【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営成績の分析
①連結経営成績の概況
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
増減率(%)
連結経営成績
売上高
577,249
579,772
2,523
0.4
売上総利益
43,976
44,963
986
2.2
販売費及び一般管理費
41,030
42,492
1,462
3.6
営業利益
2,945
2,470
△475
△16.1
経常利益
5,834
5,960
126
2.2
親会社株主に帰属する当期純利益
4,770
4,831
60
1.3
当連結会計年度における売上高は、579,772百万円(前連結会計年度比0.4%増)となりました。これは、主に、新型コロナウイルス感染症関連の医療用医薬品や医療機器、臨床検査試薬等の販売が好調に推移したことによるものです。売上総利益は、44,963百万円(同2.2%増)となりました。これは、主に上述の販売増や取引コストを意識した価格交渉を徹底したことによるものです。販売費及び一般管理費は、42,492百万円(同3.6%増)となりました。これは、貸倒引当金の計上や電気料金の値上げ等によるものです。以上の結果、営業利益は、2,470百万(同16.1%減)となりました。経常利益は、製薬企業からの受取事務手数料、受取配当金、投資事業組合の運用益等の営業外収益を3,682百万円計上したことで5,960百万円(同2.2%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、主に投資有価証券売却益からなる特別利益4,224百万円と、のれんの減損損失1,713百万円等の特別損失2,072百万円を計上したことで、最終的に4,831百万円(同1.3%増)となりました。
②セグメント業績の概況(a)医薬品卸売事業
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
増減率(%)
外部顧客への売上高
544,249
546,058
1,809
0.3
セグメント利益
2,443
2,053
△390
△16.0
当社グループの主たる事業である医薬品卸売事業の当連結会計期間におきましては、薬剤費ベースで6.69%の薬価改定によるマイナスの影響はあったものの、主に新型コロナウイルス感染症関連の医療用医薬品や医療機器、臨床検査試薬等の販売が堅調に推移したため、販売面において前年実績を上回り伸長いたしました。利益面におきましては、上述の販売増や取引コストを意識した価格交渉を徹底したこと、各種ワクチンの販売により、さらには昨年度から引き続き国や地方自治体から受託した新型コロナワクチンの配送業務に係る収益も予想を超えたことにより、営業利益は前年実績を上回る予定でありました。しかしながら、2022年10月28日に、一部の取引先が東京地方裁判所に自己破産を申請したことにより、当社グループが保有する債権について取立不能のおそれが生じたと判断し、第2四半期において貸倒引当金を計上いたしました。その後、当該債権の一部を回収できる見込みとなったため、第4四半期において貸倒引当金の戻入を行いましたが、当初のマイナスを吸収しきれず、セグメント利益は前年実績を下回りました。その結果、当連結会計年度の医薬品卸売事業セグメントの外部顧客への売上高は546,058百万(前連結会計年度比0.3%増)となり、セグメント利益は2,053百万円(同16.0%減)となりました。
ここで、医薬品卸売事業の主たる事業子会社の株式会社バイタルネットと株式会社のケーエスケーについても主な業績の概況を説明します。
ア)株式会社バイタルネット
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
増減率(%)
売上高
273,658
279,767
6,108
2.2
営業利益
1,776
1,558
△218
△12.3
東北・新潟を主な商圏とする㈱バイタルネットでは、新型コロナウイルス関連用品等の販売増により、当連結会計年度の売上高は279,767百万円(前連結会計年度比2.2%増)となりました。営業利益は、上述のとおり、一部の取引先の債権について貸倒引当金を計上する等販管費が増加したこともあり、1,558百万円(同12.3%減)となりました。
イ)株式会社ケーエスケー
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
増減率(%)
売上高
280,736
278,035
△2,701
△1.0
営業利益
582
590
8
1.5
近畿2府4県を商圏とする㈱ケーエスケーでは、談合問題による同業他社の入札参加資格指名停止処分が解除となったため、当連結会計年度の売上高は278,035百万円(前連結会計年度比1.0%減)となりましたが、営業利益は590百万円(同1.5%増)となりました。
(b)薬局事業
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
増減率(%)
外部顧客への売上高
18,397
18,361
△36
△0.2
セグメント利益
205
106
△98
△48.1
薬局事業におきましては、国が求めるかかりつけ薬局を目指し、関連する調剤報酬の算定に努めましたが、薬価改定の影響により、外部顧客への売上高は18,361百万円(前連結会計年度比0.2%減)となり、セグメント利益は106百万円(同48.1%減)となりました。
(c)動物用医薬品卸売事業
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
増減率(%)
外部顧客への売上高
10,399
10,879
479
4.6
セグメント利益
371
339
△32
△8.6
動物用医薬品卸売事業におきましては、主にペット関連商品の販売増により外部顧客への売上高は10,879百万円(前連結会計年度比4.6%増)となったものの、セグメント利益は貸倒引当金の計上等により339百万円(同8.6%減)となりました。
(d)その他事業
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
増減率(%)
外部顧客への売上高
4,201
4,473
271
6.5
