【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、Withコロナへの新たな段階へ社会全体の適応が進み、経済活動に持ち直しの動きがみられた一方で、地政学的リスクの高まり等により、依然として先行きは不透明な状況が続いております。このような状況の中、当社グループのインソーシング事業及びセキュリティ事業が位置するIT人材市場は慢性的な人材不足の状況にあり、特に企業内のIT活用を担いITを切り口に経営課題を解決するコーポレートエンジニアは、その重要性が認識されながらも、企業にとっては人材獲得が困難な状況となっております。当社グループでは、これらのコーポレートIT部門及び人材に関するサービス需要の高まりに、さらに応えるべく、人材採用活動及び育成の強化に取り組むとともに、一つ一つの案件対応体制の見直しを図りました。また、シェアード社員サービスを基盤とした新しい特化型サービスの立ち上げにも注力し、新たにコーポレートIT内製開発支援サービスとして事業を立ち上げる予定です。これらの他、株式報酬制度の導入等による処遇の向上、教育研修の充実など人材への投資を積極的に行っております。当連結会計年度においては、通期での採用人数が増加した一方、コロナ禍の中で入社した社員の退職が重なったため人員計画が未達となり、このため連結売上高は業績予想に対して下回りましたが、販管費の効率化により利益計画は予想を上回りました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高2,335,591千円(前年同期比12.5%増)、営業利益324,134千円(同12.0%増)、経常利益324,095千円(同10.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益238,372千円(同20.2%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
a.インソーシング事業中堅・中小企業のコーポレートIT部門を対象として人と知識をシェアする会員制の「シェアード社員サービス」を提供しております。インソーシング事業では、既存顧客の支援強化を図るために一時的に新規顧客の取引開始時期を延期したこと、案件ごとの内容及び体制見直しを行ったことにより、実働会員数は減少したものの、慢性的に人手が足りていなかったスクラム(案件)に人員を投下でき、既存顧客の取引拡大を実現するとともに、担う業務内容や範囲の拡大につながり、シェアード社員のスキルレベル向上にも寄与したと考えております。また、インソーシング事業が主導するリファーラル採用(仲間を集める活動)の活性化を図り、外部研修プログラムの活用や社内研修の充実によって、シェアード社員のスキルの底上げやマネジメント力の向上に取り組んでまいりました。一方で、コロナ禍の中で入社した社員の退職が重なったため人員計画が未達となりましたが、新卒社員においては定着と即戦力化が進みました。これらの活動により、会員数は655社(前年同期比36社増)、そのうち実働会員数は217社(同16社減)となりました。また、シェアード社員数は179人(同17人増)となり、シェアード社員の稼働1時間あたりの売上高は8,003円(同3.3%増)となりました。この結果、売上高2,168,869千円(前年同期比13.0%増)、セグメント利益842,705千円(同18.6%増)となりました。
b.セキュリティ事業キャッシュレスサービスを提供する又は利用する事業者を対象に、データ保護対策のコンサルティングサービス及び教育・研修サービスを提供しております。コンサルティングサービスにおいては、クレジットデータセキュリティの国際基準であるPCIデータセキュリティ基準(PCI DSS)の新バージョンへの移行を支援するとともに、セキュリティ関連の知識をグループ内で共有し、グループ総合力の底上げにも取り組んでまいりました。PCI DSSの新バージョンは2022年3月に公開されましたが、日本語版の公開が予定より遅れたことにより、売上の減少があったため通期での計画を下回りました。この結果、売上高166,721千円(前年同期比6.6%増)、セグメント利益18,649千円(同21.8%減)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)当連結会計年度末における資産合計は2,366,729千円となり、前連結会計年度末に比べ257,262千円増加いたしました。流動資産については、前連結会計年度末に比べ230,029千円増加し、2,176,698千円となりました。これは主に、現金及び預金221,496千円の増加によるものであります。固定資産については、有形固定資産が78,213千円、無形固定資産が46,284千円、投資その他の資産が65,532千円となり、前連結会計年度末に比べ27,233千円増加し、190,030千円となりました。これは主に、ソフトウエア仮勘定37,840千円の増加、建物5,350千円及びソフトウエア4,399千円の減少によるものであります。
(負債)当連結会計年度末における負債合計は767,055千円となり、前連結会計年度末に比べ37,068千円増加いたしました。流動負債については、前連結会計年度末に比べ31,771千円増加し、741,274千円となりました。これは主に、短期借入金50,000千円、契約負債(前受金)8,342千円および未払金6,118千円の増加、未払法人税等32,202千円の減少によるものであります。固定負債については、前連結会計年度末に比べ5,297千円増加し、25,781千円となりました。これは主に、株式給付引当金7,564千円の増加、その他固定負債2,298千円の減少によるものであります。
