【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に対する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績等の概要
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染再拡大の影響が懸念される中、個人消費を中心に持ち直しの動きが見られるなど、社会生活や経済活動の正常化が図られました。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化に伴う原材料や資源・エネルギー価格の高騰、急激な円安の進行、さらには世界的な金融引き締めを背景とした海外景気の下振れ懸念等により、先行きは極めて不透明な状況で推移しました。
住宅業界におきましては、コロナ禍における生活様式や働き方の変化を背景に、新設住宅着工戸数の総数は底堅く推移したものの、利用関係別では持家が前年を下回る着工戸数となりました。一方、ウッドショックにより木材価格が上昇を続ける中、前年の2倍近い価格に高騰する木質材料も多く、企業収益を圧迫する状況が続いております。さらに、木材以外の諸資材につきましても、想定を大きく上回る水準にまで高騰しており、原油価格の上昇も相まって物流経費が高止まりの状況にあるなど、企業を取り巻く環境は非常に厳しい状況となっております。
このような状況下、当社グループでは、2024年3月期を最終年度とする中期経営計画「EIDAI Advance Plan 2023」の実現に向けて、本計画の基本方針に基づく各施策への取り組みを進めてまいりました。とりわけ、顧客ニーズを取り入れた新製品の市場投入による住宅分野及び非住宅分野の販売拡大に注力しました。一方で、原材料価格の高騰が続いていることを踏まえ、更なる生産性の向上や経費削減を図るとともに、お客様に対して原材料価格の高騰に見合った販売価格の改定をお願いしつつ、供給責任を果たすことを最優先に考え、資材の安定調達と製品の安定生産、安定供給に取り組んだ結果、販売面では一定のシェアを確保することができました。しかしながら、供給過多の傾向にあるマーケットにおいては、販売価格の改定が思うように進捗せず、売上高の拡大期に高騰した原材料を使用する時期が重なったため、収益性が悪化しました。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、住宅資材事業、木質ボード事業とも堅調に推移し、51,337百万円(前年同四半期比18.6%増)となりました。
損益面では、2022年11月に商用生産を開始したENボード株式会社において発生する減価償却費をグループ全体で補うべく、販売価格の適正化に加え、徹底したコスト低減や高付加価値製品の販売拡大に取り組み、収益確保に努めましたが、第3四半期に計画していた販売価格の改定が遅れているため、売上高の増加による増益効果が想定を下回りました。さらに、急激な円安の進行による調達コストの増加は、国内製造分に限らず普及タイプのフローリングの製造拠点であるEidai Vietnam Co., Ltd.においても製造原価を大幅に押し上げることとなり、グループ全体の売上総利益率の悪化に影響を与えました。また、販管費につきましても物流経費の高止まりやENボード株式会社の先行経費等により、増加傾向が続いております。以上の結果、営業損失896百万円(前年同四半期は営業損失239百万円)、経常損失979百万円(前年同四半期は経常損失126百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失911百万円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純利益115百万円)となりました。なお、非連結子会社であるPT. Eidai Industries Indonesiaの解散及び清算に伴う特別損失として252百万円を当第3四半期連結会計期間に計上しております。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(住宅資材事業)
住宅資材事業におきましては、フローリング、室内階段、室内ドア、収納等の色柄・デザインを体系化した基軸ブランド「Skism(スキスム)」の販売拡大に注力しました。さらに今年度は、コロナ禍以降、穏やかに過ごせる住空間のニーズが増加していることから、「自身を平常の穏やかな状態に戻してくれる柔らかい雰囲気のインテリアコーディネート」を意味する「ニュートラルインテリア」を一つの切り軸として、グレージュ等のトレンドカラーを追加した「Skism(スキスム)2022」を発売しました。また、原材料価格の高騰などに対応するため、各分野ともコスト低減活動と並行してお客様に対して原材料価格の高騰に見合った販売価格の改定を進め、収益の確保に努めました。
このほか、各分野別の取組は以下のとおりであります。
