【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績当連結会計年度における我が国経済は、新たな変異株の発生による新型コロナウイルス感染拡大を受け2022年年初にまん延防止等重点措置が発令されるなど、依然同感染症拡大の影響を受けたものの、新型コロナウイルス感染症のワクチンの接種拡大や、全国旅行支援や外国人入国制限の撤廃などの政府による対策の実施等の結果、従来の経済活動に戻る兆しも見られる状況となっております。また、世界経済は、米国での大規模な経済対策、欧米での新型コロナウイルス感染症に係るワクチン普及に伴う社会活動の正常化などを背景に回復基調にあるものの、世界的な半導体不足による製造業への影響、さらに中国におけるロックダウンなどの影響もあり、内外需ともに伸び悩みを見せております。加えて、ロシアによるウクライナ侵攻が資源・食料価格の高騰やサプライチェーンの混乱を招き、コロナ後の需要回復と相まって世界的なインフレ圧力が高まっております。コンタクトレンズ業界におきましては、急速な少子高齢化に伴う人口減少が進んでいるものの、1日使い捨てタイプコンタクトレンズへのニーズのシフトが継続していることや近視人口の急激な増加・若年化が進んでいること、また、カラーコンタクトレンズ市場の拡大等もあり、コンタクトレンズ市場全体は緩やかながら成長基調にあるものと推測しております。しかしながら、価格、販路、広告戦略等々における各メーカー間の競争が激化していることに加え、新型コロナウイルス感染症拡大防止による外出自粛やインバウンド需要の消失、さらに在宅勤務、リモート化によって今までの生活様式が変わりつつあるなど当社を取り巻く環境は厳しい状況が継続しております。なお、当社グループの事業は、コンタクトレンズ製造販売の単一事業でありましたが、2022年12月に、株式会社フォー・アイズよりクリニック運営に関するコンサルティング事業を譲り受けたことに伴い、当連結会計年度から報告セグメントを従来の「コンタクトレンズ事業」の単一事業から、「コンタクトレンズ事業」及び「コンサルティング事業」の2区分に変更しております。このような環境の中、売上高につきましては新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛の影響などにより、カラーコンタクトレンズの売上高が減少しましたが、当社主力商品であるシリコーンハイドロゲル素材コンタクトレンズ「SINCERE 1DAY S」を中心にクリアレンズの販売が順調に拡大したことなどにより、5,585,661千円(前連結会計年度比22.6%増)となりました。営業利益につきましては、コンタクトレンズ事業において、為替相場や輸送費の高騰などの影響により仕入コストが上昇したことなどから売上総利益率が25.1%(同5.1ポイント減)となったものの売上高の増加が寄与し、売上総利益は1,402,456千円(同1.8%増)となりました。販売費及び一般管理費は、コンサルティング事業において、M&A関連費用が発生し、コンタクトレンズ事業において、荷造運賃などの変動費が増加したもののコストの見直しを進めたことなどにより1,251,936千円(同1.6%減)となり営業利益は150,520千円(同43.1%増)となりました。経常利益につきましては、営業外損益として為替差益28,495千円及びデリバティブ評価損75,335千円などを計上したことから経常利益は112,877千円(同0.9%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、法人税、住民税及び事業税を計上したこと等により、66,074千円(同21.3%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。なお、当連結会計年度より報告セグメントを2区分に変更したため、コンタクトレンズ事業のセグメント利益及びコンサルティング事業については前期比較は行っておりません。
・コンタクトレンズ事業当社ブランド商品の売上高につきまして、クリアレンズは、当社主力商品であるシリコーンハイドロゲル素材コンタクトレンズ「SINCERE 1DAY S」が1,206,909千円(前連結会計年度比24.7%増)、ドラッグストア専売コンタクトレンズである「EyeWell」シリーズは2022年3月に販売を開始した2WEEK EyeWellの取扱店舗数の増加などにより274,423千円(同38.9%増)と順調に拡大し2,722,963千円(同25.2%増)となりました。カラーレンズは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に伴う外出自粛等の行動制限の緩和に加え2021年5月に販売を開始した「SINCERE 1DAY S クレシェ」の取扱店舗数の増加などにより579,872千円(同37.2%増)となりました。一方、プライベートブランド商品の売上高につきまして、クリアレンズは、引き続き販売各社における販売が好調に推移していることなどにより1,645,711千円(同29.5%増)と大幅に増加しました。カラーレンズは、新規案件の追加発注があったものの販売各社における販売計画の遅延などにより632,114千円(同8.2%減)となりました。その結果、コンタクトレンズ事業の売上高は5,580,661千円(同22.5%増)となりました。セグメント利益は、荷造運賃などの変動費が増加したものの広告宣伝及び販売促進活動が効率的に運用できたことなどにより361,708千円となりました。
・コンサルティング事業当連結会計年度より新たな事業セグメントとしたコンサルティング事業は、2022年11月21日に開示しました「事業譲受に関するお知らせ」のとおり、今後、大きな成長が見込まれる自由診療クリニックのコンサルティング事業に進出することを目的に、株式会社フォー・アイズよりクリニック運営に関するコンサルティング事業を譲り受け2022年12月より事業を開始しました。売上高は5,000千円となったものの、M&A関連費用が発生したことなどからセグメント損失は14,161千円となりました。
生産、受注及び販売の状況
① 生産実績当社グループは、製品の生産を行っていないため、該当事項はありません。
② 商品仕入実績当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)
商品仕入高(千円)