(純資産)当連結会計年度末における純資産合計は1,599,673千円となり、前連結会計年度末に比べ220,193千円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益238,372千円の計上及び利益剰余金44,606千円の配当、資本金32,680千円及び資本剰余金32,680千円の増加によるものであります。この結果、自己資本比率は67.6%(前連結会計年度末は65.4%)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ247,179千円減少し、1,487,718千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は213,252千円(前連結会計年度は得られた資金432,750千円)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益の計上324,095千円、減価償却費14,029千円、信託預金18,672千円及び契約負債(前受金)8,342千円の増加であり、主な減少要因は、法人税等の支払額116,230千円の支出によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は489,953千円(前連結会計年度は使用した資金66,254千円)となりました。主な増加要因は、定期預金の払戻330,056千円の収入であり、主な減少要因は、定期預金の預入780,059千円及び無形固定資産の取得38,821千円の支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果得られた資金は29,522千円(前連結会計年度は使用した資金18,079千円)となりました。主な増加要因は、短期借入金50,000千円及び新株予約権の行使による株式の発行65,360千円の収入であり、主な減少要因は、配当金の支払額44,606千円及び自己株式の取得38,933千円の支出によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績当社グループは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績当社グループで行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
インソーシング事業(千円)
2,168,869
13.0
セキュリティ事業 (千円)
166,721
6.6
報告セグメント合計(千円)
2,335,591
12.5
(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。2.主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループの当連結会計年度における経営成績は、次のとおりであります。
(売上高)当連結会計年度における売上高は2,335,591千円(前連結会計年度比12.5%増)となりました。これは、主にインソーシング事業におけるシェアード社員の増加及び顧客の増加によるものです。
(売上原価、売上総利益)当連結会計年度における売上原価は1,216,148千円(前連結会計年度比14.6%増)となりました。これは、主にインソーシング事業におけるシェアード社員の増加に伴う人件費の増加によるものです。この結果、当連結会計年度の売上総利益は1,119,442千円(同10.4%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)当連結会計年度における販売費及び一般管理費は795,308千円(前連結会計年度比9.7%増)となりました。これは、主に社員増加及び給与水準の向上施策に伴う人件費の増加及び人材採用費の増加によるものです。この結果、当連結会計年度の営業利益は324,134千円(同12.0%増)となりました。
(営業外収益・営業外費用、経常利益)当連結会計年度において、営業外収益は271千円、営業外費用は310千円の発生となりました。この結果、経常利益は324,095千円(前連結会計年度比10.1%増)となりました。
(特別利益・特別損失、税金等調整前当期純利益)当連結会計年度において、特別利益及び特別損失の発生はありません。この結果、税金等調整前当期純利益は324,095千円(前連結会計年度比12.2%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)当連結会計年度において、法人税、住民税及び事業税86,711千円、法人税等調整額△988千円を計上した結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は238,372千円(前連結会計年度比20.2%増)となりました。
当社グループは、IT人材市場及びセキュリティ市場が今後も成長を続けるものと見込んでおり、今後も優位に進めていくため、安定的な業績拡大の持続に注力してまいります。当社グループが独自に開発した基幹技術「シェアード・エンジニアリング」によって、中堅・中小・成長企業のコーポレートIT領域で日本一の企業グループとなることを目指し、コーポレートIT部門のためのサービスを継続的に提供してまいります。具体的には、当社グループの柱となるインソーシング事業の人材採用において、CI(Corporate Identity)への投資や採用メディアの活用により採用市場におけるブランド力を高め、優れた人材の獲得をはかってまいります。あわせて教育研修及び処遇の充実を積極的に推進し、人的資本の充実をはかってまいります。新規事業については、次期(2023年12月期)より事業化するコーポレートIT内製開発支援を軌道に乗せ拡大させるための体制を強化し、オンラインナレッジ事業などの開発を積極的に推進してまいります。なお、問題意識に対する今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。当社グループは、人件費及び社内システムの開発・維持等に係る通常の運転資金のほか、新たな人材獲得及び人材育成への投資、顧客や求職者へ向けたブランディングへの投資、社内システム強化への投資並びに新規事業ソフトウエア開発等への投資により、事業の拡大を進める方針であります。通常の運転資金については、自己資金により賄うことを基本とし、新たな投資につきましては、上場時の調達資金を活用する方針であります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、不確実性を伴うため、実際の結果はこれらとは異なる場合があります。この見積りにつきましては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っております。なお、この連結財務諸表の作成にあたる重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に記載しております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
#C4486JP #ユナイトアンドグロウ #情報通信業セクター