに自動車及び二輪車などの成形事業分野への積極的な展開を行い、顧客への高付加価値製品の提供による安定受注の拡大に努めてまいりました。
また、「『考動』で価値を創る」をグループ全社員の行動理念とし、「お客様の利益の最大化」を目標に、新たな価値創造、また「5S活動」を基本とする着実な品質改善活動に取り組んでおります。
(1) 財政状態の状況
総資産は、前連結会計年度末に比べ6億12百万円(7.5%)増加し、87億90百万円となりました。
流動資産は、主に受取手形及び売掛金が3億18百万円、その他が1億54百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ5億39百万円(13.4%)増加し、45億77百万円となりました。
固定資産は、主に有形固定資産が1億56百万円増加した一方、投資その他の資産が1億4百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ72百万円(1.7%)増加し、42億13百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べ6百万円(0.1%)増加し、59億89百万円となりました。
流動負債は、主に支払手形及び買掛金が44百万円増加した一方、短期借入金が6億74百万円、未払法人税等が68百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ6億94百万円(14.4%)減少し、41億39百万円となりました。
固定負債は、主に長期借入金が7億54百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ7億円(61.0%)増加し、18億50百万円となりました。
純資産は、主に利益剰余金が2億59百万円、為替換算調整勘定が3億26百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ6億5百万円(27.6%)増加し、28億円となりました。なお、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ5.1ポイント増加して、31.9%となりました。
(2) 経営成績の状況
当連結会計年度の売上高は、射出成形用精密金型及び成形システム事業、精密成形品その他事業の両事業の売上高が増加し、前連結会計年度比3億65百万円(4.9%)増加の78億32百万円となりました。
損益につきましては、射出成形用精密金型及び成形システム事業、精密成形品その他事業の売上高が増加したものの、原価率が上昇したことなどにより、売上総利益は、前連結会計年度比1億90百万円(11.0%)減少の15億51百万円となりました。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比68百万円(6.0%)減少の10億68百万円となり、その結果、営業利益は、前連結会計年度比1億22百万円(20.3%)減少の4億82百万円となりました。前連結会計年度に収益性の高い医療用関連の金型の検収が集中したこともあり、当連結会計年度における営業利益率は6.2%(前連結会計年度比1.9ポイント悪化)となり、引き続き、この指標の改善に取り組んでまいります。
当連結会計年度は、為替差益67百万円を計上するなどで、営業外収益が13百万円増加した一方で、シンジケートローン手数料の発生などにより、営業外費用が4百万円増加したことにより、経常利益は前連結会計年度比1億13百万円(18.4%)減少の5億2百万円、特別損益項目、法人税等を加え、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比1億66百万円(33.0%)減少の3億38百万円となりました。
なお、中国上海市で新型コロナウイルス感染症の拡大防止を目的に実施されたロックダウンにより、同市の子会社(上海不二精机有限公司)の事業活動全般の停止を余儀なくされ、同期間中の固定費等を「新型コロナウイルス関連損失」として特別損失項目で表示しております。ロックダウン解除以降、工場の稼働率は徐々に回復し、現在は平常通りの操業となっております。
当連結会計年度のセグメント別の経営成績については、以下のとおりであります。
<射出成形用精密金型及び成形システム事業>
自動車部品用精密金型が増加したことから、当セグメントの売上高は前連結会計年度比2億73百万円(9.3%)増加の32億17百万円となりましたが、主力製品であり利益率の高い医療機器用精密金型の売上高が前連結会計年度に比べ減少するなど、検収いただいた金型の利益率が低下したことにより、セグメント利益は前連結会計年度比10百万円(4.0%)減少の2億49百万円となりました。
なお、個別受注生産である当事業の未検収の受注残高は安定的に推移しており、各工場の稼働率は高い状態であります。
<精密成形品その他事業>
主力製品である自動車部品用成形品は東南アジア市場を中心に中期的な受注をいただき、当セグメントの売上高は前連結会計年度比1億81百万円(3.9%)増加の48億11百万円となりましたが、品質管理体制の強化の影響もあり、セグメント利益は前連結会計年度比1億19百万円(36.4%)減少の2億8百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は前連結会計年度に比べ40百万円増加し、9億39百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果、獲得した資金は、5億93百万円(前連結会計年度は8億86百万円の獲得)となりましたが、これは主として、税金等調整前当期純利益4億74百万円、減価償却費5億73百万円があった一方で、売上債権の増加2億77百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果、使用した資金は、4億42百万円(前連結会計年度は4億22百万円の使用)となりましたが、これは主として、有形固定資産の取得による支出4億46百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、支出した資金は、1億90百万円(前連結会計年度は3億75百万円の支出)となりましたが、これは主として、長期借入れによる収入11億80百万円があった一方、長期借入金の返済による支出12億14百万円、リース債務の返済による支出1億38百万円があったことによるものであります。
(4) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入費用、人件費のほか、その他の製造費用、販売費及び一般管理費などの営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
当連結会計年度において、「第3 設備の状況 3設備の新設、除却等の計画」に記載した提出会社における設備投資などを予定しておりますが、自己資金及び金融機関からの借入金により賄ってまいります。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は37億5百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は9億39百万円となっております。
(5) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
射出成形用精密金型及び成形システム事業
2,622,389千円
92.2
精密成形品その他事業
4,856,820千円
103.5
合計
7,479,209千円
99.2
(注)1. セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2. 金額は、販売価格で表示しております。
② 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
射出成形用精密金型及び
成形システム事業
2,619,033
101.8
1,222,087
77.5
精密成形品その他事業
4,897,739
103.7
518,302
134.1
合計
7,516,772
103.0
1,740,389
88.7
(注)1. セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2. 金額は、販売価格で表示しております。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
射出成形用精密金型及び成形システム事業
3,021,455千円
106.5
精密成形品その他事業
4,811,336千円
103.9
合計
7,832,792千円
104.9
(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。