【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績等の状況
当連結会計年度における海外経済は、半導体需給の逼迫や物流費の高騰が続く中、急激な資源・原材料の価格高騰、中国経済の減速なども加わり、景気持ち直しの足踏みが続きました。わが国経済も、世界経済の回復足踏みを受けて、当初の期待より設備投資の勢いが鈍く、景気は緩やかな回復に留まりました。
当社グループを取り巻く経営環境は、産業機械事業では、全般に需要は堅調で、期末では過去最高の受注残高となりました。但し、成形機においては、上期に自動車や家電業界における供給制約の影響を受けたほか、下期においては需要の停滞もあり、期初予想に比して伸び悩みました。また、樹脂製造・加工機械の需要自体は極めて堅調に推移しておりますが、顧客における投資決定の遅れ等の影響を受け、期初予想を下回りました。素形材・エンジニアリング事業では、鋳鍛鋼製品の需要自体は底堅く推移しましたが、不適切行為に起因し、一部で受注の自主制限や出荷済製品の品質調査を行った影響を受けました。
このような状況のもと、当社グループは2021年5月に策定しました2022年3月期を初年度とする5カ年の中期経営計画「JGP2025」に沿って、①世界に類を見ないプラスチック総合加工機械メーカーへ、②素形材・エンジニアリング事業の継続的な利益の確保、③新たな中核事業の創出、④ESG経営の推進の4つを基本方針とした事業活動を推進してまいりました。とりわけ、2023年3月期においては、産業機械事業、素形材・エンジニアリング事業とも、新規需要開拓、製品付加価値向上や競争力強化とともに、お客様のご理解を得ながら調達品、原材料・エネルギー等の価格高騰に応じた一段の販売価格改善に向けた活動を強力に推進してまいりました。
当社グループにおける当連結会計年度の業績につきましては、前年同期に比し、受注高は、産業機械事業及び素形材・エンジニアリング事業が共に増加したことから、2,760億70百万円(前年同期比2.9%増)となりました。売上高は、素形材・エンジニアリング事業が減少したものの、産業機械事業が増加したことから、2,387億21百万円(前年同期比11.7%増)となりました。損益面では、当連結会計年度においては販売価格改善活動の効果が、調達費高騰の影響を吸収しきれず、営業利益は138億46百万円(前年同期比10.4%減)、経常利益は149億58百万円(前年同期比10.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、不動産の譲渡による固定資産売却益を計上したものの、119億74百万円(前年同期比14.1%減)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
(産業機械事業)
受注高は、成形機は減少しましたが、その他の産業機械が増加したほか、樹脂製造・加工機械が堅調に推移したことから、2,331億3百万円(前年同期比3.7%増)となりました。
売上高は、樹脂製造・加工機械が、堅調な受注に加え一部販売価格改善の効果により伸長し、2,029億44百万円(前年同期比18.6%増)となりました。
営業利益は、売上高が増加したことから、189億49百万円(前年同期比6.5%増)となりました。
(素形材・エンジニアリング事業)
受注高は、鋳鍛鋼製品が増加したことに加え、エンジニアリングサービス分野で大口案件を受注したことから、411億49百万円(前年同期比2.4%増)となりました。
売上高は、不適切行為に起因する生産・出荷の遅延により鋳鍛鋼製品が減少したことから、339億73百万円(前年同期比15.2%減)となりました。
営業損益は、原材料やエネルギーのコスト増大に加え、不適切行為に起因する売上減や操業の低下が影響し、営業損失8億44百万円(前年同期は営業利益13億33百万円)となりました。
(その他事業)
受注高は18億17百万円、売上高は18億3百万円、営業損失は4億18百万円となりました。
② キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末比193億99百万円減少し、864億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果支出した資金は、9億86百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益を計上した一方、運転資金が増加したことによるものです。なお、前年同期は223億25百万円の獲得でした。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は、9億47百万円となりました。これは主に、固定資産の取得による支出があった一方、投資有価証券及び固定資産の売却による収入があったことによるものです。なお、前年同期は29億76百万円の支出でした。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、201億12百万円となりました。これは主に、長期借入金の返済及び配当金の支払による支出があったことによるものです。なお、前年同期は28億60百万円の支出でした。
③ 生産、受注及び販売の実績
1.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自2022年4月1日 至2023年3月31日)
前期比 (%)
産業機械事業(百万円)
203,978
+17.4
