【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における世界経済は、ロシアのウクライナに対する軍事侵攻の長期化に伴うエネルギー危機の深刻化、中国におけるゼロコロナ政策に伴う経済活動の停滞などにより、減速感が強まりました。わが国においても、日米金利差拡大を受けた円安による物価の上昇など、その影響の大きさは不透明な状況となっております。
このような経営環境において、当社は、中期経営計画「NITTOSEIKO Mission”G”(2019年~2022年)」に基づく成長戦略として、自動車業界や建築業界を中心に幅広く安定した顧客基盤を有する企業を子会社化し、事業領域の拡充を図りました。また、欧州・中東をはじめ、各国のメーカが集う世界最大規模の産業技術専門展示会「ハノーバー メッセ 2022」への出展など、新たな市場の開拓に努めました。一方、新規事業のメディカル事業においては、探索研究から非臨床試験、臨床試験までシームレスなサポートで、農・医薬品、医療機器の開発支援を行う企業との間で業務提携を行い、医療分野における新たな価値の創造に努めました。
その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は322億6千5百万円(前年同期比6.7%増)、営業利益は20億1千1百万円(前年同期比24.5%減)、経常利益は23億5千7百万円(前年同期比16.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は14億6千2百万円(前年同期比19.1%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
ファスナー事業につきましては、強固な異種金属接合を実現する「アクローズ」や「アクローズ ハイブリッド」、高精度で大量生産を可能にした「ギヤ部品」などの自動車のEV関連製品が増加する一方、世界的な半導体不足の長期化に伴う市場の減速により、精密ねじ、一般ねじともに、需要が減少しました。また、エネルギーや原材料価格の高騰により、利益環境は厳しい状況となりました。
このような状況のもと、カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向け、自動車関連業界を中心に評価が高い「アクローズ」や「アクローズ ハイブリッド」、締結部材の反りや圧入箇所のバリの発生を軽減しつつ、回り止め強度を得ることができる「新型クリンチングスタッドボルト」の販売促進に取り組みました。また、海外拠点や関係会社との協業による新たな市場の開拓に努めました。
この結果、売上高は237億6千9百万円(前年同期比14.6%増)、営業利益は11億5千4百万円(前年同期比5.0%減)となりました。
産機事業につきましては、主な需要先である自動車関連業界のCASEに関わる設備や新車種・増産対応の設備、住宅・建築業界の省人化対応の設備を中心に需要は高いものの、半導体不足の長期化に伴う需要先工場の一部稼働停止、中国のロックダウンを背景とする需要先のサプライチェーンの見直しに伴い、設備投資が抑制・延期されるなど、標準機、自動組立ラインともに厳しい事業環境となりました。
このような状況のもと、ウィズコロナ・アフターコロナ時代における安心安全な生産現場の実現や労働力不足による省人化対応として、容易にねじ締め工程の自動化が図れる、人との協働ロボットの需要増加に対し、ロボットメーカと共同で、垂直多関節型ロボットとねじ締めユニットを融合したねじ締めロボット「SR825ARシリーズ」、高性能で取り扱いが容易な協働ロボット用ねじ締めユニット「PD400FA」シリーズを開発しました。
この結果、売上高は46億3千7百万円(前年同期比15.7%減)、営業利益は8億6千1百万円(前年同期比36.6%減)となりました。
制御事業につきましては、流量計は、主な需要先である海運分野の気候変動対策としての燃費性能規制により需要が増加しました。システム製品は、自動車関連業界を中心に検査装置の需要は高いものの、半導体不足による需要先の生産調整に伴い低調となりました。地盤調査機「ジオカルテ」は、安定した住宅需要と買い替え需要により堅調に推移しました。
このような状況のもと、分析・計測に関する大規模な展示会を利用し、グループ会社とともに、水分測定装置や、サステナビリティ経営として注目されるマイクロバブル洗浄装置の需要拡大に努めました。また、加工部品の内製化による安定的かつ低コストな生産体制の確立に努めました。
この結果、売上高は38億4千9百万円(前年同期比2.6%減)、営業利益は7千万円(前年同期比35.0%減)となりました。
メディカル事業につきましては、新型コロナウイルス感染症を背景とし、医療機関では、オンライン診療の拡大による遠隔モニタリング機器等の需要が増加する一方、患者数・手術件数の減少による従来の医療機器の需要が減少しました。また、エネルギー関連経費の上昇により医療機関の経営状況が悪化するなど、事業環境は厳しい状況となりました。
このような状況のもと、臨床試験機関への販売促進と医療機器販売会社を通じた販路拡大に努めました。また、「医療用生体内溶解性高純度マグネシウム材料」の製品化に向けた取り組みと併せて、医療現場のニーズや市場を見据えた新製品開発を推進しました。
この結果、売上高は8百万円(前年同期比66.2%減)、営業損失は7千3百万円(前年同期は営業損失1千7百万円)となりました。
②財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ16億8千3百万円増加し、526億7百万円となりました。これは主に、商品及び製品が12億2千9百万円、仕掛品が7億9千7百万円増加したことなどによるものです。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ1億1千9百万円減少し、181億2百万円となりました。これは主に、未払法人税等が3億9千5百万円、短期借入金が8千2百万円減少したことなどによるものです。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ18億3百万円増加し、345億5百万円となりました。これは主に、利益剰余金が8億4千9百万円、為替換算調整勘定が6億7百万円増加したことなどによるものです。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当連結会社の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は5億5千4百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。