前年同期比(%)
コンタクトレンズ事業
4,262,622
126.0
コンサルティング事業
―
―
合計
4,262,622
126.0
③ 受注状況当社グループは、製品の生産を行っていないため、該当事項はありません。
④ 販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)
販売高(千円)
前年同期比(%)
コンタクトレンズ事業
5,580,661
122.5
コンサルティング事業
5,000
―
合計
5,585,661
122.6
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度(自 2021年1月1日至 2021年12月31日)
当連結会計年度(自 2022年1月1日至 2022年12月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
株式会社パレンテ
759,583
16.7
1,055,363
18.9
株式会社ビジョナリーホールディングス
748,747
16.4
976,529
17.5
(2) 財政状態
(資産)当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ287,304千円増加し、3,576,837千円となりました。主な要因は、流動資産のデリバティブ債権が70,139千円減少したものの、受取手形及び売掛金が102,708千円、繰延税金資産が93,409千円、商品が79,417千円、外国為替差入証拠金が67,299千円それぞれ増加したことによるものであります。
(負債)当連結会計年度末の負債につきましては、前連結会計年度末に比べ339,640千円増加し、1,589,129千円となりました。主な要因は、買掛金が107,562千円、長期預り保証金が50,000千円それぞれ減少したものの、短期借入金が150,000千円、長期借入金が143,667千円、固定負債のデリバティブ債務が73,891千円、未払法人税等が75,650千円それぞれ増加したことによるものであります。
(純資産)当連結会計年度末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ52,335千円減少し、1,987,707千円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益66,074千円の計上及び剰余金の配当31,339千円により、利益剰余金が34,734千円増加したものの、繰延ヘッジ損益が60,716千円減少したことによるものであります。なお、「収益認識に関する会計基準」等の適用により、当連結会計年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の累積的影響額を、当連結会計年度の期首の利益剰余金に加減しております。その結果、利益剰余金が41,248千円減少しております。
(3) キャッシュ・フロー当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ45,066千円増加し、1,132,650千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益112,747千円の計上及びデリバティブ評価損75,335千円の計上があったものの、為替差益144,808千円の計上、売上債権129,193千円の増加及び仕入債務109,427千円の減少により、307,987千円の支出(前連結会計年度は423,595千円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、主にデリバティブ取引による収入100,105千円があったものの、外国為替差入証拠金の純増額67,299千円及び事業譲受による支出59,090千円により、28,565千円の支出(前連結会計年度は75,696千円の収入)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、主に長期借入金の返済による支出164,185千円があったものの、長期借入れによる収入376,000千円及び短期借入金の純増額150,000千円により、330,516千円の収入(前連結会計年度は258,500千円の収入)となりました。
当社グループの資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、その運転資金については、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入金を基本としております。資金の流動性につきましては、予測不能な事態が生じない限り、安定的な資金運用が可能であると認識しております。なお、資金の流動性保持の観点から、取引銀行3行と当座貸越契約を締結しております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。その詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。その作成は、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案して合理的に見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。なお、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定における新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
(棚卸資産の評価)「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(繰延税金資産の回収可能性)当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損)当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産について、当該資産から得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、将来の利益計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。