【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、個人消費や企業の設備投資の増加等により足元の景気が緩やかな回復基調にある一方で、新型コロナウイルス感染症第7波のほか、急速に進んだ円安や物価上昇、世界景気の悪化等の様々な懸念要因が影を落とす形で推移しました。医薬品業界においても、原薬・原材料の調達コストの増加やドル建ての海外臨床試験費用の増加等、円安ドル高や物価・エネルギー価格の上昇による事業への影響を指摘する声が聞かれるようになっております。
このような環境下において、当第3四半期連結累計期間における当社グループの業績は以下の通りとなりました。
ヒト用医薬品につきましては、HK inno.N Corporation(本社:韓国オソン、以下「HKイノエン社」)が韓国で販売中の胃食道逆流症治療薬K-CAB®(一般名:tegoprazan、以下「tegoprazan」)の売上が前年に引き続いて好調に推移し、当第3四半期連結会計期間の売上は316億ウォン(前年同期比12.5%増)となり、2022年の累計売上高は922億ウォンとなっております(いずれも院外処方データ)。さらに、HKイノエン社は、2022年7月、韓国においてびらん性胃食道逆流症治癒後の維持療法にかかる製造販売承認を取得しました。これにより、韓国において製造販売承認を得ている適応症は、びらん性胃食道逆流症、非びらん性胃食道逆流症、胃潰瘍、ヘリコバクター・ピロリ除菌補助療法、びらん性胃食道逆流症治癒後の維持療法の5つとなりました。
Tegoprazanのグローバル展開も順調に進展しております。当第3四半期連結累計期間においては、販売名「泰欣賛®(タイシンザン)」のもとに中国で販売されているほか、モンゴルおよびフィリピンで発売に向けた準備が進行いたしました。このほか、インドネシア、タイ、メキシコを含む29カ国において承認審査中または承認申請準備中の段階となりました。
ペット用医薬品につきましては、Elanco Animal Health Inc.(本社:米国インディアナ州、以下「エランコ社」)に導出した犬の骨関節炎治療薬GALLIPRANT®(一般名:grapiprant)、犬の食欲不振症の適応を持つENTYCE®(一般名:capromorelin)、および慢性腎疾患の猫の体重減少管理の適応を持つELURA®(一般名:capromorelin)の売上が堅調に推移しております。特に、GALLIPRANT®はエランコ社の収益に大きく寄与する製品のひとつとなり、世界最大のペット用医薬品市場である米国において、2017年の販売開始から5年が経過した現在も売上を拡大し続けております。
また、当社が株式会社AskAt(本社:愛知県名古屋市、以下「AskAt社」)に導出したシクロオキシゲナーゼ阻害薬(COX-2阻害薬、RQ-00317076/AAT-076)につきまして、AskAt社は、Velo-1, Inc.(本社:米国テネシー州)との間でライセンス契約および開発サポート契約を締結いたしました。これにより、当社はAskAt社から一時金を受領いたしました。
導出済みプログラムにつきましては、導出先企業において前臨床開発段階以降の取り組みが進められております。導出準備プログラムにつきましては、自社で開発を進めているグレリン受容体作動薬の前臨床試験が進行しているほか、日本国内におけるtegoprazanの速やかな上市を目指し、臨床開発の準備および提携先候補の探索に関する取り組みを当社は進めております。さらに、探索研究段階においては、あすか製薬株式会社との共同研究が着実に進んでいるほか、自社のプロジェクトにおいて開発候補化合物創出に向けた取り組みを推進しております。当第3四半期連結累計期間においては、STAND Therapeutics株式会社(本社:東京都港区、以下「STAND社」)との間で共同研究契約を締結し、当社が保有するイオンチャネル創薬技術とSTAND社が保有する細胞内抗体の作製技術を活用して新たな難病・希少疾患治療薬の創製を目指す共同研究を開始いたしました。
また、連結子会社のテムリック株式会社が見出し、Syros Pharmaceuticals Inc.(本社:米国マサチューセッツ州、以下「シロス社」)に導出したレチノイン酸受容体α作動薬(タミバロテン/TM-411/SY-1425)につきましては、骨髄異形成症候群(MDS)および急性骨髄性白血病(AML)を対象とした臨床試験が米国においてシロス社により進められております。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の経営成績は、事業収益1,904百万円(前年同四半期比17.3%増)、営業利益501百万円(前年同四半期比367.6%増)、経常利益676百万円(前年同四半期比183.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益467百万円(前年同四半期比175.9%増)となりました。
なお、事業費用の総額は1,403百万円(前年同四半期比7.4%減)、その主な内訳は事業原価167百万円(前年同四半期比37.5%減)、研究開発費840百万円(前年同四半期比7.6%増)及びその他の販売費及び一般管理費394百万円(前年同四半期比15.3%減)となりました。
(2)財政状態の分析
(資 産)
当第3四半期連結会計期間末における総資産合計は、前連結会計年度末に比べ615百万円増加(11.8%増)し、5,849百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加1,207百万円、売掛金及び契約資産の減少718百万円、有価証券の減少112百万円及びリース資産の増加170百万円によるものであります。
(負 債)
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ157百万円増加(35.3%増)し、603百万円となりました。これは主に、リース債務の増加189百万円及び未払金の減少32百万円によるものであります。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ458百万円増加(9.6%増)し、5,246百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益467百万円の計上によるものであります。
以上の結果、自己資本比率は89.5%(前連結会計年度末比1.8ポイント減)となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,115百万円増加(49.8%増)し、3,355百万円(前年同四半期は2,209百万円)となりました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は、952百万円(前年同四半期比69.7%増)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益673百万円及び減価償却費108百万円を計上したことのほか、売上債権の減少718百万円による資金の獲得及び法人税等の支払額183百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により獲得した資金は、57百万円(前年同四半期は、資金の使用487百万円)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出200百万円、投資有価証券の取得による支出351百万円、投資有価証券の売却による収入315百万円及び投資有価証券の償還による収入210百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、11百万円(前年同四半期比65.5%増)となりました。これは主に、長期借入れによる収入13百万円及びリース債務の返済による支出27百万円によるものであります。
(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第3四半期連結累計期間においては、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間においては、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当社グループの研究開発活動における当第3四半期連結累計期間の研究開発費は、840百万円となりました。また、当第3四半期連結累計期間においては、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、事業活動のための適切な流動性の確保と株主価値向上のための資金調達戦略の提示と実行を基本方針としております。
資本の財源につきましては、医薬品の上市品目が増えたことにより、長期的かつ安定的なロイヤルティ収入が主要な財源となっております。一定規模以上の臨床開発を除き、ロイヤルティ収入を財源として医薬品の研究開発を進めてまいります。また、今後の臨床開発等の資金需要に対して、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保するため、三菱UFJ銀行とコミットメントライン契約(契約金額:10億円)を締結したほか、ファイナンス・リースや銀行借入等のチャネルの活用により財務基盤の強化を図っております。
資金の流動性につきましては、当第3四半期連結会計期間末における流動比率は1,305.5%となっており、十分な流動性を確保しております。
当第3四半期連結累計期間の四半期連結キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
