【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当社グループの当第2四半期連結累計期間における連結売上高は、メディカルシステム事業、電子材料事業等を中心に売上を伸ばし、1,349,931百万円(前年同期比12.0%増)となりました。営業利益は、120,810百万円(前年同期比12.0%増)となりました。税金等調整前四半期純利益は、投資有価証券評価益の減少等により129,534百万円(前年同期比0.3%減)、当社株主帰属四半期純利益は95,163百万円(前年同期比1.1%減)となりました。
当第2四半期連結会計期間末では、総資産は棚卸資産、有形固定資産等の増加により331,247百万円増加し、4,286,527百万円(前年度末比8.4%増)となりました。負債は社債及び長期借入金等の増加により105,826百万円増加し、1,536,166百万円(前年度末比7.4%増)となりました。純資産は為替換算調整額等の増加により225,421百万円増加し、2,750,361百万円(前年度末比8.9%増)となりました。
事業セグメント別の業績は次のとおりであります。
(事業セグメント別の連結売上高)
セグメント
前第2四半期
連結累計期間
(百万円)
当第2四半期
連結累計期間
(百万円)
増減額
(百万円)
増減率
(%)
ヘルスケア
375,592
416,122
40,530
10.8
マテリアルズ
307,855
351,981
44,126
14.3
ビジネスイノベーション
373,374
398,423
25,049
6.7
イメージング
148,313
183,405
35,092
23.7
連結合計
1,205,134
1,349,931
144,797
12.0
(事業セグメント別の営業利益)
セグメント
前第2四半期
連結累計期間
(百万円)
当第2四半期
連結累計期間
(百万円)
増減額
(百万円)
増減率
(%)
ヘルスケア
47,009
43,567
△3,442
△7.3
マテリアルズ
39,045
39,365
320
0.8
ビジネスイノベーション
25,616
30,096
4,480
17.5
イメージング
12,401
26,615
14,214
114.6
全社費用及び
セグメント間取引消去
△16,209
△18,833
△2,624
-
連結合計
107,862
120,810
12,948
12.0
① ヘルスケア部門
本部門の連結売上高は、416,122百万円(前年同期比10.8%増)となりました。営業利益は、43,567百万円(前年同期比7.3%減)となりました。
メディカルシステム事業では、医療IT、内視鏡、超音波診断等の分野を中心に販売が好調に推移し、売上が大幅に増加しました。X線画像診断分野では、米国、新興国を中心にデジタルマンモグラフィシステム「AMULET Innovality」の販売が堅調に推移し、デジタルX線透視撮影システム「CUREVISTA Open」の販売も伸長しました。医療IT分野では、医用画像情報システム(PACS)「SYNAPSE」や3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT」に加え、放射線科領域向けの解析機能に特化したソフトウェア「SYNAPSE VINCENT Core」等の新製品の販売も好調に推移し、米国、日本を中心に売上が大幅に増加しました。超音波診断分野では、「Sonosite PX」を中心としたPOC(Point of Care)向け超音波診断装置が米国、欧州等で伸長したことに加え、据置型超音波診断装置の新製品「ARIETTA 850DI」「ARIETTA 650DI」の販売が日本、欧州を中心に増加しました。内視鏡分野では、粘膜の僅かな色の違いを強調し、内視鏡観察をサポートするLCI(Linked Color Imaging)をはじめとする画像強調機能を搭載した「7000システム」等の販売が米国、欧州、日本を中心に大幅に伸長しました。また、2022年9月には胃がん・食道がんの早期発見をサポートする内視鏡診断支援ソフトウェア「EW10-EG01」が、AI技術を活用して開発された上部消化管領域の内視鏡診断を支援する医療機器として日本初の薬事承認を取得しました。体外診断(IVD)分野では、血液生化学検査「富士ドライケム」機器・スライドや新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」と記載します。)関連の抗原検査機器・試薬の販売が伸長したことに加え、富士フイルム和光純薬㈱の生化学試薬や免疫関連の検査機器・試薬の販売も堅調に推移し、売上が増加しました。CT・MRI分野では、半導体等部品不足の影響を受けましたが、全身用X線CT診断装置「Supria」の販売が好調に推移する等、売上が増加しました。
バイオCDMO事業では、バイオ医薬品のプロセス開発受託及び製造受託がデンマーク拠点で堅調に推移したことや、為替影響等により、前年同期に対し売上が増加しました。2022年4月には、米国バイオベンチャーAtara Biotherapeutics, Inc.の細胞治療薬製造拠点の買収が完了しました。今後、遺伝子改変細胞治療薬をはじめとする細胞治療薬の受託ビジネスを本格的に展開し、バイオ医薬品の開発・製造受託事業のさらなる拡大を図っていきます。2022年6月には、抗体医薬品の旺盛な製造受託ニーズに対応するデンマーク拠点への設備増強、及び培養から精製まで原薬の一貫生産が可能な商業用連続生産システムによるGMP製造設備の米国テキサス拠点への導入を、総額2,000億円を投じて行うことを発表しました。当社は、幅広いバイオ医薬品を対象に生産プロセスの開発受託、小規模生産から大規模生産、原薬から製剤・包装までの製造受託ニーズに応えていきます。また、バッチ生産方式のみならず、連続生産方式による製造受託を通じて製薬企業等に新たな価値を提供し、医薬品業界におけるベストパートナーを目指します。
