【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当第3四半期会計期間末現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期累計期間における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、With コロナによる行動制限の緩和に伴うサービス・消費行動の回復が進む一方、供給制約に起因する物価上昇の継続、国際情勢や金融市場の変動等が国内景気にも影響しました。
このような状況下、当社は「愛と美と豊かさの実践と追求」という企業理念のもと、長期ビジョンである「日本の肌はアイビーがつくる」を目指していく過程を通して、当社にかかわるすべての人が、当社の志や目指す生き方を、自身の生き方「私はアイビー」と捉えて行動することを全国の販売組織とともに取り組むと同時に、すべてのステークホルダーの満足度向上を目指し、企業活動に邁進してまいりました。
当第3四半期会計期間においては、スキンケア製品を核にした販売促進により、「同じ志をもつ仲間づくり」と「愛用者づくり」に邁進してまいりました。会員顧客のアイビーメイツ増客数は前年同累計四半期比で約19%増、販売拠点となる営業所増設数は前年同累計四半期と同等の水準で推移し、当社の強みである人づくりの要となる研修、集合イベントの開催数・動員数も地域による偏りはあるものの少しずつ回復してまいりました。また、12月には機能性表示食品「グルコサミン ゼリーNA」(消費者庁届出番号:G1014)、ならびに顔・体・髪用保湿オイル「エクラ デュール」を新発売し、顧客満足向上にも努めました。しかし、当会計期間の販売会社への販売不振が影響し、前年同累計四半期比で減収となりました。
利益面におきましては、生産数が平常水準に回復していることにより売上原価率が累計対前年同四半期比で2.1ポイント減少しましたが、売上の減少が大きく影響し売上総利益は累計対前年同四半期比で23.2%減少、経費使用方針に基づく販売費及び一般管理費の予実管理を継続徹底しましたが、売上減少の影響が大きく営業損益、経常損益ともに赤字額が膨らみました。また、営業拠点を再編するのにともない、当第3四半期会計期間において、特別損失を82,383千円計上したこともあり、四半期純損益も赤字が膨らみました。
以上の結果、当第3四半期累計期間の業績は、売上高1,689,891千円(前年同四半期比25.4%減)、営業損失412,277千円(前年同四半期営業損失141,571千円)、経常損失414,948千円(前年同四半期経常損失138,790千円)、税金費用を△78,505千円(うち法人税等調整額△87,438千円)計上した結果、四半期純損失418,826千円(前年同四半期純損失143,104千円)となりました。
②財政状態の状況
(流動資産)
当第3四半期会計期間末における流動資産の残高は1,825,495千円(前事業年度末は2,555,815千円)となり、前事業年度末に比べ730,319千円減少しました。これは主に、現金及び預金が162,089千円、商品及び製品が52,234千円増加したものの、受取手形、売掛金及び契約資産が935,367千円減少したことによるものであります。
(固定資産)
当第3四半期会計期間末における固定資産の残高は1,785,398千円(同1,796,624千円)となり、前事業年度末に比べ11,225千円減少しました。これは主に、繰延税金資産が87,438千円増加したものの、有形固定資産が11,564千円、前払年金費用が67,670千円、貸倒引当金が18,586千円増加したことによるものであります。
(流動負債)
当第3四半期会計期間末における流動負債の残高は1,186,534千円(同1,454,161千円)となり、前事業年度末に比べ267,626千円減少しました。これは主に、電子記録債務が52,397千円、事業構造改善引当金が78,548千円、その他が112,193千円増加したものの、支払手形及び買掛金が136,450千円、短期借入金が64,264千円、1年内償還予定の社債が60,000千円、未払金及び未払費用が125,881千円、未払法人税等が35,699千円、株式給付引当金が91,853千円減少したことによるものであります。
(固定負債)
当第3四半期会計期間末における固定負債の残高は476,440千円(同630,908千円)となり、前事業年度末に比べ154,468千円減少しました。これは主に、定時償還などで社債が66,000千円、長期借入金が87,203千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産の残高は1,947,919千円(同2,267,369千円)となり、前事業年度末に比べ319,449千円減少しました。これは主に、従業員に対する株式給付制度に基づき株式給付を行ったことにより、自己株式が114,442千円減少したこと、四半期純損失を418,826千円計上したことによるものです。この結果、自己資本比率は、53.7%(同51.9%)となりました。
③経営方針・経営戦略等
当第3四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
④優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。
⑤研究開発活動
当第3四半期累計期間における当社の研究開発活動の金額は、109,864千円であります。
なお、当第3四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当第3四半期会計期間末現在において判断したものであります。
①当第3四半期累計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当第3四半期累計期間の経営成績等は、上記記載のとおりですが、経営者が判断している重要な指標等につきまして、補足いたします。
a.上代売上(小売価格ベース)と下代売上(会計上の売上)の関連性について