セグメント損失(△)
△131
△204
△72
–
(注)その他事業は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、農薬等の卸売業、運送業、介護サービス業、医療機関に対するコンサルティング業、スポーツ関連施設運営事業等を含んでおります。
その他事業におきましては、農薬卸売事業の販売が好調だったものの、新型コロナウイルスの影響で介護事業やスポーツ関連施設運営事業等の業績が振るわず、外部顧客への売上高は4,473百万円(前連結会計年度比6.5%増)であったものの、セグメント損失は204百万円(前連結会計年度は131百万円のセグメント損失)となりました。
(2) 財政状態の分析①連結財政状態の概況
(単位:百万円)
前連結会計年度(2022年3月31日)
当連結会計年度(2023年3月31日)
増減
増減率(%)
資産合計
313,033
297,316
△15,717
△5.0
流動資産合計
198,532
188,502
△10,030
△5.1
現金及び預金
26,971
19,029
△7,942
△29.4
受取手形及び売掛金
119,533
118,386
△1,146
△1.0
棚卸資産
31,788
30,846
△942
△3.0
その他流動資産
20,239
20,240
0
0.0
固定資産合計
114,501
108,813
△5,687
△5.0
有形固定資産合計
45,761
49,024
3,263
7.1
無形固定資産合計
5,036
3,377
△1,659
△33.0
投資その他の資産合計
63,703
56,411
△7,291
△11.4
負債及び純資産合計
313,033
297,316
△15,717
△5.0
負債合計
212,991
197,150
△15,841
△7.4
流動負債合計
190,092
178,659
△11,433
△6.0
支払手形及び買掛金
176,685
164,571
△12,113
△6.9
短期借入金(一年内返済予定長期借入金を含む)
1,960
1,960
–
–
その他の流動負債合計
11,447
12,127
679
5.9
固定負債合計
22,898
18,491
△4,407
△19.2
長期借入金
7,760
6,790
△970
△12.5
その他固定負債合計
15,138
11,701
△3,437
△22.7
純資産合計
100,041
100,165
123
0.1
株主資本合計
75,631
78,099
2,467
3.3
その他の包括利益累計額合計
23,329
20,886
△2,442
△10.5
非支配株主持分
1,080
1,179
98
9.2
(a)資産流動資産は前連結会計年度末比10,030百万円(5.1%)減少の188,502百万円となりました。これは主に、事業会社の支店用地の取得や、仕入債務の支払サイト短縮等により現金及び預金が7,942百万円減少したことによります。固定資産は前連結会計年度末比5,687百万円(5.0%)減少の108,813百万円となりました。これは主に、支店用地の取得等により有形固定資産合計が3,263百万円増加したものの、のれんの減損等により無形固定資産が1,659百万円減少、投資有価証券の売却等で投資その他の資産合計が7,291百万円減少したこと等によります。以上の結果、資産合計は前連結会計年度末比15,717百万円(5.0%)減少の297,316百万円となりました。
(b)負債流動負債は前連結会計年度末比11,433百万円(6.0%)減少の178,659百万円となりました。これは主に、支払サイトの短縮等により、支払手形及び買掛金が12,113百万円減少したこと等によります。固定負債は前連結会計年度末比4,407百万円(19.2%)減少の18,491百万円となりました。これは主に、長期借入金から一年内返済予定長期借入金への振替え970百万円のほかに、一部の事業子会社が退職給付信託へ2,000百万円拠出したことと繰延税金負債が1,068百万円減少したことで、その他固定負債合計が3,437百万円減少したことによります。以上の結果、負債合計は前連結会計年度末比15,841百万円(7.4%)減少の197,150百万円となりました。
(c)純資産純資産は前連結会計年度末比123百万円(0.1%)の微増にとどまり100,165百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益4,831百万円を計上したものの、資本効率の改善のために、配当金の支払いと自己株式取得による株主還元、政策保有株式の処分を前年よりも進めた結果です。以上の結果、負債及び純資産合計は前連結会計年度末比15,717百万円(5.0%)減少の297,316百万円となりました。
(3)キャッシュ・フローの分析並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
①連結キャッシュ・フローの概況
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
営業活動によるキャッシュ・フロー
7,487
△3,001
△10,488
投資活動によるキャッシュ・フロー
△2,013
△1,038
974
財務活動によるキャッシュ・フロー
△8,486
△4,080
4,406
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)
△3,013
△8,121
△5,108
現金及び現金同等物の期首残高
26,252
23,239
△3,013
連結範囲の変更に伴う現金及び現金同等物の増減額(△は減少)
―
29
29
現金及び現金同等物の期末残高
23,239
15,147
△8,092
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末比8,092百万円減少し、15,147百万円となりました。
(a) 営業活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度において、営業活動による資金の減少は3,001百万円(前連結会計年度は7,487百万円の増加)となりました。これは税金等調整前当期純利益8,111百万円(前連結会計年度は7,648百万円)、差入保証金の減少額4,278百万円(前連結会計年度は13百万円の減少)等の増加要因があったものの、仕入債務の減少額12,113百万円(前連結会計年度は9,624百万円の増加)、法人税等の支払額3,527百万円(前連結会計年度は1,512百万円)等の減少要因があったことによるものです。
