【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間(2023年1月1日から2023年6月30日まで)の世界経済は、インフレによる購買力低下や高金利に見舞われながらも、供給制約の緩和や中国の経済再開等をプラス要因として、減速傾向にはあるものの深刻な景気後退を回避する展開となりました。一方で、米中対立激化やウクライナ危機の長期化をはじめとする地政学的な緊張の高まりや、主要国における金融政策や財政政策の変更等がリスク要因となり、依然として先行きに係る不確実性は残されております。このような情勢下、当社グループにおいては、本年2月に2023年から2025年までの3年間を対象とするローリング中期経営計画「T-2025」を開示いたしました。「主力事業の成長軌道回帰」「事業ポートフォリオの最適化 (選択と集中)」「サステナビリティ経営基盤構築」の3つの基本方針を掲げ、2025年の定量目標として、売上高4,840億円、営業利益690億円、ROS14%、EBITDA 1,130億円の達成を目指しております。 主力事業である黒鉛電極やカーボンブラックを中心に、原材料価格等の原価上昇を売価に転嫁することにより適正利潤確保を図るとともに、将来の需要拡大を睨んだ生産性の向上と生産能力の増強も着実に進めています。また、カーボンニュートラルの実現に向け、2022年2月に発足したカーボンニュートラル推進委員会を中心に連結ベースでのCO2排出量の削減を進める一方、関連技術の探求・調査にも取り組んでおります。この結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は前年同期比13.6%増の1,784億2千8百万円となりました。営業利益は前年同期比30.0%増の217億3千8百万円となりました。経常利益は前年同期比24.0%増の241億9百万円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期比71.9%増の159億4百万円となりました。
セグメント別の経営成績は下記のとおりです。
[黒鉛電極事業]
世界的な鉄鋼景気減速により、各地域において電炉の稼働率が低下したため、当社黒鉛電極の販売量は前年同期と比較して落ち込みましたが、北米を中心に大口径電極の出荷が増加したため平均売価が上昇しました。この結果、当事業の売上高は前年同期比4.3%増の304億7百万円となり、営業利益は前年同期比8.2%増の31億6千4百万円となりました。
[カーボンブラック事業]
一部タイヤメーカーの生産調整がありましたが、新車用関連需要は回復してきており、当社販売数量は前年同期並みとなりました。また、米国を中心とした販売価格の改定により、環境設備投資の減価償却費負担の一部が補填され、前年同期比で増収増益となりました。この結果、当事業の売上高は前年同期比15.9%増の738億3千1百万円となり、営業利益は前年同期比125.1%増の107億7千3百万円となりました。
[ファインカーボン事業]
半導体製造装置用部品は、スマートフォンやパソコン需要低下による顧客での在庫調整及び米国の対中政策の影響の長期化から、Solid SiC製品を中心に販売が大きく影響を受けました。一方で、パワー半導体向け製品及び一般産業向けの出荷は堅調に推移しました。この結果、当事業の売上高は前年同期比9.8%減の213億7千3百万円となり、営業利益は前年同期比25.7%減の50億4千1百万円となりました。
[スメルティング&ライニング事業]エネルギー価格と一次アルミ地金価格が共に下落基調にあるなか、アルミ電解用カソードは新興国向けの需要にも支えられ、販売量は堅調に推移しました。また、売価については生産コスト上昇を反映させ採算を確保しました。この結果、当事業の売上高は前年同期比55.9%増の414億7千3百万円となり、営業利益は13億9千2百万円(前年同期営業損失は3百万円)となりました。
[工業炉及び関連製品事業]
工業炉及び発熱体の売上高は、主要需要先であるエネルギー関連業界向けの売上が第3四半期以降に集中することに加え、電子部品関連業界の需要の回復の遅れにより、前年同期比減となりました。この結果、当事業の売上高は前年同期比35.9%減の57億7百万円となり、営業利益は前年同期比49.8%減の12億6千3百万円となりました。
[その他事業]
摩擦材中国建設機械市場低迷の影響はあるものの主要用途である鉱山、二輪、電磁向けが引き続き堅調に推移いたしました。この結果、摩擦材の売上高は前年同期比8.2%増の48億5千9百万円となりました。負極材当社材が採用されているEV及びESS(Energy Storage System)の販売回復により、前期比で販売数量が増加しました。この結果、負極材の売上高は前年同期比73.2%増の7億9百万円となりました。その他不動産賃貸等その他の売上高は、前年同期比2.5%減の6千6百万円となりました。以上により、その他事業の売上高は前年同期比13.4%増の56億3千5百万円となり、営業利益は前年同期比64.0%増の6億3千5百万円となりました。
当第2四半期連結会計期間末の総資産は、棚卸資産及び有形固定資産等の増加により、前連結会計年度末比539億1千9百万円増の6,303億8千5百万円となりました。負債は、借入金等の有利子負債及び繰延税金負債等の増加により、前連結会計年度末比12億5千7百万円増の2,768億5千3百万円となりました。また、純資産は、為替換算調整勘定等の増加により、前連結会計年度末比526億6千2百万円増の3,535億3千1百万円となりました。 この結果、自己資本比率は50.7%で、前連結会計年度末に比べ4.1ポイント増加いたしました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末比18億7千4百万円増の512億5千1百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、173億8千3百万円の収入(前年同期比74億9千4百万円の収入の増加)となりました。 これは主として、仕入債務の減少94億3千7百万円、棚卸資産の増加79億4百万円等の減少要因があったものの、税金等調整前四半期純利益242億8千7百万円、減価償却費136億8千万円等の増加要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、208億6千1百万円の支出(前年同期比31億9千9百万円の支出の増加)となりました。 これは主として、有形固定資産の取得による支出234億5千9百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、2億8千7百万円の支出(前年同期比72億9千万円の支出の減少)となりました。 これは主として、短期借入金の純増額40億円等の増加要因があったものの、配当金の支払31億9千7百万円、非支配株主への配当金の支払11億9千万円等の減少要因によるものであります。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した当社グループの対処すべき課題について、重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は15億5千6百万円であります。なお、第1四半期連結会計期間において、2023年3月30日付で当社の富士研究所茅ヶ崎分室を廃止し、「茅ヶ崎研究所」と「田ノ浦研究所」を新設しました。
(6) 経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
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