ライフサイエンス事業では、試薬と細胞は前年から売上が伸長しましたが、培地でCOVID-19用ワクチン・治療薬向け需要が一巡したこと等により、事業全体で売上は前年同期並みとなりました。2022年3月には、細胞の増殖・分化・機能発現を促進するサイトカインの開発・製造・販売を行う米国バイオテック企業Shenandoah Biotechnology, Inc.を買収しました。この買収により、培地とサイトカイン等を組み合わせた細胞培養関連製品の研究開発と顧客提案力をさらに強化し、市場が急伸する細胞治療薬の研究開発・製造支援ビジネスを拡大していきます。
医薬品事業では、2022年3月に富士フイルム富山化学㈱の放射性医薬品事業をペプチドリーム㈱へ譲渡したこと等により、売上が減少しました。2022年10月には、富士フイルム富山化学㈱が、平時はバイオ医薬品を製造し、パンデミック時はワクチン製造に切り替えられるデュアルユース対応の設備を導入することを発表しました。バイオ医薬品のプロセス開発・製造受託サービスを製薬会社に提供し、パンデミック時には、受託サービスを通じて製薬企業による国産ワクチンの迅速開発・供給をサポートしていきます。
コンシューマーヘルスケア事業では、主にサプリメントで在宅勤務によるダイエット需要が継続した前年同期に対し販売が減少したこと等により、売上が減少しました。2022年6月には、歩行や階段昇降等移動時のひざ関節の違和感を軽減する機能性関与成分を配合した機能性表示食品「アユメイト」の販売を開始しました。2022年8月には、当社独自のリポソーム技術を化粧品分野に応用した高機能美容液シリーズ「ASTALIFT THE SERUM (アスタリフト ザ セラム)」の販売を開始しました。今後も顧客のニーズを捉えた独自性の高い製品を提供し、人々の美容と健康に貢献していきます。
② マテリアルズ部門
本部門の連結売上高は、351,981百万円(前年同期比14.3%増)となりました。営業利益は、39,365百万円(前年同期比0.8%増)となりました。
電子材料事業では、前年度に続き、CMPスラリーやフォトリソ周辺材料等の販売が好調に推移し、売上が大幅に増加しました。5Gや自動運転の発展に伴い需要が伸びていく最先端半導体向けに、幅広い製品を安定供給していくことで成長を加速させていきます。2022年9月には、当社として国内初のCMPスラリー生産設備を熊本に建設することを発表しました。今後、世界4拠点の生産体制の下、CMPスラリーの安定供給と品質における高い顧客要求に応え、さらなるビジネス拡大を図っていきます。
ディスプレイ材料事業では、前年にCOVID-19の流行下でモニター、タブレット及びTV需要が増加したことの反動や、WVフィルムの需要減の影響を受け、売上が減少しました。
産業機材事業では、非破壊検査用機器・材料で、COVID-19流行の影響を受けていた欧米の航空業界向けの販売が前年度に続き回復したことに加え、オイルガス業界向けの販売も好調に推移し、売上が増加しました。
ファインケミカル事業では、重合材料等の化成品の販売が伸長したことにより、売上が増加しました。
記録メディア事業では、半導体逼迫の影響等によりデータセンター建設への投資が抑制され、データアーカイブ用のテープ需要が停滞し、売上が減少しました。
グラフィックコミュニケーション事業では、刷版材料分野において、一部の地域で資材やエネルギー価格高騰によるオフセット印刷需要の停滞も見られましたが、各地域で段階的に販売価格の見直しを実施したこと等により、売上が増加しました。デジタル印刷分野は、プロダクションプリンターの欧米向け出荷が市況回復にともない伸長したこと等により、売上が増加しました。
インクジェット事業では、産業用インクジェットヘッドの販売が、欧州の建材印刷市場やテキスタイル市場での需要増により好調に推移し、インクの販売も、ホーム&オフィス市場向け染料インクを中心に販売を伸ばし、全体で売上が増加しました。2022年7月には、欧州におけるインクジェットビジネスをさらに拡大するため、インクジェットシステムのカスタマイズ提供を強みとする、欧州の有力システムインテグレーターUNIGRAPHICA AGを買収しました。今後も、高度なインクジェット技術や高品質な製品・サービスの提供を通じて、さらなる事業拡大を進めるとともに、産業用インクジェット市場の拡大、インクジェット技術応用による新産業の創出に貢献していきます。
③ ビジネスイノベーション部門
本部門の連結売上高は、398,423百万円(前年同期比6.7%増)となりました。営業利益は、30,096百万円(前年同期比17.5%増)となりました。
オフィスソリューション事業では、COVID-19による中国ロックダウンの影響を受けましたが、複合機・プリンター及び消耗品の欧米向け輸出の増加や為替影響等により、売上が増加しました。2022年7月1日には、研究開発を含む複合機・プリンターの全体戦略立案・推進機能に加え、事業横断による海外マーケティング機能を担う新たな組織を設立しました。新体制のもと、複合機・プリンターのマーケティングを一層強化し、お客様の要求に迅速に対応することで収益性をさらに高めていきます。また、海外市場に対して、地域毎のニーズに対応した商品戦略を構築し、競争優位性を確保するとともに、OEM供給を含むビジネスの拡大を積極的に進めていきます。
