【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
なお、2022年4月1日に行われたケーエム精工株式会社との企業結合について、前第2四半期連結会計期間に暫定的な会計処理を行っておりましたが、前連結会計年度末に確定したため、前年同四半期連結累計期間との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間における世界経済は、中国経済の回復により持ち直しが期待される一方で、米国中堅銀行の破綻、スイス大手銀行の経営問題を背景とする世界的な金融システム不安や、物価高騰による個人消費や生産活動の抑制などから減速傾向となりました。わが国においても、ウィズコロナの進展、水際対策の大幅な緩和によりインバウンド需要が増加傾向にあるものの、海外経済の減速や物価高騰による個人消費の減少など、先行き不透明な状況となっております。
このような経営環境において、当社は、長期経営ビジョン”世界中で認められ、求められる「モノづくりソリューショングループ」を目指す”のセカンドステージとして、持続可能な成長重視の4つの戦略(事業拡大戦略・環境戦略・人財戦略・財務戦略)を掲げた新中期経営計画「Mission G-second(2023年~2025年)」をスタートさせ、事業拡大戦略に基づく欧州市場への進出のほか、生産性向上とCO2排出量削減を目的とした生産拠点の集約・最適化、中期経営計画目標に連動した株式報酬制度の導入、グループ資金の有効活用による有利子負債の削減など、中期経営計画を達成するための環境整備に取り組みました。
その結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は224億4千7百万円(前年同期比7.5%増)、営業利益は12億9千8百万円(前年同期比25.9%増)、経常利益は14億7千6百万円(前年同期比16.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は8億3千3百万円(前年同期比16.3%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
ファスナー事業につきましては、昨年4月に子会社化したケーエム精工株式会社及び株式会社ピニングが業績に貢献しました。また、自動車関連業界における「ギザタイト」「アルミタイト」や子会社の株式会社協栄製作所が取り扱う住宅関連業界向け各種ボルトなどへの引き合いは増加する一方で、半導体不足に起因する需要先の生産調整による流通在庫の増加、資源価格の高止まりや原材料価格の高騰を背景とする受注の低迷により、引き続き厳しい状況となりました。
このような状況のもと、車両の軽量化に伴い薄板化が進み、その締結に貢献する「ジョイスタッド」や締結時に発生する切粉の飛散や落下を防止する「CPグリップ」の需要拡大を図りました。併せて、ドイツで開催の展示会(Fastener Fair Global 2023)に出展し、ヨーロッパ市場の開拓に努めました。また、製造時の環境負荷低減を図るため、製造工場の集約を推進しました。
この結果、売上高は162億6千万円(前年同期比6.8%増)、営業利益は8億円(前年同期比84.0%増)となりました。
産機事業につきましては、自動車のCASEや新車種に関わる設備、住宅・建築業界の省人化対応設備が堅調に推移しました。また、東南アジアにおける自動化機運の高まりを受け、タイ・台湾を中心に標準機が増加しました。一方で、エネルギーや原材料価格の高騰により、利益環境は厳しい状況となりました。
このような状況のもと、省人化対応としてのロボットの需要増加を見据え、テックマンロボット社製協働ロボットTMシリーズの「TM Plug&Play」に対応したねじ締めユニット「PD400TM」シリーズをラインナップに加え市場の開拓に努めました。また、持続可能なコストの削減を目指した購買業務の最適化や労働生産性の向上に取り組みました。
この結果、売上高は34億5千3百万円(前年同期比12.5%増)、営業利益は4億8千1百万円(前年同期比15.7%減)となりました。
制御事業につきましては、流量計は、カーボンニュートラルに伴う新燃料の需要に加え、半導体業界における洗浄液用の需要や非常用発電機向けの需要が好調に推移しました。システム製品は、省人化・自動化対応としての検査装置の需要が増加しました。地盤調査機「ジオカルテ」は、住宅需要の低迷や資源価格の高止まりによる市場購買力の低下により低調となりました。
このような状況のもと、欧州市場開拓の足掛かりとして、グループ会社の日東精工アナリテック株式会社が、ドイツ・デュッセルドルフを拠点とした子会社を設立しました。また、Bluetooth通信機能を搭載した電子式流量計アイシリーズを市場に投入しました。併せて、加工部品の内製化による安定的かつ低コストな生産体制の確立に努めました。
この結果、売上高は27億2千万円(前年同期比5.1%増)、営業利益は6千9百万円(前年同期比5.4%減)となりました。
メディカル事業につきましては、ターゲット市場である医療業界において、団塊世代の高齢化など、医療を必要とする高齢者が増加する一方で、就業世代の人口は減少を続けており、高品質かつ効率的な医療の提供が課題となっております。また、新型コロナウイルス感染症拡大初期の福祉医療機構による貸付の返済時期が到来するなど、厳しい事業環境となっております。
このような状況のもと、医療従事者や患者の負担軽減に繋がる「医療用生体内溶解性高純度マグネシウム材料(6月23日に日本国特許取得)」の早期製品化に向け、一貫製造設備の構築と非臨床試験に向けた試料の製作、性能試験に取り組みました。また、医療現場のニーズや市場を見据えた新製品開発を推進しました。
この結果、売上高は1千3百万円(前年同期比182.9%増)、営業損失は5千2百万円(前年同期は営業損失4千7百万円)となりました。
②財政状態の状況
当第2四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ3千7百万円減少し、533億7千万円となりました。これは主に、現金及び預金が5億1千9百万円、原材料及び貯蔵品が3億3千2百万円増加したのに対し、受取手形及び売掛金が6億2千7百万円、電子記録債権が5億4千4百万円減少したことなどによるものです。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ12億5千3百万円減少し、176億5千2百万円となりました。これは主に、退職給付に係る負債が7億4千3百万円、短期借入金が5億8千4百万円減少したことなどによるものです。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ12億1千5百万円増加し、357億1千7百万円となりました。これは主に、利益剰余金が5億3千6百万円、為替換算調整勘定が4億5千9百万円増加したことなどによるものです。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて5億5千6百万円増加し、88億6千2百万円(前年同期は87億7千6百万円)となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は、税金等調整前四半期純利益、減価償却費、売上債権の減少などの収入項目が、棚卸資産の増加、仕入債務の減少、法人税等の支払額などの支出項目を上回り、23億7千1百万円の収入(前年同期は3億円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は、固定資産の取得や定期預金の預入などの支出項目が、定期預金の払戻などの収入項目を上回り、5億3千9百万円の支出(前年同期は15億1千7百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は、借入金の返済や配当金の支払いなどにより、11億5百万円の支出(前年同期は6億6千1百万円の支出)となりました。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当連結会社の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(6)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は3億7千6百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。