素形材・エンジニアリング事業(百万円)
34,067
△15.3
その他事業(百万円)
1,803
△30.0
合計(百万円)
239,849
+10.8
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
2.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自2022年4月1日 至2023年3月31日)
受注高(百万円)
前期比 (%)
受注残高
(百万円)
前期比 (%)
産業機械事業
233,103
+3.7
210,397
+17.5
素形材・エンジニアリング事業
41,149
+2.4
42,202
+20.5
その他事業
1,817
△45.0
154
△88.7
合計
276,070
+2.9
252,754
+17.3
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
3.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自2022年4月1日 至2023年3月31日)
前期比 (%)
産業機械事業(百万円)
202,944
+18.6
素形材・エンジニアリング事業(百万円)
33,973
△15.2
その他事業(百万円)
1,803
△30.1
合計(百万円)
238,721
+11.7
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
相手先
当連結会計年度(自2022年4月1日 至2023年3月31日)
金額(百万円)
割合(%)
丸紅テクノシステム(株)
32,121
13.5
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 財政状態
1.総資産
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比86億28百万円増加し、3,483億58百万円となりました。これは主に、売掛金や仕掛品などの流動資産が増加したためであります。
2.負債
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末比9億24百万円減少し、1,877億21百万円となりました。これは主に、退職給付に係る負債などの固定負債が減少したためであります。
3.純資産
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末比95億53百万円増加し、1,606億36百万円となりました。これは主に、利益剰余金が増加したためであります。
③ 経営成績
1.売上高
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比249億30百万円(11.7%)増の2,387億21百万円となりました。これは、産業機械事業及び素形材・エンジニアリング事業が共に増加したことによるものです。
2.売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度比15億64百万円(3.3%)増の493億80百万円となりました。
3.販売費及び一般管理費、営業利益
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比31億78百万円(9.8%)増の355億33百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度比16億13百万円(10.4%)減の138億46百万円となりました。営業利益率は、前連結会計年度比1.4ポイント減少し、5.8%となりました。
4.営業外損益、経常利益
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度比1億74百万円(9.4%)増の20億39百万円となりました。営業外費用は、前連結会計年度比3億74百万円(67.6%)増の9億27百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度比18億13百万円(10.8%)減の149億58百万円となりました。経常利益率は、前連結会計年度比1.6ポイント減少し、6.3%となりました。
5.特別損益、税金等調整前当期純損益
当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度比23億36百万円(66.7%)増の58億40百万円となりました。特別損失は、前連結会計年度比17億40百万円(322.7%)増の22億80百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は前連結会計年度比12億17百万円(6.2%)減の185億18百万円となりました。
6.親会社株主に帰属する当期純損益
当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額は、前連結会計年度比9億65百万円(17.2%)増の65億78百万円となりました。以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比19億73百万円(14.1%)減の119億74百万円となりました。また、当連結会計年度の1株当たり当期純利益金額は162.75円となりました。
④ 経営上の目標の達成状況