ビジネスソリューション事業では、国内における前年度の法改正対応に伴う自治体向け特需の反動がありましたが、その他のソリューション・サービス売上が国内で増加したことや海外でのBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)事業の伸長、為替影響等により、売上が増加しました。2022年5月には、業種別・業務別にお客様のDX課題解決を強力に支援し、中堅・中小企業のDXを加速する新ソリューション「Bridge DX Library」の提供を開始し、2022年7月には、合計103種類のソリューションにラインアップを拡大しました。今後も、お客様のDXに資するソリューション・サービスメニューの提供と海外展開を加速させ、本部門における中核事業として、ビジネスソリューション事業の成長を目指していきます。
④ イメージング部門
本部門の連結売上高は、183,405百万円(前年同期比23.7%増)となりました。営業利益は、26,615百万円(前年同期比114.6%増)となりました。
コンシューマーイメージング分野では、インスタントフォトシステム、カラーペーパー、ドライプリント機器及び材料の販売が好調に推移し、売上が増加しました。インスタントフォトシステムは、デバイスとフィルムともに販売が好調に推移し、前年同期を上回る売上となりました。2022年7月にはスマホプリンター「INSTAX mini Link2」を発売しました。専用アプリを使用してスマートフォンで撮影する際にAR(拡張現実)エフェクトを重ね合わせて空間に絵や文字を描く空間描画機能「instaxAiR」等、新たな機能を搭載し市場から高い評価を受けています。INSTAX“チェキ”は今後もアナログとデジタルの技術を掛け合わせ、世界中の人々に「新たな価値」を提供していきます。
プロフェッショナルイメージング分野では、デジタルカメラの販売が好調に推移し、売上が増加しました。2022年7月には、2616万画素の裏面照射積層型CMOSセンサーを搭載し、スピードと機動性に優れ、動体撮影に最適の「FUJIFILM X-H2S」を発売しました。2022年9月には、4020万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載し、圧倒的な解像力を生かした風景やポートレート等の写真撮影に加え、高精細な8K映像撮影が可能な「FUJIFILM X-H2」を発売しました。これら新センサーとAI処理に対応した高速画像処理エンジン「X-Processor 5」の組み合わせを実現したダブルフラッグシップモデルの展開で、写真愛好家からプロ写真家、映像クリエイター等幅広い層のニーズに応えていきます。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」と記載します。)は、前連結会計年度末より39,428百万円減少し、当第2四半期連結会計期間末においては446,900百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は54,681百万円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して93,136百万円減少(△63.0%)しておりますが、これは受取債権の減少額が減少したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は163,133百万円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して79,808百万円増加(95.8%)しておりますが、これは有形固定資産の購入額の増加等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られた資金は44,019百万円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して71,991百万円増加(前第2四半期連結累計期間は27,972百万円の支出)しておりますが、これは長期債務による調達額が増加したこと等によるものです。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに発生した課題はありません。
(5) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、76,507百万円(前年同期比1.0%増)であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 主要な設備
前連結会計年度末における、当連結会計年度1年間の当社グループの設備投資(新規・拡充)の計画は3,000億円でありましたが、ヘルスケア セグメントの計画金額を2,150億円から2,600億円に変更したこと等により、第1四半期連結会計期間末において3,500億円に変更しております。
(7) 重要な会計上の見積り
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ④重要な会計上の見積り」の記載について重要な変更はありません。