【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染状況に影響を受けながらも感染が落ち着くとともに規制が緩和され、経済活動が正常化に向かい景気が緩やかに回復してまいりましたが、ウクライナ情勢の長期化や円安による資源価格・原材料価格の高騰に伴う物価上昇により個人消費の落ち込みが懸念されております。また、海外においては、金融引き締めの継続や金融不安から景気減速が懸念され、国内経済への影響が心配される等、依然として先行きが不透明な状況が続いております。繊維産業におきましては、規制緩和が進んだことなどにより、百貨店等での衣料販売が回復し明るい兆しが見えておりますが、エネルギーや原材料の高騰の影響や消費者物価上昇による衣料消費の落ち込みが懸念されるなど、業界を取り巻く環境は予断を許さない状況が続いております。このような事業環境のもと、当社グループは優れた感性と技術で新しい「価値」を創造し、市場領域の拡大とグローバル展開を図り、安定的・持続的成長の実現を目指しております。また、「地球は着替えることができないから」を当社の環境理念として環境負荷低減活動に取り組むとともに、地域社会やステークホルダーとの共存共栄を図るなど、SDGs活動を積極的に進めてまいります。当連結会計年度の経営成績は、売上高98億2千6百万円(前連結会計年度比30.9%増)、営業損失5億4千7百万円(前連結会計年度は営業損失5億8千2百万円)、経常損失2億9千7百万円(前連結会計年度は経常損失4億2千8百万円)、特別損失に工場移設後の解体撤去関連費用3億7千7百万円を計上すること等により、親会社株主に帰属する当期純損失7億2千3百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失11億2千8百万円)となりました。染色加工事業昨年度の秋冬物の販売が比較的好調であったことにより、コート地を中心に織物の受注が増加したことや紳士物の受注に回復の兆しが見られたことから、織物が32億7千万円(前連結会計年度比32.0%増)、ニットが27億6千9百万円(前連結会計年度比11.9%増)となり、売上高60億4千万円(前連結会計年度比22.0%増)となりました。営業損益につきましては、加工料金の是正をお願いしてまいりましたが、燃料及び原材料の高騰の影響が想定以上に大きいことや工場移設に伴う営業費用が増加したこと、また資産除去債務についての会計上の見積りの変更を行ったこと等により、営業損失8億2千9百万円(前連結会計年度は営業損失7億4千2百万円)となりました。テキスタイル事業秋冬物が比較的順調に受注出来たことに加えて、新たに取り入れた合繊織物の販売がプラスとなったことや輸出が好調であったこと等により、売上高34億3千7百万円(前連結会計年度比52.5%増)、営業利益8千6百万円(前連結会計年度は営業損失3千2百万円)となりました。不動産事業前連結会計年度に賃貸契約が終了した群馬県伊勢崎市の土地・店舗について、新たな契約先により10月から賃貸がスタートしたことから、売上高3億4千8百万円(前連結会計年度比15.8%増)、営業利益につきましては、上期における売上高の減少に加えて同物件の維持管理費及び新たな契約に伴う諸経費が発生したことにより1億9千5百万円(前連結会計年度比1.6%増)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
a.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(千円)
前年同期比(%)
染色加工事業
6,037,376
122.0
テキスタイル事業
3,548,426
153.3
不動産事業
―
―
合計
9,585,803
132.0
(注)
金額は、販売価格によっております。
b.受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
染色加工事業
6,357,514
130.1
1,201,986
135.8
テキスタイル事業
3,566,521
147.2
639,607
119.7
不動産事業
―
―
―
―
合計
9,924,035
135.8
1,841,594
129.8
c.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
染色加工事業
6,040,438
122.0
テキスタイル事業
3,437,151
152.5
不動産事業
348,553
115.8
合計
9,826,143
130.9
(2)財政状態(資産)当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に比べ2億9千9百万円減少し、144億1千3百万円となりました。主な要因は、建物及び構築物が5億5千1百万円増加、売掛金が4億2百万円増加しましたが、現金及び預金が13億8千9百万円減少したことであります。(負債)当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ4億1千5百万円増加し、38億4千5百万円となりました。主な要因は、工場移転費用引当金が5億4千万円減少しましたが、解体撤去関連費用引当金が3億6千2百万円増加、支払手形及び買掛金が1億3千5百万円増加、繰延税金負債が1億4百万円増加したことであります。(純資産)当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ7億1千5百万円減少し、105億6千8百万円となりました。主な要因は、その他有価証券評価差額金が3億1千1百万円増加しましたが、親会社株主に帰属する当期純損失7億2千3百万円を計上したこと及び配当金の支払い2億9千3百万円により利益剰余金が10億1千6百万円減少したことであります。
(3) キャッシュ・フロー営業活動によるキャッシュ・フローは、7億9千3百万円の減少(前連結会計年度は7千1百万円の減少)となりました。主な増加要因は、減価償却費5億7千5百万円、解体撤去関連費用引当金の増加額3億6千2百万円であり、主な減少要因は、工場移転費用の支払額6億3百万円、売上債権の増加額4億6千万円であります。投資活動によるキャッシュ・フローは、3億2千3百万円の減少(前連結会計年度は1億7千4百万円の増加)となりました。主な増加要因は、投資有価証券の売却及び償還による収入7億3千5百万円であり、主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出13億5千7百万円であります。財務活動によるキャッシュ・フローは、2億7千1百万円の減少(前連結会計年度は3億3千8百万円の減少)となりました。主な減少要因は、配当金の支払額2億9千3百万円であります。この結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比べ13億8千9百万円減少し、9億4千6百万円となりました。当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業活動のために必要な運転資金及び設備投資等の資金需要に対して、自己資金を充当することを基本方針とし、流動性の維持及び健全な財政状態を目指して安定的な営業キャッシュ・フローの創出に努めております。 当社グループは、今後も営業活動によるキャッシュ・フローを基本に将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達していく考えであります。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(a)繰延税金資産の回収可能性繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰戻・繰越期間における課税所得を見積っております。当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(b)退職給付債務の算定当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、昇給率等の様々な計算基礎があります。当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)(9)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりであります。
(c)減損会計における将来キャッシュ・フロー減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、各資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローからなり、それぞれの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積っております。その結果、当連結会計年度において減損損失は計上されておりません。当該見積り及び当該仮定について将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において重要な影響を与える可能性があります。なお、当連結会計年度において、当社は一宮事業部の設備を第一事業部第二工場(2023年4月より一宮工場に名称変更)へ移設し、染色加工事業を3事業部4工場体制から3事業部3工場体制に集約し、また、一宮事業部に属していた資産(土地)の一部については、今後、染色加工事業から不動産事業へ変更する予定です。また、工場集約を契機に新たな設備投資も行っており、こうした工場集約によって、前連結会計年度と比べ、一宮事業部に対応する資産グループの内容に変化が生じております。
(d)工場集約に伴う工場移転費用及び解体撤去関連費用当社は2021年5月より工場集約を推し進めてまいりましたが、一部の追加移設工事の遅延等があり、2023年4月以降に発生するものを工場移転費用引当金として計上しております。 また、2023年3月29日開催の取締役会による固定資産の譲渡の決議及び当該不動産売買契約の締結に伴い、2023年4月以降において発生が見込まれる工場解体及び土壌汚染対策等の解体撤去関連費用を解体撤去関連費用引当金として計上しております。 これらの引当金の計上にあたって用いた会計上の見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)に記載しております。