当社グループは、2026年3月期を最終年度とする5カ年の中期経営計画「JGP2025」を策定しております。「JGP2025」において掲げる4つの基本方針に基づき、当連結会計年度までに実施又は計画した具体的な施策は以下のとおりであります。
① 世界に類を見ないプラスチック総合加工機械メーカーへ
○EV向けに大幅な需要増加が見込まれるセパレータ用フィルム・シート製造装置について、60ライン製造に向けて生産体制を着実に増強
○コンデンサー用などのフィルム・シート製造装置への取り組み強化
○広島製作所にケミカルリサイクル対応の技術開発センターを開設
○二軸混練押出機の世界標準機を開発し、中国、東南アジア市場へ展開
○自動車の軽量化に伴い需要拡大が見込まれる大型マグネシウム射出成形機を上市
○欧州に射出成形機の生産拠点を開設
② 素形材・エンジニアリング事業の継続的な利益の確保
○鋳鍛鋼製品における高収益化を目的とした製品ポートフォリオの見直しを鋭意推進
○原材料・エネルギー費高騰に対応するための製品価格の適正化
③ 新たな中核事業の創出
○次世代半導体関連装置などを開発・上市し、電子デバイス関連装置事業における製品ラインナップを更に充実
○窒化ガリウム基板の量産に向けて大型実証設備の稼働を開始
○世界最先端の銅合金素材製造設備による高強度銅合金の量産化
○イノベーション創出のための研究開発体制・組織を整備・集約することを計画
(2023年4月1日付イノベーションマネジメント本部の設立)
④ ESG経営の推進
○ESG推進委員会を中心にESG活動に対する取り組みを強化
○コーポレート組織にESG推進室を新設
○TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明
○Purpose(パーパス)を起点とした日本製鋼所グループの企業理念体系を制定
○Purpose(パーパス)実現のために優先的に取り組むべきテーマとしてマテリアリティを特定
(3)資本の源泉及び資金の流動性
① キャッシュ・フロー
○当連結会計年度の概要
2021年3月期
2022年3月期
2023年3月期
増減
営業活動によるキャッシュ・フロー
(百万円)
14,712
22,325
△986
△23,311
投資活動によるキャッシュ・フロー
(百万円)
△3,243
△2,976
947
3,923
財務活動によるキャッシュ・フロー
(百万円)
2,767
△2,860
△20,112
△17,252
現金及び現金同等物に係る換算差額
(百万円)
△46
551
752
200
現金及び現金同等物の増減額(百万円)
14,189
17,040
△19,399
△36,439
新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額
(百万円)
92
-
-
-
現金及び現金同等物の期末残高
(百万円)
88,759
105,799
86,400
△19,399
借入金等及び社債の期末残高(百万円)
58,041
58,442
43,421
△15,020
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末比193億99百万円減少し、864億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。
2020年3月期
2021年3月期
2022年3月期
2023年3月期
自己資本比率(%)
44.0
44.4
44.0
45.7
時価ベースの自己資本比率(%)
32.4
61.1
82.7
52.4
債務償還年数(年)
2.8
4.0
2.6
-
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
68.8
46.9
79.5
-
② 流動性と資金の源泉
当社グループは、現在及び将来の事業活動のための適切な水準の流動性を維持すると同時に、資本効率の最適化を重要な財務活動の方針としております。上記目的の為、日常的に運転資金の効率化活動を推進すると共に、投融資・設備投資にあたっては、資本効率向上の観点から厳選しております。
当社グループは、営業活動により創出されるキャッシュ・フローと現金及び現金同等物を内部的な資金の主な源泉と考えております。また、資金需要に応じて株式等の資本性証券や社債の発行及び金融機関からの借入も可能と考えております。
③ 財務政策
当社グループは現在、運転資金等の短期資金については、主として短期借入金により、当社及び各々連結子会社が調達しています。2023年3月31日現在、1年以内に返済予定の長期借入金を除く短期借入金の残高は109億5百万円です。
これに対して、機械設備の新設などの有形固定資産の取得やアライアンスの推進等の長期資金については、原則として自己資本・長期借入金にて調達しております。2023年3月31日現在、1年以内に返済予定のものを含む長期借入金残高は316億42百万円で、全て金融機関からの借入によるものであります。
借入金等の概要については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 ⑤連結附属明細表」のとおりであります。
当社グループは、引き続き財務の健全性を保ち、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出すとともに、資金需要に応じて株式等の資本性証券や社債の発行及び金融機関からの借入も実施することで、将来必要な運転資金、設備投資資金及びアライアンスの推進資金を調達することが可能と考えています。
