【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における国内医療用医薬品業界は、2022年4月に実施された薬価改定や新型コロナウイルス感染症の再拡大による影響はあったものの、市場においては患者さんの受診行動の平常化が認められ、成長率は一桁台前半で推移しました。他方、薬価制度改革については、2023年度における中間年の薬価改定の実施が決定されるなど、事業環境は一層、厳しさを増すことが予想されます。
このような環境のなか、当社グループは長期ビジョン「HOPE100」の実現に向けて、中期経営計画「HOPE100 -ステージ3-(2020年度~2023年度)」のもと、2023年3月期の経営方針に「オリジナリティーの追求による成長トレンドの実現」を掲げ、事業戦略の重点ポイントを事業の「スピード」の向上として、①新薬群の成長加速、②開発パイプラインの拡充、③創薬のスピード向上の3つに積極的に取り組みました。
当第3四半期連結累計期間における売上高は、薬価改定(杏林製薬㈱8%台)や新型コロナウイルス感染症の影響はあったものの、積極的な製品普及の拡大に努めたことにより新薬群が伸長し、新医薬品等(国内)の売り上げは前年同期を上回る実績で推移しました。また後発医薬品の売り上げも増加し、全体の売り上げは807億07百万円と前年同期比29億89百万円(前年同期比3.8%増)の増収となりました。
利益面では、薬価改定等の影響により売上原価率は上昇したものの、売上拡大により売上総利益は前年同期に対して増加し、また前年に計上した導入品に関わる契約一時金の反動減等により販売費及び一般管理費が前年同期に対して減少(研究開発費は5億85百万円増)したため、営業利益は47億02百万円と前年同期比17億76百万円(前年同期比60.7%増)の増益となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、西日本配送センターにおける火災により被災した委託保管製品に関わる保険差益8億81百万円、及び受取損害賠償金4億01百万円を特別利益として計上し、他方、杏林製薬㈱の子会社であるActivX Biosciences,Inc.の解散費用6億89百万円を特別損失として計上した結果、43億77百万円と前年同期比18億94百万円(前年同期比76.3%増)の増益となりました。
当第3四半期連結累計期間の業績
売上高 807億07百万円(前年同期比 3.8%増)
営業利益 47億02百万円(前年同期比 60.7%増)
経常利益 53億36百万円(前年同期比 51.8%増)
親会社株主に帰属する
四半期純利益 43億77百万円(前年同期比 76.3%増)
売上高の状況につきましては、以下のとおりです。
〔新医薬品等(国内)〕
薬剤費抑制を目的として継続的に実施される薬価改定等の施策により、国内医療用医薬品事業を取り巻く環境は一層厳しさを増しています。この急速な環境変化に対応すべく、杏林製薬㈱はFC(フランチャイズカスタマー)戦略を推進するとともに、ソリューション提供型営業活動(課題解決策の提案)への変貌を中期経営計画の重点戦略に掲げ、新医薬品等の事業を展開しています。当第3四半期連結累計期間におきましては、患者さんの受診行動が平常化するなか、各医療機関の意向に沿ってMR(医薬情報担当者)の訪問面談を実施するとともに、デジタルチャネルを活用した情報提供を複合的に行うことで営業力の補完・強化を図り、新薬群の成長加速に取り組みました。その結果、2022年8月に限定出荷を解除した過活動膀胱治療剤「ベオーバ」、及び主力製品であるアレルギー性疾患治療剤「デザレックス」、ニューキノロン系抗菌剤「ラスビック」の売り上げが伸長しました。他方、薬価改定等の影響により、長期収載品である気管支喘息・アレルギー性鼻炎治療剤「キプレス」、潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「ペンタサ」等の売り上げは減少しました。
2022年4月に新発売した選択的P2X3受容体拮抗薬/咳嗽治療薬「リフヌア」については、難治性の慢性咳嗽治療薬としてのポジショニング確立に向けて呼吸器専門医を中心に情報提供活動を行い、製品特性の理解促進を図りました。
なお杏林製薬㈱がMSD㈱と日本国内におけるコ・プロモーション契約を締結していた抗ウイルス剤「ラゲブリオ」については、2022年1月より両社でプロモーションを実施していましたが、当初の目的を達成したことから、同年12月末をもって契約を終了しました。
