【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第3四半期連結累計期間(2022年1月1日から2022年9月30日まで)の世界経済は、年初想定に反し、経済回復ペースの大幅な減速とインフレ高進が同時進行する展開となりました。中国主要都市におけるロックダウンはあったものの、総じて言えば、世界各国で感染症対策と経済活動の両立が進んでいた中、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発するサプライチェーンの分断、世界的なインフレの進行とそれに伴う金融引き締めが大きな下押し要因となり、世界経済の先行きに係る不確実性が再び高まっております。この様な情勢下、当社グループにおいては、本年2月に2022年から2024年までの3年間を対象とするローリング中期経営計画「T-2024」を策定・開示し、「主力事業の成長軌道回帰」「事業ポートフォリオの最適化(選択と集中)」「連結ガバナンス体制強化」の3つの基本方針を掲げ、2024年の定量目標として、売上高3,560億円、営業利益570億円、ROS16%、EBITDA910億円の達成を目指しております。主力事業である黒鉛電極やカーボンブラックを中心に、原価上昇を価格に転嫁して適正利潤確保を図ると同時に、将来の需要拡大を睨み、製造能力増強も進めております。また、本年2月には、2030年に向けた新長期ビジョン「先端素材とソリューションで持続可能な社会の実現に貢献する」を開示し、サステナビリティに関する重要事項を審議するサステナビリティ推進委員会、カーボンニュートラル対応の司令塔機能を持つカーボンニュートラル推進委員会を新設し、活動を加速しています。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比33.1%増の2,463億3千2百万円となりました。営業利益は前年同期比58.6%増の280億1千5百万円となりました。経常利益は前年同期比83.1%増の321億3千2百万円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期比68.6%増の161億2千1百万円となりました。
セグメント別の経営成績は下記のとおりです。
[黒鉛電極事業]足元では世界的な景気減速や原材料、エネルギーコスト増の影響が懸念されるものの、黒鉛電極需要は堅調に推移しており、全拠点において生産、販売量が増加し、平均売価も上昇しました。この結果、当事業の売上高は前年同期比53.8%増の436億6千7百万円となり、営業利益は前年同期比大幅増の53億3百万円(前年同期営業損失は1億8千8百万円)となりました。
[カーボンブラック事業]半導体不足等の影響から自動車生産の回復は遅れていますが、補修用タイヤについては、北米のトラックバス用を中心に需要が堅調に推移しました。中国拠点の売却により全体の販売数量は前年同期比で減少したものの、原料油価格の上昇分を売価に転嫁する等の対応により増収増益となりました。この結果、当事業の売上高は前年同期比43.0%増の1,033億5千万円となり、営業利益は前年同期比34.4%増の89億8千6百万円となりました。
[ファインカーボン事業]半導体向け、並びに一般産業向け生産・出荷は堅調に推移しました。太陽光発電向けは対面業界の生産調整はあるものの、おおむね堅調に推移しました。高付加価値商品であるソリッドSiC(シリコンカーバイド)製品は世界的に旺盛な需要が継続しており好調に推移しました。この結果、当事業の売上高は前年同期比29.0%増の368億2千3百万円となり、営業利益は前年同期比58.2%増の110億9千9百万円となりました。
[スメルティング&ライニング事業]エネルギー価格高騰のためユーザーの所在地域によってアルミ電解炉の操業に濃淡が出ているものの、アルミ電解用カソードの販売は総じて好調となりました。また、炭素電極は堅調な金属シリコン需要を背景に好調を維持しました。のれんの償却負担及び原材料費の高騰等により収益が圧迫されておりますが、原材料費上昇分の売価への転嫁による収益の回復を引き続き図っております。この結果、当事業の売上高は前年同期比21.4%増の427億5千5百万円となり、営業損失は3億5百万円(前年同期営業利益は12億2千万円)となりました。
[工業炉及び関連製品事業]工業炉の主要需要先であるエネルギー関連業界向け及び情報技術関連業界向けが堅調に推移しました。また発熱体その他製品についても電子部品業界向けの需要が好調を維持しました。この結果、当事業の売上高は前年同期比4.3%増の119億2千3百万円となり、営業利益は前年同期比1.5%減の33億8百万円となりました。
[その他事業]
摩擦材中国建機の減速や需要先側の部品不足による減産等マイナス要因はあったものの、主要用途の需要が堅調に推移しました。この結果、摩擦材の売上高は前年同期比3.7%増の68億3千4百万円となりました。
負極材当社材が採用されているxEVの販売不振や、新興勢台頭による競争激化により、前年同期比で販売が減少しました。この結果、負極材の売上高は前年同期比65.6%減の8億7千5百万円となりました。
その他不動産賃貸等その他の売上高は、前年同期比1.4%増の1億2百万円となりました。以上により、その他事業の売上高は前年同期比15.4%減の78億1千2百万円となり、営業利益は前年同期比15.8%増の6億9千9百万円となりました。
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、棚卸資産及び有形固定資産等の増加により、前連結会計年度末比504億3千万円増の5,629億3千3百万円となりました。負債は、繰延税金負債の増加により、前連結会計年度末比85億2千5百万円増の2,644億5千7百万円となりました。また、純資産は、為替換算調整勘定等の増加により、前連結会計年度末比419億4百万円増の2,984億7千5百万円となりました。この結果、自己資本比率は47.7%で、前連結会計年度末に比べ3.0ポイント増加いたしました。
(2) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した当社グループの対処すべき課題について、重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は22億9千4百万円であります。当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 経営方針・経営戦略等当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6) 主要な設備重要な設備の新設計画当第3四半期連結累計期間において新たに確定した重要な設備の新設計画は、次のとおりであります。
会社名
所在地
セグメントの名称
設備の内容
投資予定金額
資金調達方法
着手及び完了予定
総額(百万円)
既支払額(百万円)
着手
完了
THAI TOKAI CARBON PRODUCT CO., LTD.
Rayong Thailand
カーボンブラック事業
製造設備新設
37,719
1,912
自己資金、借入金及び社債
2023年7月
2025年4月
#C5301JP #東海カーボン #ガラス土石製品セクター