(b) 投資活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度において、投資活動による資金の減少は1,038百万円(前連結会計年度は2,013百万円の減少)となりました。これは主として、投資有価証券の売却による収入5,491百万円(前連結会計年度は2,588百万円)等の増加要因があったものの、有形固定資産の取得による支出5,840百万円(前連結会計年度は3,415百万円)、無形固定資産の取得による支出759百万円(前連結会計年度は725百万円)等の減少要因があったことによるものです。
(c)
財務活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度において、財務活動による資金の減少は4,080百万円(前連結会計年度は8,486百万円の減少)となりました。これは配当金の支払額1,365百万円(前連結会計年度は651百万円)、自己株式取得による支出998百万円(前連結会計年度は1,559百万円)等の減少要因があったことによるものです。
②資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(a) 資金調達の方法及び状況当社グループの資金調達の方法は、通常の事業活動の展開や支店・倉庫の新設や更新投資等においては、営業活動から得られる資金で賄うことをベースに考えますが、必要に応じて、銀行借入で賄うこともあります。一方、大型の物流センターの建設やM&A等の実施の場合には、銀行借入の他に、社債発行や株式発行等による調達方法も選択肢に加え柔軟に検討いたします。
(b) 資金の主要な使途を含む資金需要の動向当社グループは、営業活動から得られた資金と外部調達から得られた資金を事業の運転資金や設備・システムの新設・更新・維持投資、それに新規事業投資やM&A等に振り向けるほか、株主還元を経営の重要課題と位置付け、必要な手許資金を残して、余剰資金を適切に株主還元に充当していく考えです。
(c) 株主還元繰り返しになりますが、当社グループは、株主還元を経営の重要課題と位置付け、総還元性向50%以上、配当については単年度の業績変動の影響を受けにくい株主資本配当率(DOE)を採用し、DOE2.0%以上を目標に実施していきます。この基本方針のもと、当連結会計年度における株主還元につきましては、次のとおり実行しています。まず、自己株式取得につきましては、2022年6月22日に、発行済株式総数(自己株式を除く)の2.7%に当たる145万株(総額998百万円)を市場から買い付けしました。次に、配当金につきましては、DOE2.0%以上の配当方針に基づき、中間配当金を1株につき12円、期末配当金は1株につき27円とし、年間で1株につき39円(連結配当性向42.1%)とさせて頂きました。次期につきましては、中間配当金は1株につき19円、期末配当金は1株につき20円とし、年間で1株につき39円(連結配当性向38.8%)を予定しています。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められた会計基準に基づいて作成しています。これらの財務諸表の作成にあたっては、当社グループは重要な見積りや仮定を行う必要があります。会計方針の適用にあたり、特に重要な判断を要する項目は以下のとおりです。
①のれんの減損のれんについては、毎年、四半期ごとに、薬局事業内ののれんの発生元における事業環境や将来の業績見通しの悪化、事業戦略の変化等を考慮しながら、減損の必要性を自社内で確認しています。もし、減損の必要があると判定された場合には、独立した外部の評価機関に適正な割引率の算定を委託し、これをもとに減損損失を計上することにしています。この方針に従い、薬価改定の影響を加味し事業計画の見直しを行い、割引前将来キャッシュフローを算定した結果、減損の認識が必要と判断し、のれんの減損損失1,713百万円を特別損失に計上しております。
②その他以下に示すその他の重要な会計方針の見積り項目につきましても、上記①に記載した当社の仮定に基づき評価等をしております。
(a)貸倒懸念債権等特定の債権の評価個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を貸倒引当金に計上しております。
(b)投資有価証券の評価回復可能性等を考慮して必要と認められる額につきまして減損処理を行っております。
(c)繰延税金資産の回収可能性将来の課税所得を見積り、回収可能と判断しております。
(d)賞与引当金支給見込額に基づき計上しております。
(e)退職給付費用及び退職給付債務に関する割引率及び期待運用収益率国債の市場利回り等の経済状況を勘案して決定しております。
(5) 生産、受注及び販売の状況① 仕入実績当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前年度比(%)
医薬品卸売事業
518,459
100.7
薬局事業
13,555
100.8
動物用医薬品卸売事業
9,151
106.0
その他事業
3,154
110.3
合計
544,320
100.9
(注) 1.金額は、仕入価格によっております。2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
② 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前年度比(%)
医薬品卸売事業
546,058
100.3
薬局事業
18,361
99.8
動物用医薬品卸売事業
10,879
104.6
その他事業
4,473
106.5
合計
579,772
100.4
(注) 1.金額は、販売価格によっております。2.セグメント間の取引については相殺消去しております。3.主な相手先別の販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上に該当するものはありません。
#C3151JP #バイタルケーエスケーHD #卸売業セクター