診断事業に関わる取り組みとしては、インフルエンザウイルス核酸キット「GeneSoCインフルエンザウイルスA/B検出キット」について、2022年8月に体外診断用医薬品として製造販売承認を取得し、同年11月に発売しました(詳細は2022年11月1日公表のプレスリリースをご覧ください)。杏林製薬㈱は、呼吸器感染症・性感染症領域等におけるGeneSoC専用の研究用試薬及び体外診断用医薬品の開発・販売を通してこれらの感染症の診断・予防・治療への貢献を目指します。
以上の結果、新医薬品等(国内)の売上高は540億55百万円(前年同期比3.2%増)となりました。
〔新医薬品(海外)〕
新医薬品(海外)の売上高は5億32百万円(前年同期比7.9%増)となりました。
〔後発医薬品〕
一部の後発医薬品企業の品質問題に端を発した安定供給不安への対応に最大限注力するとともに、新規追補収載品及び重点品目の売上拡大に努めました。その結果、キプレスのオーソライズド・ジェネリック等の実績が前年同期を上回ったことにより、売上高は261億19百万円(前年同期比5.1%増)となりました。
品質確保の取り組みについては、杏林製薬㈱、キョーリン リメディオ㈱、キョーリン製薬グループ工場㈱が品質方針を掲げ、一丸となって、GMP※などの法令遵守の徹底を図るとともに、品質管理体制のより一層の強化に努めています。今後とも信頼性の確保に最大限注力し、高品質で安心・安全な製品を提供してまいります。
※医薬品等の製造管理及び品質管理の基準
〔杏林製薬㈱の吸収合併及び商号の変更〕
当社グループを取り巻く事業環境の急激な変化と当社の置かれた状況に鑑み、当社は、2023年4月1日付けでグループの主たる事業会社である杏林製薬㈱を当社に吸収合併するグループ内再編により純粋持株会社体制から事業持株会社体制に移行するとともに、当社の商号を「杏林製薬株式会社」に変更します。当社グループはこの体制刷新を行うことにより、新薬事業をグループ経営の中核に据えて強力に事業推進するとともに、ジェネリック医薬品事業、感染関連事業、医薬品製造受託事業を複合的に展開し、次の 100 年に向けて更なる飛躍を目指します。なお上記は、2022年5月11日開催の取締役会において決議され、これに伴う当社の定款一部変更について同年6月24日開催の定時株主総会において決議されました。
(2)財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末と比較して26億38百万円増加し、
1,745億62百万円となりました。このうち、流動資産は1,146億43百万円と前連結会計年度末と比較して17億33百万円の減少となりました。主な増減要因は、現金及び預金の減少82億81百万円、受取手形及び売掛金の増加20億74百万円、商品及び製品の増加20億66百万円、仕掛品の増加34億08百万円等によるものです。また、固定資産は599億19百万円と前連結会計年度末と比較して43億71百万円の増加となりました。主な増減要因は、有形固定資産の増加20億58百万円、無形固定資産の増加20億46百万円等によるものです。
負債総額は、前連結会計年度末と比較して3億57百万円増加し、477億73百万円となりました。主な増減要因は、賞与引当金の減少11億92百万円、流動負債のその他の増加9億49百万円等によるものです。
純資産は、前連結会計年度末と比較して22億81百万円増加し、1,267億88百万円となりました。主な増減要因は、利益剰余金の増加13億54百万円、その他有価証券評価差額金の増加3億44百万円等によるものです。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発費は71億56百万円(前年同期は65億71百万円)となりました。
未だ数多く存在するアンメット・メディカル・ニーズに応え、世界の人々の健康に貢献する新薬を継続的に創出し、普及させることが新薬メーカーの使命だと考えています。杏林製薬㈱は、自社創薬に国内外の製薬企業、アカデミア、ベンチャー企業とのオープンイノベーションを加えることで、創薬プラットフォームの活性化を進めるとともに、核酸等の新技術の応用・育成に取り組みました。また外部創薬テーマの積極的な探索・導入の検討を行い、ファースト・イン・クラス創薬に向けた活動を展開しました。
当第3四半期連結会計期間における開発パイプラインの拡充としては、2022年11月に杏林製薬㈱がサスメド㈱と耳鼻科領域における治療用アプリの共同研究開発及び販売に関する契約を締結しました。当社グループは、耳鼻科領域を重点領域としており、特定の耳鼻科疾患に対する新たな治療選択肢の提供を目指し、治療用アプリの開発に着手しました。