当社は、売上に対する利益のレバレッジが高いという特徴を持っているため、目標売上高の達成を最重要視しております。当社は、販売会社と小売価格ベースである上代売上で目標を共有化しております。通常、上代売上に対する商品売上(下代売上)の平均掛率は36~40%です。この掛率は、販売契約で定めておりますので、大きく変動することは少ないですが、総じて上代売上高の好調な時は低く、上代売上高が不調な時は高くなる傾向があります。会計上の売上は、商品売上(下代売上)から売上割戻額を引いて算出いたします。
当第3四半期累計期間における上代売上高は、新型コロナウイルス感染症流行及び緊急事態宣言の影響を受けたものの、4,596,422千円(前年同四半期累計期間は6,303,141千円)となりました。当社としては、上代売上目標を販売組織とともに達成することを最重要視しております。
b.経営重要指標(KPI;Key Performance Indicator)について
経営重要指標(KPI)として、棚卸資産回転期間、自己資本比率、売上高経常利益率を経営状況のバランスを測る指標としております。
棚卸資産回転期間については、20.7ケ月(前事業年度末11.4ケ月)と、棚卸回転期間が増加しました。これは、当第3四半期累計期間において、第4四半期会計期間に販売する製商品の仕入・製造額が増加したこと、売上原価が減少したことによるものです。引き続き、正常な水準(目標6.0ケ月)に戻せるように取り組んでまいります。
自己資本比率につきましては、53.7%(前事業年度末51.9%)となりました。これは、当第3四半期累計期間において418,826千円の四半期純損失を計上したものの、従業員に対する株式給付制度に基づき株式給付を行ったこととと、総資産が減少したことによるものです。引き続き、正常な水準(目標60.0%)に戻せるように取り組んでまいります。
売上高経常利益率につきましても、△24.5%(前年同四半期累計期間△6.1%)となりました。これは、主に売上高が前年同四半期累計期間比25.4%減収になったことによるものです。売上原価率が前年同四半期累計期間比2.1ポイント減少し、販売費及び一般管理費も節減に努めたものの、売上高の減少が大きく影響しました。引き続きKPIの数値を正常な水準(目標15.0%)に戻せるように取り組んでまいります。
c.研修動員数
当社の経営成績に重要な影響を与える要因の一つとして、販売組織における研修動員数が重要であると考えております。当第3四半期累計期間におきましては、新型コロナウイルス感染症の流行の影響を受けたものの、徐々に研修の開催は増加してきました。その結果、理念研修としての「SA研修」の新規動員は773名(前年同四半期累計期は691名)と増加しました。一方、美容研修としての「美容教室」の新規動員は1,593名(前年同四半期累計期は2,296名)と減少しました。今後については、感染症対策をとりながら、動員数の回復を図ってまいります。
d.流通在庫
当社の経営成績に重要な影響を与えるもう一つの要因としては、販売会社の経営状態であると考えております。販売組織における流通在庫は、ヒアリングにより大まかな把握を行っております。当第3四半期会計期間末におきましては、販売会社の実売は堅調に推移したと考えており、前事業年度末よりも流通在庫は減少していると推定しております。データを分析した結果、一部販売会社を除き、過剰在庫は解消されています。一方、販売組織の実売状況は、新型コロナウイルス感染症の流行にもかかわらず、粘り強い販売力を維持しております。引き続き販売組織における実売金額の回復が重要と考えております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社が判断しているキャッシュ・フローの状況につきまして、補足いたします。
a.キャッシュ・フロー分析
当第3四半期会計期間末において、現預金残高は291,474千円(前事業年度末比162,090千円増)となりました。新型コロナウイルス感染症の流行の影響を受けているものの、販売会社は粘り強い販売力を維持していること、また政府支援による給付金等で販売組織におけるキャッシュポジションが改善しており、売掛金の入金はほぼ順調に行われました。今後については、手元流動性を積み増すことを重要と考えており、引き続き経費や仕入を抑えていく方針です。取引銀行の協力も得られており、必要な資金繰りは確保しております。当社といたしましては、引き続き悪化した財務内容の改善に全力で取り組んでまいります。
b.資本の財源について
当社の資本の財源については、資本金、資本剰余金及び利益準備金等によって構成されております。当第3四半期会計期間末におきましては、第3四半期累計期間に従業員に対する株式給付制度に基づき株式給付を行ったものの、四半期純損失を418,826千円計上したことから、純資産は1,947,919千円となりました。配当政策については、将来のビジネス環境の変動にもそなえるため、当面は内部留保を優先し、今後については、収益の状況を勘案しながら、利益還元を行う方針です。復配の目安としては、自己資本比率50%(前事業年度末51.9%)を考えており、当第3四半期会計期間末の自己資本比率が53.7%となりましたが、第3四半期累計期間の経営成績を踏まえ、当期においての復配を見送る方針です。
c.資金の流動性について
当社は、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は借入(社債含む)により資金調達することとしております。当社の運転資金は季節変動が大きく、3月頃及び9月頃に手元流動性が低くなる傾向があります。この時期に必要な現預金を運転資金として保持できるように努めてまいります。また、当第3四半期会計期間末においてまだ在庫が多い状態と認識しており、仕入を抑制することにより手元資金を生み出し、内部留保した利益と合わせて、負債の削減を行う予定です。また、新株予約権の行使にともなう入金も含め、手元の運転資金の確保を確実に行ってまいります。
平成30年12月に発行したA種優先株式1,000百万円については、当社の財務数値が盤石になるまでは、取得条項を行使しない予定です。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第3四半期累計期間において、当社の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について、重要な変更はありません。