【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社および連結子会社)が判断したものであります。
(1) 経営成績の状況当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の各種規制が緩和されたことに伴い、経済活動は正常化に向かいつつありました。一方、世界経済におきましては、ロシア・ウクライナ情勢の長期化に伴う原材料・エネルギー価格の高騰、サプライチェーンの混乱、世界的インフレーションの加速と金融引き締めによる急激な円安進行から円高に振れるなど、景気の先行きは依然不透明な状況で推移しました。医療機器、医薬品業界におきましては、ワクチン接種の普及とともに診療環境は正常化し、病院施設等への営業活動は回復傾向にありますが、いまだ完全な収束とはいえない状況です。こうした状況のなか、当社グループは全社一丸となって新型コロナウイルス感染症に立ち向かう責務を自覚し、国内におけるシェア拡大と海外販売網の拡大ならびに生産コストの低減に取り組み、ユーザー目線にたった製品開発を進め、業績の向上に努めてまいりました。当社グループはこれからもすべての人が適切な医療を受けることができる持続可能な世界の実現を目指して、今後もより安全な医療環境の整備の一翼を担うべく、医療機器・医薬品メーカーとしての責任と役割を果たしてまいります。当第3四半期連結累計期間における連結売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和されていく状況のなか、概ね好調に推移いたしました。前年同期に比べ、為替相場が円安方向に推移したことにより海外売上高は大きく押し上げられました。特に透析関連製品やホスピタル関連製品、バスキュラー関連製品は引き続き順調に推移し、全体の売上高増加を牽引しました。また、当社2つめのオーソライズド・ジェネリックとなるエソメプラゾールは12月の販売開始とともに好調な売上となりました。医薬品受託事業につきましては、新規受託品の製造、出荷が本格化したことによる増加の一方で、一部製品での生産終了もあり、売上高は前年同期比ほぼ横ばいとなりました。医薬用容器に関しては中国向けのワクチン用途のバイアルは大きく売上を落としたものの、欧米でのワクチン用途以外の製品の需要が引き続き堅調に推移しており、また、医薬用容器の材料となる硝子管の生産能力も回復したこともあって売上高は好調に推移しました。この結果、連結売上高は前年同期比10.0%増加となる4,063億1百万円となりました。利益面におきましては、原材料・エネルギー価格の高騰、円安による輸入原材料等仕入価格の上昇に加え、一部工場の操業度の低下、中国上海市のロックダウンに伴う工場操業停止などによる製造原価の上昇が減益要因となりました。また前期より続く運送費の高騰や、営業活動の正常化に伴う経費増加などもあり、営業利益は前年同期比33.2%減少となる131億79百万円となりました。これに対して、経常利益は、期初より円安局面で進行してきた為替相場が、当第3四半期連結累計期間の末日となる12月末日はこれまでよりも円高水準で着地したため、第2四半期連結累計期間まで営業利益の減少分を補う程度まで計上していた外貨建預金や売掛金の換算替えによる為替差益は、当第3四半期連結累計期間においては前年同期より少し上回る水準にまでその額を減らしました。その結果、前年同期比33.0%減少となる137億72百万円となりました。さらに一部の所有地や政策保有株式の売却による固定資産売却益および投資有価証券売却益を計上したものの、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期比36.9%減少の69億62百万円となりました。セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
<医療関連事業>国内販売におきましては、メディカル営業部門で引き続き透析関連製品の販売が好調に推移するとともに、中国上海市のロックダウンの影響も緩和され、輸液、検査関連製品も復調いたしました。さらに10月に発売した新型コロナウイルス抗原定性検査キットの販売が好調に推移しました。医薬営業部門では、市場での供給問題がいまだに解消を見通せないなか、丁寧な説明と誠意を持った対応など真摯に取り組む姿勢が市場の信頼につながっております。また、12月発売のネキシウムのオーソライズド・ジェネリックであるエソメプラゾールは発売前の反響通り順調なスタートを切りました。他社プロトンポンプ・インヒビター(PPI)製剤が出荷調整にあるなか、当社のエソメプラゾールが市場への安定供給に貢献できると考え、PPI市場全体も見据えプロモーションに努め、さらなるシェア拡大に取り組み、エソメプラゾールで当社の認知度をさらに向上させ業界内での存在感も高めてまいります。海外販売におきましては、新型コロナウイルス感染症との共存による経済活動が推進され、11月には完全対面開催となった米国腎臓学会に出展参加、12月にはアラブ首長国連邦ドバイにて開催されたインターベンション学会に初出展など、世界各国での販売強化を図ってまいりました。また、商品セミナーや営業活動においても、オンラインでの活動に加え、対面での活動も積極的に実施いたしました。このような状況下、主力の透析関連商品は、依然ロシア・ウクライナ情勢等による販売減少などの影響はありますが、インドでの透析装置や中国でのダイアライザ販売増等、各地域での販売が順調に推移した結果、前年同期比は増収となりました。自社透析センターにおいても、従来から拡大を続ける中南米に加え、世界各国でも市場を拡大しており、当第3四半期においてはブラジル、南アフリカにて計2施設開設いたしました。引き続き新興国を中心に質の高い治療ができる環境を整え、地域医療に貢献してまいります。