【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりです。
(1)経営成績
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大による影響はあったものの、行動制限の緩和に伴う経済活動の正常化が進み、景気は緩やかに持ち直しております。しかしながらロシア・ウクライナ情勢の長期化、為替相場の円安により資源を始め輸入品の価格は高騰しており、今後の景気後退が懸念される等、先行きは依然不透明な状況で推移しました。
食品業界におきましては、原材料価格や物流コストの上昇を反映した食料品価格の値上げの動きが強まる中、消費者の節約志向は一段と高まっており、引き続き厳しい経営環境が続いております。
このような状況にあって当社グループは、中期経営計画「TTC150 Stage2」に基づき、将来の持続的成長に向けた諸施策に取り組みました。当社グループの精麦・飼料事業について、当社の完全子会社として鳥越精麦株式会社を設立し、同社に対して会社分割の方法により、当社の精麦・飼料事業を承継しました。その上で当社グループにおける精麦・飼料事業を営む連結子会社4社が実施する共同株式移転の方法により、精麦・飼料事業を統括する中間持株会社である鳥越グレインホールディングス株式会社を設立しました。これにより当社グループの精麦・飼料事業における意思決定の迅速化と経営資源の効率的配分を行い、各社横断的な連携により更に競争力を強化し、当社グループ全体の企業価値向上を目指してまいります。また「デジタル化による全社的業務改革の推進」につきましては、まずデジタル受注システムを中心として、営業部門のバックオフィス業務のデジタル化に着手しました。
当連結会計年度の当社グループの売上高は244億3百万円(前年同期比7.5%増)と過去最高になりました。収益面につきましては、営業利益は12億3千2百万円(前年同期比27.7%増)、経常利益は14億9千6百万円(前年同期比25.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は9億3千1百万円(前年同期比12.0%増)となりました。
単一セグメント内の区分別の状況は次のとおりであります。
(食料品)
①製粉
業務用小麦粉の出荷数量は減少しましたが、輸入小麦の政府売渡価格引き上げに伴う製品価格の値上げや副産物のふすま販売価格が堅調に推移したこと等により、売上高は105億3千7百万円(前年同期比14.1%増)となりました。
②食品
ミックス製品の出荷数量が減少したこと等により、売上高は71億2千5百万円(前年同期比1.2%減)となりました。
③精麦
出荷数量は減少しましたが、販売価格の上昇等により、売上高は51億5千5百万円(前年同期比3.6%増)となりました。
(飼料)
出荷数量はほぼ前年並みで推移しましたが、原料価格の高騰に伴う製品価格の値上げを実施した結果、売上高は15億4千万円(前年同期比26.4%増)となりました。
(その他)
受取保管料の減少等により、売上高は4千4百万円(前年同期比16.7%減)となりました。
(2)財政状態
①資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末の総資産は415億9千3百万円と前連結会計年度に比べ15億7千9百万円増加しました。この主な要因は、原材料及び貯蔵品、投資有価証券が増加し、現金及び預金が減少したことなどによるものです。
当連結会計年度末の負債合計は80億4千9百万円と前連結会計年度に比べ5千5百万円減少しました。この主な要因は、繰延税金負債が増加し、長期借入金が減少したことなどによるものです。
当連結会計年度末の純資産合計は335億4千3百万円と前連結会計年度に比べ16億3千5百万円増加しました。この主な要因は、利益剰余金、その他有価証券評価差額金が増加したことなどによるものです。
以上の結果、自己資本比率は80.6%と前連結会計年度に比べ0.9%上昇しました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、4千7百万円の支出(前連結会計年度は17億7千6百万円の収入)となりました。この主な要因は、売上債権、棚卸資産の増加などによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、4億5千2百万円の支出(前連結会計年度は5億4千8百万円の支出)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得などによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、8億9千6百万円の支出(前連結会計年度は5億1千1百万円の収入)となりました。この主な要因は、長期借入金の返済、配当金の支払などによるものです。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、106億8千3百万円となり、前連結会計年度末比13億9千6百万円減少しました。
(3)生産、受注及び販売の状況
①生産実績
当連結会計年度における生産実績を単一セグメント内の区分別に示すと、次のとおりであります。
区分別
前連結会計年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(千円)
金額(千円)
食料品
製粉
9,272,031
10,427,046
食品
6,380,752
6,178,421
精麦
4,588,121
4,803,202
飼料
1,170,913
1,478,479
その他
-
-
合計
21,411,818
22,887,149
(注)金額は販売価格によっております。
②受注状況
当社グループは重要な受注生産は行っておりません。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績を単一セグメント内の区分別に示すと、次のとおりであります。
区分別
前連結会計年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前期比(%)
金額(千円)
金額(千円)
食料品
製粉
9,238,263
10,537,285
+14.1
食品
7,214,110
7,125,077
△1.2
精麦
4,975,284
5,155,588
+3.6
飼料
1,218,355
1,540,412
+26.4
その他
54,006
44,991
△16.7
合計
22,700,018
24,403,354
+7.5
(注)総販売実績に対する主な相手先別の販売実績の割合が10%未満のため、主要な販売先については記載を省略しております。
(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しており、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」に記載の通りであります。
②経営成績の分析・検討内容
「(1)経営成績」をご参照下さい。また、当連結会計年度を初年度とする3カ年の中期経営計画「TTC150 Stage2」に掲げた最終年度の目標数値(2023年12月期)に対する当連結会計年度の実績は次の通りです。
なお、中期経営計画につきましては、物価上昇により消費者の節約志向が強まる中、販売競争は激しさを増しており厳しい経営環境が続くものと思われますので、最終年度の目標数値を見直しております。
売上高につきましては、当初目標を26,700百万円で計画しておりましたが、製品価格の値上げや子会社の増収等により27,750百万円へ上方修正しております。営業利益につきましては、当初目標を1,540百万円で計画しておりましたが、原材料価格の高騰に加えて人件費や電力費等の諸経費が増嵩していること等により、1,300百万円と当初目標を下回る見通しとなりました。
(百万円)
2023年12月期目標数値
2022年12月期実績
(連結)
売上高
27,750
24,403
営業利益
1,300
1,232
③財政状態の分析・検討内容
「(2)財政状態 ①資産、負債及び純資産の状況」をご参照下さい。
④キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
「(2)財政状態 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。なお、当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は10,683百万円であり、当社グループが当面必要とする流動性を確保しております。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因について
「2.事業等のリスク」に記載の通り、経済情勢、業界動向、貿易の自由化の進展、原料麦に関する制度改革問題や安定調達及び品質問題、食品の安全性に関する問題、新型コロナウイルス感染症等が考えられます。