【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)業績の状況
当第3四半期連結累計期間における海外経済は、半導体需給の逼迫や物流費の高騰が続く中、急激な資源・原材料の価格高騰、中国経済の減速なども加わり、景気持ち直しの足踏みが続きました。わが国経済も、世界経済の回復足踏みを受けて、当初の期待より設備投資の勢いが鈍く、景気は緩やかな回復に留まりました。一方、今後の見通しにつきましては、ウクライナ危機やサプライチェーンの混乱、各国の金融引締め、中国における政策転換の影響が継続・長期化するリスクはあるものの、アフターコロナへの経済活動の適応とともに、環境規制・人手不足を背景とする省力化投資が進むなど、企業の設備投資は着実に進展していくものと考えます。
当社グループを取り巻く経営環境は、産業機械事業では、成形機の需要が自動車や家電業界における供給制約の影響により期初予想に比して伸び悩みましたが、EV関連を中心に樹脂製造・加工機械の需要が着実に伸長し、足元では過去最高の受注残高で推移しております。素形材・エンジニアリング事業では、鋳鍛鋼製品の需要自体は底堅く推移しましたが、品質検査の不適切行為に起因し、一部で受注の自主制限や出荷済製品の品質調査を行った影響が続きました。
このような状況のもと、当社グループは2021年5月に策定しました2022年3月期を初年度とする5カ年の中期経営計画「JGP2025」に沿って、①世界に類を見ないプラスチック総合加工機械メーカーへ、②素形材・エンジニアリング事業の継続的な利益の確保、③新たな中核事業の創出、④ESG経営の推進の4つを基本方針とした事業活動を推進しております。とりわけ、2023年3月期においては、産業機械事業、素形材・エンジニアリング事業とも、新規需要開拓、製品付加価値向上や競争力強化とともに、お客様のご理解を得ながら調達品、原材料・エネルギー等の価格高騰に応じた一段の販売価格改善に向けた活動を強力に推進しております。
当社グループにおける当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、前年同期に比し、受注高は、素形材・エンジニアリング事業が減少したものの、産業機械事業が増加したことから、2,191億39百万円(前年同期比2.1%増)となりました。売上高は、素形材・エンジニアリング事業が減少したものの、産業機械事業が増加したことから、1,621億96百万円(前年同期比10.3%増)となりました。損益面では、両事業とも急激な原材料等の価格高騰の影響を受け、営業利益は60億41百万円(前年同期比40.4%減)、経常利益は74億44百万円(前年同期比34.3%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は33億19百万円(前年同期比63.3%減)となりました。
(当社子会社の一部製品における品質検査の不適切行為)
当社の子会社である日本製鋼所M&E株式会社で、品質検査に関して不適切な行為が行われていたことを受け、当社は、外部弁護士から構成される特別調査委員会を設置し、詳細な事実調査と原因究明、当社全体の品質保証体制の調査及び検証等を実施し、2022年11月14日に調査結果の報告及び再発防止策の提言を受けております。
当社は、当該調査結果を真摯に受け止め、グループ一丸となって品質保証体制の再構築及びガバナンスの一層の強化など、再発防止策の徹底を図るにとどまらず、高い倫理観とチャレンジ精神、あらゆる業務・場面における心理的安全性の醸成・両立が重要と認識し、企業風土の刷新を進め、お客様や当社株主の皆様をはじめ関係各位からの信頼回復に向けて、引き続き全力で取り組んでまいります。
○セグメントの業績は次のとおりであります。
(産業機械事業)
受注高は、成形機の需要は期初の想定より伸び悩みましたが、EV関連を中心とする堅調な需要を背景に、樹脂製造・加工機械が総じて増加したことから、1,865億37百万円(前年同期比3.9%増)となりました。
売上高は、樹脂製造・加工機械が伸長したほか、成形機も前年同期を上回る水準を確保したことから、1,383億20百万円(前年同期比15.4%増)となりました。
営業利益は、半導体をはじめとする部品価格や輸送費等の高騰への対策として取り組んでいる販売価格改善活動の効果が着実に出始めているものの、当第3四半期連結累計期間では価格高騰による影響が上回り、107億49百万円(前年同期比13.5%減)となりました。
(素形材・エンジニアリング事業)
受注高は、エンジニアリングサービス分野で大口案件を受注したものの、鋳鍛鋼製品が減少したことから、312億52百万円(前年同期比3.9%減)となりました。
売上高は、品質不適切行為に起因する生産・出荷の遅延により鋳鍛鋼製品が減少したことから、225億24百万円(前年同期比10.9%減)となりました。
営業損益は、原材料やエネルギーのコスト増大に加え、品質不適切行為に起因する売上減や操業の低下が影響し、営業損失14億65百万円(前年同期は営業利益6億22百万円)となりました。
(2)財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末比15億7百万円増加し、3,412億37百万円となりました。これは主に、仕掛品や原材料及び貯蔵品などの流動資産が増加したためであります。
当第3四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末比10億70百万円増加し、1,897億16百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金や電子記録債務などの流動負債が増加したためであります。
当第3四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末比4億36百万円増加し、1,515億20百万円となりました。これは主に、為替換算調整勘定が増加したためであります。自己資本比率は43.9%(前連結会計年度末は44.0%)となりました。
(3)経営方針
当社は、将来予測が困難な事業環境において、当社グループが一丸となって変化に対応していくための判断と行動の軸となる「Purpose(パーパス)」を“「Material Revolution」の力で世界を持続可能で豊かにする。”と制定しました。また、「Purpose(パーパス)」を起点として、当社グループが将来目指す姿である「Vision(ビジョン)」及び当社グループ独自の提供価値を生み出す「Value Creation Process(価値創造プロセス)」を再定義し、これら3つを合わせて企業グループ理念体系「Our Philosophy」として制定しました。同時に、「Purpose(パーパス)」を達成するために優先的に取り組むべきテーマとして6つのマテリアリティ(重要課題)を特定し、これらを2022年11月29日に公表しております。
当社グループは、全ての役職員が「Purpose(パーパス)」を共有し、マテリアリティ(重要課題)の重要性を認識した上で、実効性のある経営、事業活動に取り組み、品質不適切行為の再発防止につなげていくことはもとより、様々な社会課題を解決する産業機械と新素材の開発・実装を通じ、将来にわたって全てのステークホルダーに貢献し、社会価値の創出と持続的な企業価値の向上を同時に実現してまいります。
なお、当社ホームページに「Purpose(パーパス)」及びマテリアリティ(重要課題)の詳細を掲載しておりますのでご参照ください。
Purpose(パーパス)
(https://www.jsw.co.jp/ja/guide/vision.html)
マテリアリティ(重要課題)
(https://www.jsw.co.jp/ja/sustainability/materiality.html)
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は36億27百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
