【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による停滞から社会経済活動は徐々に正常化に向かっておりますが、半導体をはじめとする電子部品の需給逼迫による供給不足の状況が続いているほか、ウクライナ情勢の長期化による資源エネルギー価格の高騰、急速な為替変動などもあり、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような経済情勢のもと、当社グループにおいては、コロナ禍で縮小した内需を中心とする設備投資需要の回復効果もあり、半導体装置用電子機器や省エネ機器用電子機器をはじめ、幅広い品種で受注が増加したことで売上高は前期比増加しております。また、中国・上海で4月~5月に発生したロックダウン(都市封鎖)により、当社上海工場の操業を一時停止する影響を受けましたが、操業再開後の増産対応により通期売上高への影響は最小限に抑えております。一方で一部の電子部品で入手困難な状況が続き、部品の調達リードタイムが長期化していることなどが影響し、当期末の受注残は前期比8.1%増加しております。
このような状況の下、当社グループにおいては、脱炭素社会に向けた取り組みとして、欧州・東南アジア・中国市場での電気自動車関連向けの電子部品、産業機器市場向けの電子部品の受注拡大に努めるとともに、高い品質、高い信頼性を必要とされる市場への販路拡大を進めております。それと同時に、工程の自動化・省力化によるコスト削減、新製品の開発に努め、収益力の強化に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ751百万円増加し、7,590百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ601百万円増加し、5,569百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末と比較して149百万円増加し、2,021百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高7,204百万円(前年同期比16.5%増)、営業利益311百万円(同180.0%増)、経常利益287百万円(同174.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益133百万円(同167.1%増)となりました。
当社グループは電子部品の製造・販売及び付帯業務の単一セグメントであります。したがいまして、製品群別の経営成績を示すと、次のとおりであります。
製品群別の経営成績の概況
抵抗器は、産業機器用、昇降機用、インバーター抵抗器の売上が増加したことで売上高は19億2千1百万円(前期比11.4%増)となりました。
ポテンショメーターは、建設機器用、農電機器用の売上が増加したことで売上高は6億8千6百万円(同15.3%増)となりました。
ハイブリッドICは、自動車関連向け電子部品及び電流センサーの売上が増加したことで売上高は16億6千4百万円(同5.5%増)となりました。
電子機器は、半導体装置用電子機器やLED照明用電源基板の売上が増加したことで売上高は29億3千3百万円(同28.2%増)となりました。
地域別の売上状況は次のとおりであります。
日本地域は、売上高57億2千4百万円(同20.9%増)となりました。
欧州地域は、売上高6億4千4百万円(同14.2%減)となりました。
アジア地域は、売上高8億8百万円(同18.9%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ42百万円減少し、当連結会計年度末には1,169百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は144百万円(前連結会計年度は275百万円の使用)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が222百万円、減価償却費が136百万円となったこと、棚卸資産の増加額△864百万円、仕入債務の増加額182百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は103百万円(前連結会計年度は88百万円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出△115百万円、定期預金の預入による支出△129百万円、定期預金の払戻による収入137百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は221百万円(前連結会計年度は9百万円の獲得)となりました。これは主に短期借入金の増加473百万円、長期借入れによる収入800百万円、長期借入金の返済による支出△814百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは電子部品の製造・販売及び付帯業務の単一セグメントであります。したがいまして、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の実績については、製品群別に関連付けて示しております。
製品群の名称
当連結会計年度
(自 令和4年1月1日
至 令和4年12月31日)
前年同期比(%)
抵抗器(千円)
1,642,166
112.7
ポテンショメーター(千円)
556,580
110.2
ハイブリッドIC(千円)
1,544,227
105.2
電子機器(千円)
2,699,283
130.4
合計(千円)
6,442,256
117.1
b.受注実績
当社グループは電子部品の製造・販売及び付帯業務の単一セグメントであり、製品群別の受注実績を示すと、次のとおりであります。
製品群の名称
受注高
受注残高
金額(千円)
前年同期比
(%)
金額(千円)
前年同期比
(%)
抵抗器
2,046,699
95.2
618,393
125.4
ポテンショメーター
709,448
110.1
130,747
121.7
ハイブリッドIC
1,599,563
70.3
1,394,268
95.6
電子機器
3,113,297
107.4
1,369,016
115.2
合計
7,469,007
93.7
3,512,424
108.1
c.販売実績
当社グループは電子部品の製造・販売及び付帯業務の単一セグメントであり、製品群別の販売実績を示すと、次のとおりであります。
製品群の名称
金額(千円)
前年同期比(%)
抵抗器
1,921,546
111.4
ポテンショメーター
686,161
115.3
ハイブリッドIC
1,664,081
105.5
電子機器
2,933,028
128.2
合計
7,204,816
116.5
(注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自
令和3年1月1日
至
令和3年12月31日)
当連結会計年度
(自
令和4年1月1日
至
令和4年12月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
ダイヘン産業機器㈱
1,009,053
16.3
1,260,438
17.5
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ751百万円増加の7,590百万円(前連結会計年度末は6,838百万円)となりました。
流動資産は5,860百万円(前連結会計年度末5,077百万円から783百万円増加)となりました。これは主に原材料及び貯蔵品が715百万円増加したことによるものであります。
固定資産は1,728百万円(前連結会計年度末1,758百万円から30百万円減少)となりました。これは主に繰延税金資産が23百万円減少したことによるものであります。
繰延資産は1百万円(前連結会計年度末2百万円から1百万円減少)となりました。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ601百万円増加の5,569百万円(前連結会計年度末は4,967百万円)となりました。
流動負債は3,929百万円(前連結会計年度末3,283百万円から645百万円増加)となりました。これは主に支払手形及び買掛金が72百万円増加したこと、電子記録債務が133百万円増加したこと、短期借入金が474百万円増加したことによるものであります。
固定負債は1,640百万円(前連結会計年度末1,684百万円から44百万円減少)となりました。これは主に社債が20百万円減少したこと、長期借入金が14百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末と比較して149百万円増加の2,021百万円(前連結会計年度末は1,871百万円)となりました。
株主資本は1,449百万円(前連結会計年度末1,371百万円から77百万円増加)となりました。これは主に利益剰余金が77百万円増加したことによるものであります。
その他の包括利益累計額は196百万円(前連結会計年度末145百万円から50百万円増加)となりました。これは主に為替換算調整勘定が36百万円増加したことによるものであります。
非支配株主持分は375百万円(前連結会計年度末353百万円から22百万円増加)となりました。
2)経営成績の分析
(売上高)
売上高は、コロナ禍からの回復に伴い、半導体装置用電子機器やLED照明用電源基板をはじめ、多くの品種で売上が増加し、前連結会計年度に比べ16.5%増の7,204百万円となりました。
(売上原価)
売上原価は、売上高増加に伴い製造原価が増加したことや原材料価格の上昇により、前連結会計年度に比べ15.4%増の5,524百万円となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は、売上増加に伴う輸送量増加と原油価格高騰により、運賃が大きく増加し、前連結会計年度に比べ6.4%増の1,368百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ167.1%増の133百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末のキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料、部品等の購入のほか、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に生産設備更新等の設備投資によるものであります。
c.財務政策
当社グループにおきましては、運転資金及び設備投資資金等は自己資金または金融機関からの借入により賄っております。このうち短期運転資金につきましては、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、長期運転資金や設備投資資金につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成にあたり、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられるさまざまな要因を考慮した見積りが含まれておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。