【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の分析
現在、日本においては、労働人口の減少による人手不足の深刻化が進む一方で、今後、インフラ設備の老朽化の進行が見込まれ、労働力の需要と供給の不一致は社会的な課題となっています。省人化・無人化を推進することは社会的な要請であり、加えて、新型コロナウイルス感染症拡大による、リモートワーク・非接触・遠隔操作など新たな生活様式の広がりに伴い、省人化・無人化に対する市場要求は、より一層顕在化しております。
当社は、「技術を通じて、人々をもっと大切なことへ」というミッションのもと、「最先端のロボティクス技術を追求し、社会インフラに革命を」というヴィジョンを掲げております。日本の社会課題である労働力のミスマッチに対し、当社のコアである独自開発の制御技術とそれを利用した産業用ドローンの社会実装により、当社のミッション・ヴィジョンの実現を通じて社会課題の解決を目指しております。
ドローン市場を取り巻く環境は、経済安全保障への関心が高まっており、日本政府はドローンの調達にあたり、2020年9月に公共の安全と秩序維持等に支障の生じるおそれがある業務等に用いられるドローンの調達は、セキュリティが担保されたドローンに限定し、既に導入されているドローンについても速やかな置き換えを実施する方針を公表しております。セキュアなドローンの需要は、政府のみならず民間企業でも顕在化しており、セキュリティが担保された国産ドローンの需要が高まっております。
また、2022年6月7日に閣議決定されたデジタル田園都市国家構想基本方針では、デジタルの力を活用した地方の社会課題解決の方法として、農業分野や物流でのドローンの活用が示された他、災害発生時のドローンを利用した情報収集や点検でのドローンの活用などの取り組みにも言及がなされ、社会課題を解決する新たな方法としてドローンに注目が集まっております。全国各地にて、デジタル田園都市国家構想の事業費を活用した、ドローンによる地方創成が加速しており、具体的には福井県敦賀市、茨城県境町、北海道上士幌町などの自治体でドローンの社会実装に向けた実証実験が始まっております。
ドローンを取り巻く法規制は、日本政府が2022年度を目途としている「レベル4」(有人地帯上空における目視外飛行)の実現に向けて、2021年6月に航空法改正案が成立し、2022年12月5日には航空法施行規則等の一部を改正する省令が施行されることが決定されるなど、法規制の整備が着実に進んでおります。2022年6月からは一定規模以上のドローンを含む無人航空機の機体登録が義務化され、合わせて飛行中の機体の識別情報を電波で発信し、遠隔から識別可能なリモートID機能が義務化されました。今後、機体の安全性に関する認証制度やドローン操縦者ライセンスを含むレベル4の法規制が整備されると、既に法整備が進んでいるレベル1~3の市場に加えて、ドローン物流など、我が国においてドローンで利用可能な巨大な空間・市場が出現する見込みです。
当社は、国内のドローン関連企業において、唯一上場しているドローン専業メーカーであり、日本のドローン市場の成長と合わせて、黎明期に求められる評価用機体の試作や実証実験といったソリューションの作り込みから、量産機の開発、量産体制の構築、その後の販売・導入支援までを一気通貫で提供し、デファクトスタンダードの技術としてドローンの社会実装を推進するべく、国産のセキュアな産業用ドローンを提供してまいります。
そのような中、当社は2022年1月に示した中期経営方針「ACSL Accelerate 2022」で掲げた「持続可能なグローバル・メーカーへ」進化するための取り組みを、戦略的に推進してまいりました。
直近の進捗として、用途特化型機体の量産化と社会実装について、小型空撮ドローン「SOTEN」の出荷を2022年3月に開始し、2022年9月までに488台を出荷いたしました。9月末時点で既に出荷済みの488台も含めると初期ロットの600台を上回る受注を頂いており、年度末にかけて追加生産と出荷を行ってまいります。SOTENに関して、顧客要望に基づき、グローバル大手のPix4D社のソフトウェアへの対応やLTE通信対応を開始するなど継続的な機能アップデートを実施して需要創出を図っております。
また、物流用ドローンについても、日本発の物流専用ドローン「AirTruck」の量産及び出荷を開始しており、2022年9月までに15台を出荷いたしました。全国自治体におけるデジタル田園都市国家構想に関連した事業で、AirTruckならびにセイノーHD社・エアロネクスト社が推し進めるSkyHub®が採用されるなど社会実装を進めております。加えて、KDDIスマートドローン社とエアロネクスト社が地域配送を効率化・省人化するドローン配送パッケージ組成に当たり、AirTruckが採用されております。
インド市場への進出については、現地パートナー企業との合弁会社(ACSL India Private Limited)にて、現地の生産拠点の整備、機体の販売に関する許認可の申請を進めております。なお、インド政府は、インド国産ドローンの製造、販売に対する優遇政策を発表するとともに、海外製のドローン完成品の輸入を禁止するなど、ドローン国産化の流れを加速させております。インドにおいては8,000万インドルピー(140,000千円相当)の大型案件を受注し、今後の事業拡大を見込んでおります。なお、インド市場以外の海外展開についても検討を進めており、アメリカでは4月のAUVSI XPONENTIAL 2022に続き、展示会Commercial UAV Expoに出展しました。展示会では、SOTENが経済安全保障ニーズに応え、点検・測量などで活用できると高評価を頂きました。また展示会での顧客パイプラインを受け、2022年10月にGeneral Pacific, Inc.社など複数顧客先でロードショーを実施し、実務適用が可能という評価とともに、購入意思を確認しました。