建材分野では、フローリングの「銘樹モクトーン」と「銘樹エルテージ」をクリア系ラインナップの「銘樹モクトーン」及び着色系ラインナップの「銘樹モクトーンC」に再編し、それぞれに新製品を追加するなど、銘樹ブランドの強化を図りました。また、室内階段におきましては、シンプルな単色表現に加え、今までにないカラーバリエーションによりコーディネートの幅を広げた「ユニカラーセレクション」を発売しました。
内装システム分野では、最上位シリーズの「グランマジェスト」にフロートタイプのTVボードを追加するなど、販売拡大に注力するとともに、異素材融合のトレンドを取り入れた「マテリアルミックス」をリニューアルし、品揃えの充実を図りました。また、「セーフケアプラス 大開口間仕切り吊り戸」に、和のテイストを取り入れた新デザインを追加するなど、「セーフケアプラス」製品群を強化しました。
住設分野では、「ラフィーナ ネオ」「ラポッテ」をはじめとするシステムキッチンに加え、感染予防策の観点から帰宅後はすぐに手を洗いたいというニーズを取り入れ、玄関などに単独でも設置することができるコンパクトでインテリア性の高い手洗い「セカンドサニタリー」の販売拡大に注力しました。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は46,014百万円(前年同四半期比16.9%増)と堅調に推移しましたが、第3四半期に計画していた販売価格の改定が遅れていることに加え、急激な円安の進行による調達コストの増加は、国内製造分に限らず普及タイプのフローリングの製造拠点であるEidai Vietnam Co., Ltd.においても製造原価を大幅に押し上げたため、セグメント利益は964百万円(同25.9%減)となりました。
(木質ボード事業)
木質ボード事業におきましては、パーティクルボードの堅調な需要を背景に、既存顧客への販売拡大や顧客の新規開拓などに取り組んだ結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は5,226百万円(前年同四半期比35.9%増)となりました。一方、原油価格の上昇に伴い接着剤や化粧シートをはじめとする原材料価格の高騰が続く中、徹底したコスト低減や販売価格の改定により一定の効果はあったものの、2022年11月から商用生産を開始したENボード株式会社の販管費を補うには至らず、セグメント損失は614百万円(前年同四半期はセグメント損失289百万円)となりました。
(その他事業)
当社グループは、上記事業のほか、不動産有効活用事業、太陽光発電事業を推進しております。
当第3四半期連結累計期間の売上高は96百万円(前年同四半期比3.4%減)、セグメント利益は58百万円(同2.6%増)となりました。
(2) 財政状態の概要
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ5,371百万円増加し、94,224百万円となりました。主な要因は、未収入金、現金及び預金がそれぞれ減少したものの、売上債権、棚卸資産がそれぞれ増加したことによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ7,242百万円増加し、54,295百万円となりました。主な要因は、借入金が減少したものの、リース債務、未払金、支払手形及び買掛金がそれぞれ増加したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ1,871百万円減少し、39,929百万円となりました。主な要因は、親会社株主
に帰属する四半期純損失の計上、配当金の支払いによるものです。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループにおける優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は449百万円であります。なお、研究開発費については、各事業部門に配分できない基礎研究費用147百万円が含まれております。
また、当第3四半期連結累計期間におけるセグメント別の研究開発費については、住宅資材事業は271百万円、木質ボード事業に係る研究開発費は30百万円であります。
その他、当第3四半期連結累計期間において、当社グループが行っている研究開発活動について、重要な変更はありません。
(6)資本の財源及び資金の流動性について
当社グループは製品製造のための原材料の調達、経費等の支払いを始めとした運転資金のほか、安定した製品の生産を行うための設備投資資金、ソフト開発資金の需要があります。これらの資金需要に対し、自己資金並びに外部からの資金調達も含め安定的かつ機動的な対応を基本としております。また、金融機関と総額5,000百万円の融資枠を設定し流動性リスクに備えております(当第3四半期連結会計期間末において借入未実行)。
なお、当第3四半期連結会計期間末の借入金残高22,420百万円は、ENボード株式会社の設備投資資金に係るものであります。
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