【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績等の状況当第1四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年6月30日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類へ移行したことに伴い、経済活動の正常化に向けた動きが着実に進行しております。しかしながら、エネルギー価格や原材料価格の高騰に伴う物価上昇等、景気の先行きにつきましては依然として不透明な状況が続いております。調剤薬局業界においては、新型コロナウイルス感染者数の減少に伴い、患者さまの医療機関への受診控え及び医療機関の外来診療の抑制による影響は緩和されております。一方で、薬価改定及び調剤報酬の改定に係る地域支援体制加算の経過措置終了等により、薬剤料単価及び技術料単価は低下しております。当社グループは、このような大きく変化する事業環境においても、患者さまにいちばん近い会社であり続けることを目指しております。アフターコロナの時代の中で中期目標を実現するために、「規模の拡大」「利益の最大化」「デジタル化」という三つのキーワードを掲げ、全事業一体となって取り組んでおり、2023年5月に、第一三共エスファ株式会社の全株式を段階的に取得することについて決議し、株式譲渡契約を締結いたしました。当第1四半期連結累計期間における当社グループ連結業績は、売上高43,403百万円(前年同期比7.0%増加)、営業利益1,873百万円(前年同期比13.0%増加)、経常利益1,940百万円(前年同期比10.2%増加)、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,010百万円(前年同期比0.9%増加)となりました。また、EBITDAについては、3,138百万円(前年同期比10.8%増加)となりました。
また、当第1四半期連結会計期間末の資産合計は、104,039百万円となり、前連結会計年度末から2,133百万円増加しております。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産が1,037百万円減少した一方、商品及び製品が1,380百万円、現金及び預金が500百万円、建物及び構築物が353百万円増加したことによるものであります。当第1四半期連結会計期間末の負債合計は、54,736百万円となり、前連結会計年度末から1,687百万円増加しております。これは主に、長期借入金が1,506百万円、未払法人税等が1,424百万円減少した一方、買掛金が4,540百万円増加したことによるものであります。当第1四半期連結会計期間末の純資産合計は、49,302百万円となり、前連結会計年度末から446百万円増加しております。これは主に、自己株式が78百万円減少した一方、利益剰余金が370百万円増加したことによるものであります。セグメント別の業績は、次のとおりであります。
①保険薬局事業保険薬局事業においては、M&A、新規出店及び在宅・施設調剤の推進による規模の拡大、生産性向上による利益の最大化、次世代薬局等のデジタル化による患者さまの利便性向上に取り組んでおります。当第1四半期連結累計期間において、出店状況は、新規出店10店舗、事業譲受による取得2店舗の計12店舗増加した一方、閉店により2店舗減少した結果、当事業全体で店舗数は902店舗となりました。今後も付加価値の高い薬局を展開していくために、戦略的な新規出店やM&Aにより規模の拡大を図ってまいります。薬局運営においては、新たな事業の柱としている在宅・施設調剤において、在宅調剤の全店実施に向けて取り組むとともに、在宅特化型店舗を増やすことで受け持つ施設数を大幅に増やしてまいります。また、中核事業会社のクオール株式会社において、サントリーウエルネス株式会社との健康支援に関する協業を2023年4月より開始いたしました。サントリーウエルネス株式会社の健康食品を取り扱い、薬剤師からの説明を通じて適切な理解を促進することで、未病領域へ貢献してまいります。さらに、高齢者の難聴は認知症のリスクファクターとなることから、聞こえのサポートを通じて健康寿命の延伸に貢献するために、軟骨伝導集音器『cheero Otocarti® MATE(オトカルティ メイト)』の販売を2023年6月より開始いたしました。また、処方箋事前送信サービス等を提供している、LINEミニアプリ『クオールおくすり便』に、スマホ決済機能及びリアルタイムでの処方箋呼び出し状況確認機能を、新たに搭載いたしました。これにより、調剤完了通知機能とあわせて、処方箋の受付から決済までスマホで完結するモバイルオーダーシステムが完成することとなり、患者さまが薬局でお待ちいただく時間の更なる短縮及び利便性の向上を図ってまいります。業績につきましては、薬価改定及び調剤報酬の改定に係る地域支援体制加算の経過措置終了等により、薬剤料単価及び技術料単価は低下したものの、前期に実施したM&Aや新規出店の寄与と、在宅・施設調剤の推進等により既存店の受付回数は増加いたしました。その結果、売上高は39,547百万円(前年同期比6.4%増加)、営業利益は2,422百万円(前年同期比13.2%増加)となりました。
②医療関連事業医療関連事業においては、引き続き主力事業であるCSO事業、紹介派遣事業、出版関連事業、医薬品製造販売事業の拡大に尽力し、総合ヘルスケアカンパニーへと前進するために着実な成長を目指します。CSO事業においては、MR派遣需要の拡大により、派遣数が増加する一方、採用に係る費用は増加いたしました。今後も、MRの派遣数を増加させ、医療現場からの多様化するニーズに応えていくために、幅広い経験を持つ人財の採用や、専門領域MRの育成プログラム等の質の高い教育に注力してまいります。また、これまで蓄積したMR育成ノウハウを活かし、製薬企業に向けたMR研修の外販を開始しております。紹介派遣事業においては、各職種において紹介派遣の需要が順調に拡大するとともに、取引先数の増加や営業の業務分業化などの各種取組みにより、成約件数が増加しております。また、医師・看護師の短期求人案件のマッチングプラットフォームを有する株式会社オンコールを、2023年4月にグループ化したことにより、M&Aに伴う費用が発生しておりますが、グループ化によるシナジーを活かして、更なる事業拡大につなげてまいります。出版関連事業においては、既存顧客に向けて、がん領域やデジタル資材等の成長性の高い資材を提供するとともに、学会等の製薬企業以外の顧客との取引を拡大しております。また、新規に立ち上げたコンベンション事業やコンプライアンスサービス事業等の高収益事業を拡大してまいります。医薬品製造販売事業においては、自社製品の販売が順調に推移いたしました。また、2022年12月に発売を開始した、新型コロナウイルス抗原検査キット『テガルナ®スティックSARS-CoV-2 Ag』の販売促進を引き続き行ってまいります。その結果、売上高は3,856百万円(前年同期比13.7%増加)、営業利益は327百万円(前年同期比6.3%減少)となりました。
※EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却額※CSO:Contract Sales Organizationの略※MR:Medical Representativeの略
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動該当事項はありません。