ESGの取組みについては、投資家、顧客、パートナー企業など多様なステークホルダーに対して、ACSLのビジョンと取り組みを体系的に紹介し、発信するためにACSL初となる統合報告書を刊行しました。人材面においては様々なバックグラウンドを持った人材の採用を継続的に進め、ダイバーシティのさらなる強化を図っております。2022年9月末時点において、約20か国の国籍を持った役員及び従業員が在籍しており、研究開発部門においては約50%のメンバーが外国籍となっております。今後も多様な働き方やキャリア形成を認め、多様性を活用し、競争力の強化を図っていきたいと考えております。
自律制御システムの他分野への展開については、地上走行ロボットの開発を行っているREACT株式会社(旧アイ・イート株式会社)への出資を行い、REACT株式会社が有しているロボット開発技術と当社が有している自律制御関連技術を組み合わせることで、より付加価値の高い製品開発を効率的かつ早期に実現し、製品技術の向上と事業の拡大を目指します。
研究開発については、今後、飛躍的に拡大が見込まれる産業用ドローンの様々なニーズに応えるべく、短期的な利益を追うのではなく、中長期的な成長を実現するために戦略的かつ積極的に研究開発費を投下する方針を維持し、レベル4認証取得に向けた機能開発や安全性・信頼性向上、自律制御技術・エッジ処理の高度化、及び用途特化型機体の製品化・量産体制の構築、フィードバックに基づく製品改善、海外展開に向けた現地ごとの規制・需要へ対応する製品開発を進めております。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の連結業績は、売上高1,161,650千円、営業損失1,329,015千円、経常損失1,256,845千円、親会社株主に帰属する四半期純損失1,277,745千円となりました。 なお、前連結会計年度より決算期を3月31日から12月31日に変更いたしました。これに伴い、前連結会計年度は第3四半期連結財務諸表を作成しておりません。このため、前年同四半期連結累計期間との比較分析については記載しておりません。
当社はドローン関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。そのため、当社の販売実績を主な内訳別に区分した売上高の状況は次のとおりであります。
(単位:千円)
区分(注)
当第3四半期連結累計期間
(自 2022年1月1日
至 2022年9月30日)
実証実験
294,479
プラットフォーム機体販売
66,769
用途特化型機体販売
703,671
その他
96,730
合計
1,161,650
(注)1.サービス提供の各段階に関して、実証実験として、顧客のドローン導入のニーズを踏まえて、課題解決のために当社のテスト機体を用いた概念検証(PoC)に係るサービスを提供しております。概念検証(PoC)を経て、顧客先の既存システムへの組み込みも含めた特注システム全体の設計・開発を行っております。
2.プラットフォーム機体販売においては、顧客先における試用(パイロット)もしくは商用ベースでの導入として、当社のプラットフォーム機体をベースにした機体の生産・供給を行っております。
3.用途特化型機体販売においては、特定の領域において量産が見込める機体について、量産機体の開発・生産・販売を行っております。
4.その他においては、機体の保守手数料や消耗品の販売に加えて、一般的に国家プロジェクトにおいて、受託先が収受する補助金等のうち、新規の研究開発を行わず、既存の当社の技術を用いて委託された実験を行うことが主目的のプロジェクトについての売上高を含んでおります。
② 財政状態の分析
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は2,771,665千円となり、前連結会計年度末に比べ1,405,694千円減少いたしました。これは主に原材料が454,752千円増加、現金及び預金が1,486,419千円、前渡金が345,213千円それぞれ減少したことによるものであります。固定資産は1,955,862千円となり、前連結会計年度末に比べ418,036千円増加いたしました。これは主に投資有価証券が232,041千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は4,727,527千円となり、前連結会計年度末に比べ987,657千円減少いたしました。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は386,788千円となり、前連結会計年度末に比べ99,730千円増加いたしました。これは主に買掛金が53,761千円、短期借入金が100,000千円それぞれ増加したことによるものであります。固定負債は66,488千円となり、前連結会計年度末に比べ57,780千円増加いたしました。これは繰延税金負債が57,780千円増加したことによるものであります。
この結果、負債は453,277千円となり、前連結会計年度末に比べ157,511千円増加いたしました。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は4,274,250千円となり、前連結会計年度末に比べ1,145,168千円減少いたしました。これは主に減資及び欠損填補により資本金が4,521,226千円減少、資本剰余金が834,223千円増加、利益剰余金が2,422,321千円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は88.6%(前連結会計年度末は94.0%)となりました。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第3四半期連結累計期間において、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、新たに発生した事業上及び財務上の対処すべき課題はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は、744,613千円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
