【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、インフレの伸長による各国の金融政策変更に伴う景気の減速懸念や、中国のロックダウン政策やその後の感染拡大による景気減速など、依然として先行きが不透明な状況が続いております。わが国においては、コロナ禍からの正常化に向けた回復の動きが続くことから、景気は穏やかに持ち直しているものの、物価の上昇や欧米との金融政策の違いに伴い為替相場が不安定になるなど、未だ厳しい状況は続いております。
この様な状況の中で当社グループでは、世界的に自動車生産台数回復の遅れがある中、車載安全向けセンサがシェアの拡大と顧客の在庫確保の動きにより堅調に推移したことと、車載向け電流センサが電気自動車の市場拡大と共に生産、出荷が大幅に増加したことにより好調に推移いたしました。一方、防犯向けセンサは中国の経済失速や、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化などに伴い需要の低迷を受け減少いたしました。
この様な状況の結果、円安効果もあり売上高は23,258百万円(前年同期比8.9%増)となりました。利益面では、売上高の増加から営業利益は4,178百万円(前年同期比23.6%増)となり、経常利益は営業利益同様の理由により4,946百万円(前年同期比25.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は連結子会社である昆山日セラ電子器材有限公司の収用に伴う補償金収入や諸費用の発生などにより5,022百万円(前年同期比78.3%増)となりました。
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ2,211百万円増加し47,032百万円となりました。固定資産は、前連結会計年度末に比べ427百万円増加し11,971百万円となりました。これらにより資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,639百万円増加し59,003百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,639百万円増加し8,133百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ0百万円減少し50,869百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、税金等調整前当期純利益7,863百万円、減価償却費1,301百万円などのキャッシュ増加要因がありましたが、売上債権の増加1,656百万円、棚卸資産の増加2,136百万円、法人税等の支払額1,413百万円などのキャッシュ減少要因により全体で5,087百万円の収入(前連結会計年度は3,716百万円の収入)となりました。前連結会計年度と比べて1,371百万円の収入増となりましたが、その主な要因は、税金等調整前当期純利益の増加による3,939百万円の収入や、売上債権の増加による1,008百万円の支出、棚卸資産の増加による1,344百万円の支出などであります。
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、定期預金の預入などによる純額2,654百万円、有形固定資産の取得による支出2,072百万円などにより全体で4,729百万円の支出(前連結会計年度は2,341百万円の支出)となりました。前連結会計年度末と比較して2,387百万円の支出増加となりましたが、その主な要因は定期預金の預入などにより純額で1,738百万円、有形固定資産の取得による支出663百万円などの支出が増加したことなどであります。
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、自己株式の取得による支出3,628百万円、配当金の支払額2,505百万円などにより全体で6,278百万円の支出(前連結会計年度は3,911百万円の支出)となりました。支出額が前連結会計年度末に比べ2,366百万円増加しましたが、その主な要因は、自己株式の取得による支出が1,628百万円、配当金の支払額が701百万円それぞれ増加したことによります。
以上の項目に換算差額を調整した結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は5,674百万円減少し残高は13,655百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、電子部品並びにその関連製品の製造販売を主たる目的とした単一事業であるため、セグメント別の記載を省略しております。
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
電子部品並びに関連製品の製造販売(百万円)
24,155
111.8
合計(百万円)
24,155
111.8
(注)金額は販売価格によっております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績は次のとおりであります。
受注高
(百万円)
前年同期比
(%)
受注残高
(百万円)
前年同期比
(%)
電子部品並びに関連製品の製造販売
23,463
93.4
6,716
103.2
合計
23,463
93.4
6,716
103.2
(注)金額は販売価格によっております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
電子部品並びに関連製品の製造販売(百万円)
23,258
108.9
合計(百万円)
23,258
108.9
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
㈱中外
2,426
11.4
3,151
13.6
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の売上高は23,258百万円で前連結会計年度に比べ1,899百万円の増収となりました。売上総利益は、前連結会計年度に比べ850百万円増益の6,816百万円となりました。なお、売上原価率は70.7%で前連結会計年度に比べ1.4%減少しました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べて52百万円増加し2,638百万円となりました。
経常利益は、営業利益が798百万円増加したことなどにより前連結会計年度に比べ1,006百万円増加し4,946百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、連結子会社である昆山日セラ電子器材有限公司の収用に伴う補償金収入や諸費用の発生などにより、前連結会計年度に比べ2,205百万円増加し5,022百万円となりました。
以上の結果、目標とする経営指標と当連結会計年度の実績は下記のようになりました。
指標
当連結会計年度
目標値
自己資本比率
82.7%
60%以上
経常利益率
21.3%
20%以上
ROE(自己資本利益率)
10.3%
8%以上
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ2,211百万円増加し47,032百万円となりました。その主な要因は、売上高の増加などにより受取手形及び売掛金が1,057百万円増加したこと、部材調達リードタイムの長期化に対応するため、原材料が1,348百万円増加したことなどによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ427百万円増加し11,971百万円となりました。その主な要因は、設備の取得により有形固定資産が増加したことなどによります。
これらにより資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,639百万円増加し59,003百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,639百万円増加し8,133百万円となりました。その主な要因は、電子記録債務が723百万円、未払法人税等が853百万円増加したこと、当社グループ内の資金需要の適正化の観点から連結子会社の配当方針の見直しを行ったことに伴い繰延税金負債を608百万円計上したことなどによります。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ0百万円減少し50,869百万円となりました。その主な要因は、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益により2,511百万円増加したこと、自己株式が新規取得により3,628百万円増加したこと、為替換算調整勘定が915百万円増加したことなどによります。
今後の経済見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の新たな変異株による影響があると考えられますが、経済活動への影響は以前と比べ限定されると予測します。しかし、半導体や材料供給遅延、国際貨物輸送の逼迫など依然として今後の先行きは不透明な状況であるため、当社グループを取り巻く事業環境も大きく改善する事は難しいと判断しております。
そのような状況の中、当社グループでは
イ.需要が見込まれる自動運転、電気自動車、家電などの省エネ関連分野に対して品質の強化と安定した供給体制構築に努めます。
ロ.上記分野及びその他の分野のセンサ製品などの開発と量産を進め、新たな業界への拡販に努めます。
ハ.開発、生産、販売のリードタイムの短縮など原価改善を継続し、安定的な利益を確保した上でより強固な経営基盤の構築に努めます。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入費用及び人件費のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は主として生産能力の拡充や効率化、新製品開発などに必要な設備投資や、研究開発に対する投資によるものであり、加えて事業の買収資金等も投資資金として位置付けております。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は営業キャッシュ・フローによる自己資金によって賄うことを基本としており、大型の投資案件や長期運転資金の必要性が生じた場合は自己資金を基本としつつ市場からの調達あるいは金融機関からの借入などその時の経営環境に応じて柔軟に対応していく方針です。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。