【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第1四半期連結累計期間(2023年1月1日から2023年3月31日まで)の世界経済は、中国の経済再開がプラス要因として働く一方で、ウクライナ危機の長期化や、米欧の急速な利上げが惹起した金融システム不安、新興国からの資本流出懸念等がリスク要因となり、世界経済の見通しは依然不透明な状況が継続しております。 このような情勢下、当社グループにおいては、本年2月に2023年から2025年までの3年間を対象とするローリング中期経営計画「T-2025」を開示いたしました。「主力事業の成長軌道回帰」「事業ポートフォリオの最適化(選択と集中)」「サステナビリティ経営基盤構築」の3つの基本方針を継続的に掲げ、2025年の定量目標として、売上高4,840億円、営業利益690億円、ROS14%、EBITDA 1,130億円の達成を目指しております。主力事業である黒鉛電極やカーボンブラックを中心に、原材料価格等の原価上昇を売価に転嫁することにより適正利潤確保を図るとともに、将来の需要拡大を睨んだ生産性の向上と生産能力の増強も着実に進めています。またカーボンニュートラルの実現に向け、2022年2月に発足したカーボンニュートラル推進委員会を中心に、連結ベースでのCO2排出量の削減を進める一方、関連技術の探求・調査にも取り組んでおります。
この結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は前年同期比24.5%増の865億3千万円となりました。営業利益は前年同期比44.8%増の114億9千3百万円となりました。経常利益は前年同期比40.4%増の118億4百万円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比96.9%増の79億6千4百万円となりました。
セグメント別の経営成績は下記のとおりです。
[黒鉛電極事業]世界的な鉄鋼景気減速に伴い、欧州ではエネルギーコストが上昇し、生産、販売が落ち込みましたが、北米を中心に大口径電極の出荷が増加したことから平均売価が上昇し、増収増益となりました。この結果、当事業の売上高は前年同期比9.1%増の134億8千6百万円となり、営業利益は前年同期比30.1%増の16億3千7百万円となりました。
[カーボンブラック事業]半導体等、諸資材不足の影響があるなか、一部タイヤメーカーの在庫調整等はあったものの、販売数量は前年同期並みとなりました。また、米国を中心とした販売価格改定により、環境設備投資の減価償却負担等が一部補填され、前年同期比で増収増益となりました。この結果、当事業の売上高は前年同期比27.1%増の374億6百万円となり、営業利益は前年同期比88.8%増の57億5千7百万円となりました。
[ファインカーボン事業]半導体市場はスマートフォンやパソコン需要低下及び米国の対中政策の影響から製造装置向け需要の一部に減速が見られます。一方で、SiC(シリコンカーバイド)半導体などのパワー半導体向け需要が増加しており、当セグメントの黒鉛及びSiC製品販売は堅調に推移し、増収増益となりました。この結果、当事業の売上高は前年同期比4.7%増の114億4千4百万円となり、営業利益は前年同期比6.6%増の31億3百万円となりました。
[スメルティング&ライニング事業]エネルギー価格高騰による欧州製錬所の操業停止・減産を、他地域の製錬所が補完した結果、アルミ電解炉用カソード販売は堅調に推移しました。ウクライナ危機による原材料費やエネルギーコストの上昇の影響は大きかったものの、売価引き上げ等により採算維持に努めました。この結果、当事業の売上高は前年同期比65.6%増の192億1千8百万円となり、営業利益は前年同期比506.4%増の4億8百万円となりました。
[工業炉及び関連製品事業]エネルギー関連向けの需要は堅調に推移したものの、電子部品関連業界市況回復の遅れにより、前年同期比減となりました。この結果、当事業の売上高は前年同期比2.9%減の24億4千9百万円となり、営業利益は前年同期比29.9%減の5億3千4百万円となりました。
[その他事業]摩擦材建設機械市場の減速、サプライチェーンの混乱等、一部マイナス要因はみられるものの主要用途である二輪、電磁向けが引き続き堅調に推移いたしました。この結果、摩擦材の売上高は前年同期比7.4%増の24億6千万円となりました。負極材当社材が採用されているEV及びESS(Energy Storage System)の販売不振により、前年同期期比で販売は減少しました。この結果、負極材の売上高は前年同期比91.0%減の2千9百万円となりました。その他不動産賃貸等その他の売上高は、前年同期比2.8%減の3千3百万円となりました。以上により、その他事業の売上高は前年同期比5.0%減の25億2千3百万円となり、営業利益は前年同期比49.3%増の3億1百万円となりました。
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、棚卸資産及び有形固定資産等の増加により、前連結会計年度末比57億8千1百万円増の5,822億4千6百万円となりました。負債は、仕入債務等の減少により、前連結会計年度末比54億3千2百万円減の2,701億6千3百万円となりました。また、純資産は、為替換算調整勘定等の増加により、前連結会計年度末比112億1千4百万円増の3,120億8千2百万円となりました。 この結果、自己資本比率は48.1%で、前連結会計年度末に比べ1.5ポイント増加いたしました。
(2) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第1四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した当社グループの対処すべき課題について、重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動当第1四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は7億8千4百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、2023年3月30日付で当社の富士研究所茅ヶ崎分室を廃止し、「茅ヶ崎研究所」と「田ノ浦研究所」を新設しました。
(5) 経営方針・経営戦略等当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
#C5301JP #東海カーボン #ガラス土石製品セクター