【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の分析
[内外環境]
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類に引き下げられたことから、経済活動は一段と正常化に向かい、個人消費やインバウンド需要は回復基調を維持しました。一方、長期化するウクライナ情勢、原材料・資源価格の上昇、円安地合いの継続や、これらに端を発した物価上昇など、わが国を取巻く内外環境には、依然として、様々なリスク要因が残っており、先行き不透明な状況が継続しています。
[主要施策]
当社グループは、コロナ禍により顕在化した高コスト体質を改善するため、コスト構造の抜本的な見直しに鋭意取り組んで参りましたが、コロナ禍はまた、当社が長年のテーマとしてきた「健康と環境」という価値観の普遍性、また過去からの優位性である「モノづくり」の重要性を再確認することとなりました。
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが引き下げられ、現状、経済活動は一段と正常化に向かいつつありますが、当社グループにおいては、取り巻く環境変化が継続するとの認識の下、変化に対応し、新たな成長フェーズを確固たるものにするためのスタートとして、3カ年の中期経営戦略『SANYEI 2025』を策定し、現在、目標達成に向けて、事業改革の強化、見直しの徹底に取り組んでいます。
中期経営戦略『SANYEI 2025』では、重点施策として、「グループ事業構造、事業ポートフォリオの見直し」「スピード感のある新規取組みの促進」「ワークライフバランス」「ガバナンスの強化」を掲げ、最終年度までに売上高500億円、経常利益20億円(経常利益率4%)の達成を数値目標として掲げています。なお、新たな成長戦略を確固たるものにするための成長ドライバーとしては、特に次の3つを挙げています。
① 海外取引の拡大
② EC事業の強化
③「健康と環境」に則ったサステナブルビジネスの追求
[連結業績]
当第1四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比5.6%減少の83億3千3百万円となりました。これは、外出やトラベル関連の需要増を背景に、服飾雑貨事業セグメントの売り上げが前年同期比伸長した一方で、巣ごもり需要の縮小により、家具家庭用品事業セグメントの売り上げが前年同期比大きく減少したことによるものです。
利益面につきましては、売上高は減少したものの、収益力の改善に注力した結果、売上総利益率が改善し、売上総利益は前年同期比1億9千2百万円増加の21億2千3百万円となりました。営業利益につきましては、店舗経費の減少やグループ基幹システムに係る減価償却費の減少など、販管費が前年同期比4千8百万円減少したことから、前年同期比2億4千1百万円改善したものの、3百万円の損失となりました。経常利益は、為替差益の計上により、前年同期比3億2千8百万円改善の1億3千1百万円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、法人税等調整額の貸方計上により法人税等が前年同期比減少し、前年同期比5億9百万円増加の2億3千7百万円となりました。
[セグメント別業績]
(家具家庭用品事業)
当報告セグメントの売上高は、前年同期比29.8%減少の39億7千7百万円となりました。長引くコロナ禍から社会・経済活動が正常化へ移行する中、巣ごもり消費の減退は顕著となっており、OEM事業では受注状況が大きく減少しました。ブランド事業においても、ドイツのテーブルウェアブランド「Villeroy & Boch(ビレロイアンドボッホ)」等を取扱う(株)エッセンコーポレーションや「MINT(ミント)」などの家具・インテリアのネットショップの売り上げが、前年同期比減少しました。
セグメント利益については、売上総利益率の改善が図られたものの、売上高の減少を主因として、前年同期比1億5千9百万円減少の8千8百万円となりました。
(服飾雑貨事業)
当報告セグメントの売上高は、前年同期比66.3%増加の29億8千8百万円となりました。移動・行動制限の緩和により外出やトラベル関連の需要が増加していることから、外出やトラベル関連の商材の売り上げが大幅に回復しており、特にOEM事業において売上高を押し上げました。ブランド事業においては、ドイツのコンフォートシューズブランド「BIRKENSTOCK(ビルケンシュトック)」等を販売する(株)ベネクシーおよびベルギーのプレミアム・カジュアルバッグブランド「Kipling(キプリング)」を販売する(株) L&Sコーポレーションの売り上げが、店舗網のダウンサイズを進めながらも、前年同水準で推移しました。
セグメント利益については、売上高の増加に加えて、ブランド子会社での採算性向上を主因に、前年同期比3億6千5百万円増加の1億2千4百万円となりました。
(家電事業)
当報告セグメントの売上高は、前年同期比9.9%減少の8億8千8百万円となりました。OEM事業では、季節商品の受注増などにより前年同期比増加となりました。ブランド事業においては、理美容家電の売り上げは堅調に推移したものの、調理家電において、巣ごもり需要の減退や前年計上した海外での大口売上が一過性のものであったことから、全体として前年同期比減少となりました。なお、理美容家電・調理家電のブランド販売子会社㈱ゼリックコーポレーションは2023年4月1日付けで当社に吸収合併(簡易合併・略式合併)しております。
セグメント利益については、売上高は減少したものの売上総利益率の改善を主因に、前年同期比1千万円改善し、3千6百万円の損失となりました。
(2)財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ12億9千4百万円減少の183億5千8百万円となりました。
主な資産の変動は、「売掛金」「現金及び預金」がそれぞれ7億6百万円、3億7千9百万円減少しております。
主な負債の変動は、「短期借入金」「支払手形及び買掛金」「繰延税金負債」がそれぞれ7億1千8百万円、3億7千1百万円、1億6千1百万円減少しております。
主な純資産の変動は、「利益剰余金」が1億5千5百万円増加しております。
この結果、自己資本比率は56.4%、1株当たり純資産は4,310円82銭となりました。
(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資金需要
当社グループの主要な資金需要は棚卸資産の購入のほか、人件費、販売費および一般管理費等の費用ならびに当社グループの設備の新設および改修等に係る投資となります。また、今後、当社グループの新たな収益源となり、企業価値向上に資するとの判断から、M&Aを含む新規事業への投資も資金需要の対象となります。
②財務政策
資金需要の財源といたしましては、営業活動によるキャッシュ・フローおよび自己資金のほか、主要取引銀行から供与された円資金借入枠に基づく借入金となります。なお、当社および国内関係会社との間でCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入しており、これにより、各社における余剰資金を当社へ集中し一元管理することで、資金効率の向上に努めています。また、「流動性の確保」、「金利上昇リスクのヘッジ」等を目的に社債の発行および長期借入金も実行しております。
一方、当社では、為替相場変動リスクのヘッジ方法の一環として、国内OEM取引先との間で商品代金等の決済を米ドル建てで行う契約を締結しています。このため、短期のつなぎ資金として米ドル資金が必要となりますが、その調達源として、当社では、主要取引銀行との間で中長期多通貨コミットメントラインを締結しております。これにより、今後、本邦において米ドル資金調達リスクが想定外に顕在化した場合でも、米ドル資金の流動性を確保することができます。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
特記事項はありません。
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