販売拠点につきましては、11月にネパールのカトマンズに駐在員事務所を新規開設いたしました。今後も拠点増強を継続し、販売拡大を推進いたします。運送費は依然高水準ではありますが、ピークを越えて改善傾向にあります。今後も地産地消の促進、物流の最適化、安全在庫の確保などにより、安定供給および経費削減を推進してまいります。これらの活動を通し、医療現場のニーズに迅速に対応することにより、顧客満足の向上に努め販売強化および管理強化による売上の拡大、利益の確保に繋げてまいります。生産拠点におきましては、引き続き、日本国内・海外ともに、原材料・エネルギー価格の高騰による影響が継続しておりますが、各工場において、生産コストの上昇を抑制するために生産性向上・経費削減に努めております。また、ダイアライザの生産についてはインド工場で予定通り新ラインの稼働が始まり、生産規模の拡大に取り組んでおります。この結果、当事業の売上高は3,142億26百万円(前年同期比12.2%増)、セグメント利益(営業利益)は307億88百万円(前年同期比0.7%減)となりました。
<医薬関連事業>医薬関連事業におきましては、製剤開発・治験薬製造から商用生産までの一貫した製造に加え、検査包装工程の受託ビジネスなど多様な顧客ニーズに応えることで、受託製造事業を拡大し、安定供給のためのインフラ整備に努めてまいりました。当第3四半期連結累計期間は、複数の新規製品において技術移管が完了し、本格的な出荷・商用化が開始されたことによる売上高増加への貢献があった一方で、当期中に生産終了となった製品もあったこと等から、売上高は前年同期比でほぼ横ばいとなりました。営業利益につきましては、注射剤の主力工場において、品質確保の取り組みの為に出荷遅延が生じたこと、さらには、原薬・原材料・エネルギー価格の高騰に伴う製造原価の上昇により、前年同期比で大きく減少しました。この様な状況ではありますが、ニプロファーマ株式会社におきましては、将来に向けて、注射剤、経口剤、外用剤の複数の新規受託製品の技術移管を進めており、併せて近江工場や白河工場などの新製造所の建築を含む、生産能力の拡充とBCP体制の整備に引き続き取り組んでおります。また、全星薬品工業株式会社におきましては、生産数量が堅調に推移したことによる売上高の増加を踏まえて、和泉工場のさらなる拡張といった増産体制構築の検討も進めてまいります。この結果、当事業の売上高は535億53百万円(前年同期比1.5%減)、セグメント利益(営業利益)は22億7百万円(前年同期比63.9%減)となりました。
<ファーマパッケージング事業>ファーマパッケージング事業におきましては、びわこ工場の他、世界8ヵ国15箇所に製造拠点を有し、バイアル、アンプル、シリンジ等の医薬用ガラス包装容器を中心にその材料となる硝子管から各種デバイス、ゴム部材に至るトータルパッケージを提供しております。日本市場におきましては硝子関連製品に加え、ゴム栓、調製デバイス等のワンストップソリューションの展開を進めたほか、シングルユースバッグ等の新規上市品の拡販に注力しました。他方、海外市場ではバイアル、アンプル、滅菌済シリンジ、カートリッジ等の硝子用加工容器ならびに生地管の販売が概して堅調に推移しました。欧米においては、インフレーションの進展によるコスト高に悩まされましたが、販売価格の適正化や生産効率の向上によって利益確保に努めました。また、東南アジア市場の新規開拓に向けたプロモーションを強化し、その一環としてタイにおいて大型展示会に初参加し、当地区におけるプレゼンス強化に努めました。この結果、当事業の売上高は379億90百万円(前年同期比10.0%増)、セグメント利益(営業利益)は25億37百万円(前年同期比0.5%増)となりました。
<その他事業>その他事業におきましては、不動産賃貸等による売上高が5億30百万円(前年同期比18.7%増)、セグメント利益(営業利益)は1億66百万円(前年同期比35.6%減)となりました。
(2) 財政状態の状況当第3四半期連結会計期間末の資産合計は1兆492億21百万円で、前連結会計年度末に比べ1,189億円の増加となりました。このうち流動資産は743億59百万円の増加、固定資産は445億40百万円の増加となりました。流動資産の増加の主な要因は、受取手形及び売掛金が331億5百万円増加したことによるものであり、固定資産の増加の主な要因は、有形固定資産の建設仮勘定が311億93百万円増加したことによるものであります。一方、負債合計は8,090億47百万円で、前連結会計年度末に比べ785億93百万円の増加となりました。このうち流動負債は206億30百万円の増加、固定負債は579億63百万円の増加となりました。流動負債の増加の主な要因は、支払手形及び買掛金が120億99百万円増加したことによるものであり、固定負債の増加の主な要因は、長期借入金が484億75百万円増加したことによるものであります。純資産合計は2,401億73百万円で、前連結会計年度末に比べ403億6百万円の増加となりました。このうち株主資本は21億68百万円の増加、その他の包括利益累計額は355億91百万円の増加となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末と比べ1.4ポイント増加し、21.3%となりました。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は145億82百万円であります。
(5) 主要な設備当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した主要な設備の計画は、次のとおりであります。
会社名事業所名
所在地
セグメントの名称
設備の内容
投資予定額(百万円)
着手予定年月
完了予定年月
ニプロファーマ㈱白河工場
福島県白河市
医薬関連
経口剤製造工場建設
13,000
2023年4月
2025年6月
