【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類への移行に伴う経済活動の正常化により、個人消費やインバウンド需要、設備投資に回復の動きがみられました。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化や円安を起因とする原材料・エネルギー価格の高騰による物価上昇、さらには、世界的な金融引き締めによる世界経済の下振れ等が、国内の景気を押し下げるリスクは依然として高く、先行も不透明な状況です。
当社グループにおいては、当連結会計年度は、2021年度から2023年度までの3カ年計画である第4次中期事業計画の最終年度となります。
過酷な経営環境を乗り切るために、これまで以上のスピードで紙・板紙事業からホーム&パーソナルケア事業への構造転換による「強靭な事業ポートフォリオの確立」を進めています。また、紙・板紙事業、ホーム&パーソナルケア事業のほぼ全ての製品における販売価格の維持や、主要工場でのエネルギー構成や生産体制の見直し、省力化を含む聖域なきコストダウンを着実に進めてまいります。
当第2四半期連結累計期間の連結業績は、以下のとおりです。
売上高
331,228百万円
(前年同四半期比 7.3%増)
営業利益
7,428百万円
(前年同四半期は営業損失△7,265百万円)
経常利益
5,406百万円
(前年同四半期は経常損失△7,792百万円)
親会社株主に帰属する
四半期純利益
3,926百万円
(前年同四半期は親会社株主に帰属する
四半期純損失△8,301百万円)
セグメントの状況は、次のとおりです。
① 紙・板紙
売上高
174,638百万円
(前年同四半期比 5.3%増)
セグメント利益
8,586百万円
(前年同四半期はセグメント損失△3,933百万円)
紙・板紙事業においては、新聞用紙は、発行部数及び頁数の減少により販売数量は前年同期より減少しましたが、価格改定の浸透によって販売金額は前年同期を上回りました。
洋紙事業(新聞用紙を除く)は、更なるグラフィック用紙の需要減少によってチラシやパンフレット用途の洋紙を中心に販売数量は前年同期より減少しましたが、価格改定の浸透によって販売金額は前年同期を上回りました。
板紙・段ボールは、食料品や日用品の値上げによって国内需要は鈍化し、輸出についても中国をはじめとする国際市場の停滞による需要減により販売数量は前年同期を下回りましたが、国内での価格改定の浸透によって販売金額は前年同期を上回りました。
これらの結果、紙・板紙事業では、売上高及びセグメント利益は前年同期を上回りました。
② ホーム&パーソナルケア
売上高
144,333百万円
(前年同四半期比 11.4%増)
セグメント損失(△)
△2,643百万円
(前年同四半期はセグメント損失△4,552百万円)
ホーム&パーソナルケア事業において国内事業では、衛生用紙は、ソフトパックティシューや長尺トイレット等、市場のニーズに応じた付加価値品の販売により販売数量は横ばいで推移し、価格改定の浸透により金額は前年同期を上回りました。紙加工品は、生活者の要望を反映した新商品やリニューアル品及び人気キャラクターを採用したデザイン企画品を連続して市場に投入し、好評を得ました。また、2023年9月に立ち上げた新ブランド「エリエール Pet キミおもい」によって、ペットケア市場に本格参入しており、配荷を進めています。
国内事業全体としては、新型コロナウイルスの5類感染症移行に伴うマスクの需要減少等、市場環境の変化により販売数量が減少した商品カテゴリーがあったものの、価格改定の浸透によって販売金額は前年同期を上回りました。
海外事業では、ブラジルは、各商品の価格改定の浸透に加え、フェミニンケア、ベビーケア、紙製品等の高付加価値品上市によるプレミアム化の進行によって販売金額は前年同期を上回りました。また、トルコも、各商品の価格改定の浸透に加え、ベビーケア、ウエットティシュー、リキッド等の拡販によって販売金額は前年同期を上回りました。一方、中国は、同国経済低迷の長期化により、ロックダウン後の実店舗からECへの消費動向の急激な変化や、プレミアム品からスタンダード品へのシフト等の影響もあり、販売金額は前年同期を大きく下回りました。
これらの結果、ホーム&パーソナルケア事業では、国内事業・海外事業ともに売上高は前年同期を上回りましたが、セグメント利益は、中国事業における収益悪化の影響が大きく、セグメント損失となりました。
③ その他
売上高
12,255百万円
(前年同四半期比 8.6%減)
セグメント利益
1,455百万円
(前年同四半期比 21.2%増)
主に売電事業、機械事業、木材事業及び物流事業であり、売電事業の外部向けの販売減少等により、売上高は前年同期を下回りました。
<主要品種別販売数量・金額増減要因>
紙・板紙セグメント
品種
数量
金額
動向
新聞用紙
-
+
新聞発行部数及び頁数の減少、価格改定の浸透
洋紙
-
+
印刷・情報用紙の需要減少、価格改定の浸透
板紙・段ボール
-
+
段ボール等の需要減少、価格改定の浸透
ホーム&パーソナルケアセグメント(国内)
品種
数量
金額
動向
衛生用紙
→
+
ソフトパックティシュー、長尺トイレット等の付加価値品の
販売伸長、価格改定の浸透
ベビーケア
-
+
少子化に伴う需要減少、企画品の販売伸長、価格改定の浸透
大人用ケア
+
+
高付加価値パッドの販売伸長、価格改定の浸透
フェミニンケア
-
+
価格改定に伴う販売減少、価格改定の浸透
ウエットティシュー
+
-
新商品・トイレクリーナー詰替大容量の販売伸長
ペットケア
+
+
ペット市場に本格参入
(2) 財政状態の状況
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、現金及び預金や受取手形、売掛金及び契約資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ47,561百万円増加し、971,093百万円となりました。
負債は長期借入金やコマーシャル・ペーパーの増加等により、前連結会計年度末に比べ35,098百万円増加し、713,959百万円となりました。
純資産は為替換算調整勘定や利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に比べ12,462百万円増加し、257,133百万円となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ0.2ポイント低下し、25.3%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して25,318百万円増加し、127,724百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は、13,424百万円(前第2四半期連結累計期間は22,851百万円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益8,668百万円、減価償却費22,406百万円、売上債権の増加(支出)13,852百万円、棚卸資産の増加(支出)8,833百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は、10,835百万円(前第2四半期連結累計期間比8,778百万円の支出の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出14,515百万円、投資有価証券の売却による収入4,495百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は、20,436百万円(前第2四半期連結累計期間比26,203百万円の減少)となりました。これは主に、長期借入れによる収入51,400百万円、コマーシャル・ペーパーの純増額(収入)10,000百万円、長期借入金の返済による支出38,295百万円によるものです。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、1,724百万円です。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 主要な設備
当第2四半期連結累計期間において、新たに確定した主要な設備の新設等の計画は次のとおりです。
会社名
事業所名
(所在地)
セグメント
の名称
設備の
内容
投資予定額
資金調達
方法
着手及び完了予定
完成後の増加能力
総額
(百万円)
既支払額
(百万円)
着手
完了予定
いわき大王製紙
株式会社 本社工場
(福島県いわき市)
紙・板紙
発電設備の
再建
19,000
-
借入金等
2023年
11月
2025年
7月
発電能力
33,333kw