【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 財政状態の状況(資産)当第3四半期連結会計期間末における流動資産は451億6千6百万円となり、前連結会計年度末に比べ55億8千4百万円増加(14.1%増)いたしました。これは主に現金及び預金の増加(30億1千6百万円)、原材料及び貯蔵品の増加(8億7千6百万円)、電子記録債権の増加(6億3千8百万円)、商品及び製品の増加(3億1千7百万円)によるものであります。固定資産は616億9千6百万円となり、前連結会計年度末に比べ32億7千4百万円減少(5.0%減)いたしました。これは主に投資有価証券の減少(37億2千9百万円)によるものであります。この結果、総資産は1,068億6千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ23億1千万円増加(2.2%増)いたしました。(負債)当第3四半期連結会計期間末における流動負債は233億9千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ50億2千3百万円増加(27.3%増)いたしました。これは主に1年内返済予定の長期借入金の増加(44億6千6百万円)によるものであります。固定負債は150億3千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億7千6百万円増加(1.9%増)いたしました。これは主に長期借入金の増加(14億4千5百万円)及び繰延税金負債の減少(10億6百万円)によるものであります。この結果、負債合計は、384億2千7百万円となり、前連結会計年度末に比べ52億9千9百万円増加(16.0%増)いたしました。(純資産)当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は684億3千6百万円となり、前連結会計年度末に比べ29億8千8百万円減少(4.2%減)いたしました。これは主にその他有価証券評価差額金の減少(26億2千3百万円)によるものであります。この結果、自己資本比率は60.1%(前連結会計年度末は64.2%)となりました。
② 経営成績の状況当第3四半期連結累計期間の自動車生産台数は、国内においては半導体等の部品供給不足を主要因とした、主要なお客様の生産調整が継続し前年同四半期に比べて減少した一方、海外では、アジア・中国地域では生産台数が増加し、グループ全体では当社事業に係る自動車生産台数は前年とほぼ同レベルとなりました。このような状況のなか、当社グループの当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高が前年同四半期に比べ82億4千6百万円増収(前年同四半期比13.7%増)の684億9千2百万円となりました。この売上高増収のほぼ全てが、鋼材・資材・物流費等の高騰に対するお客様への売価反映と為替変動の影響によるものであり、実質的な売上高は前年とほぼ同水準となりました。損益の状況につきましては、営業利益が5億2千9百万円減益の4億8千5百万円(前年同四半期比52.2%減)、経常利益が5億1千5百万円減益の15億4千4百万円(前年同四半期比25.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は6億5千6百万円減益の4億7千3百万円(前年同四半期比58.1%減)となりました。実質的な売上高が伸びない中、鋼材・資材・物流費及び動力光熱費の高騰は加速が続いております。第2四半期時点ではインフレの大部分を売価反映し、厳しいながらも前年度対比で増益を保ってまいりましたが、動力光熱費等の上昇スピードは想定よりも早く、売価反映が追い付かず減益要因となりました。主要なお客様の度重なる生産調整に対し、当社では生産ロスの発生を防ぎながら、かつ全員参加での全費目に対する過去最高を超える合理化改善を懸命に実施してまいりましたが、インフレ環境の著しい悪化をカバーできず、減益となりました。今後の見通しにつきましては、通期の売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益を、2023年2月2日に公表いたしましたとおり修正いたします。第4四半期の自動車生産台数は、主に中国における新型コロナウィルス感染拡大の影響に伴う減産により、売上高は減収見込みとなっております。収益面では、第4四半期は動力光熱費等のインフレ圧力は更に厳しさを増し、あわせてインフレ分を仕入先との取引価格へ反映することによる部品購入単価アップなど、コスト上昇圧力は一段と強まってまいります。緩まない合理化改善を継続し、かつお客様との交渉の期末までの決着を加えた最大限のインフレ分の売価反映を実施いたしますが、商慣行上、翌期への時期ずれ反映対象も多くコスト上昇圧力をカバーできないため、今回減益修正せざるを得ない状況となりました。
〔参考〕2023年2月2日公表 2023年3月期通期連結業績予想の修正(単位:百万円)
前回発表予想
今回発表予想
差
売上高
92,500
91,500
△1,000
営業利益
1,500
750
△750
経常利益
2,700
1,450
△1,250
親会社株主に帰属する当期純利益
1,600
400
△1,200
本年度の業績は大変厳しい状況ながら、活動としては将来の収益基盤強化への仕込みを実施した年度でもあります。高収益製品の一例として、既に受注が確定している安全性と乗り心地を大きく改善する高性能シャシばねの開発、生産準備は計画どおり着実に実施しております。また、新たな拡販対象として、主要なお客様のフラッグシップカーに対するシャシばね、精密ばねの生産開始、加えて中国市場では電動車向けのシャシばねの受注を獲得しており、将来の既存製品の量増及び電動化対応の新製品に対する設備投資を増加させております。原材料購入に対してはグローバル最廉価調達活動を推進し、インド・中国等における新たな仕入先の開拓を行い、従来の延長線上を超える原価低減の準備も行っております。次年度以降は、主要なお客様の自動車生産台数増加を取り込み、本年実施している将来に向けてまいた種を確実に開花させるべく努力し、インフレにより大きく変化した経営環境に負けない強い収益基盤を構築してまいります。
SDGs対応としては、CO2総排出量を2013年度比で2025年までに20%削減、2030年までに46%削減を目標に、カーボンニュートラル対応を強化し、また人的資本への投資を通じて従業員モチベーション、働きやすさの追求を推進し、「社会」と「人」に優しい企業を目指します。今後とも信頼され続ける『100年企業』を目指し、邁進してまいります。
セグメントごとの業績は、次のとおりであります。なお、売上高はセグメント間の売上高を含んでおります。〔日本〕半導体不足や新型コロナウイルス感染症により、主要取引先の工場操業停止や生産調整が相次いだ影響で生産量は減少した一方、鋼材高騰分の一部売価反映及び客先からの発生費用回収等により、売上高486億9千6百万円(前年同四半期比8.1%増)、生産量の減少及び鋼材・動力光熱費・資材費等高騰の影響により、営業利益6億7千6百万円(同63.8%減)となりました。〔北米〕主要取引先の自動車生産及び販売台数が増加したことに加え、鋼材高騰分の一部売価反映により、売上高63億9千万円(前年同四半期比35.2%増)、鋼材・動力光熱費・資材費高騰の影響は受けた一方、ケーブルからシャシばねへの事業構造転換が業績回復に寄与し、営業損失2億5千万円(前年同四半期は6億6千8百万円の営業損失)となりました。〔中国〕主要取引先の自動車生産及び販売台数に大きな変化がない一方、鋼材高騰分の一部売価反映及び為替相場が円安に進んだ影響により、売上高91億5百万円(前年同四半期比18.2%増)、鋼材・動力光熱費・資材費等高騰の影響により、営業利益7億3千7百万円(同1.5%減)となりました。〔アジア〕主要取引先の自動車生産及び販売台数が増加したため、売上高130億6千4百万円(前年同四半期比36.3%増)、営業利益4億8千4百万円(同182.3%増)となりました。
(2) 経営方針・経営戦略等当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、8億4千8百万円(前年同四半期比18.2%減)であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。