【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績当社グループでは、2022年5月に公表した「22-24 中期経営計画 未来への躍進 ~進化するヘルスケアコンソーシアム®~(以下「22-24中計」という。)」に掲げた以下のグループ経営方針に取り組んでおります。・『事業モデルの強化』と『新たな価値の創造』・『グループ一体となった取り組み』による地域の健康・医療への貢献・『環境保全への取り組み等』を通じたサステナブル社会への貢献・『ダイバーシティ』を中心とした人財戦略の推進・『コンプライアンスの遵守』を最重要とする企業風土の醸成当社は、グループ一体となって事業モデルの強化と新たな価値の創造およびコンプライアンス徹底の体制強化を図るため、2023年4月1日付の機構改革において、グループ医療卸事業統括部、トータルサプライチェーンサービス企画推進部、再生医療事業企画開発室、流通コンプライアンス室を新設するなどの組織再編を行いました。さらに、当社はグループのさらなる企業価値向上を実現すべく、2023年5月、2032年度までの中長期的な事業戦略および財務・資本戦略 「アルフレッサグループ中長期ビジョン」を公表するとともに、資本効率の改善と株主還元の充実を図るため350億円を上限とする自己株式取得を決議し、同年10月2日をもって、15,201千株を取得し終了いたしました。「新たな価値の創造」への取り組みとして、当社は、2023年5月、抗体医薬を主体とした研究開発を行う株式会社凜研究所(本社:東京都中央区)に対し第三者割当増資による出資をいたしました。同社が進める抗体医薬の開発を支援していくとともに、トータルサプライチェーンサービスの実現に向けて医薬品等製造事業における開発パイプラインと製造技術を強化してまいります。また、組織再編により当社の完全子会社となったセルリソーシズ株式会社(本社:東京都千代田区)は、2023年7月、Miltenyi Biotec B.V. & Co. KG(本社:ドイツ連邦共和国)との間で、遺伝子細胞治療市場における自動細胞製造施設・工程の設計、建設、稼働のサポートを目的とするバイオインダストリー・サポート契約を締結いたしました。当社グループでは、本契約を契機として遺伝子細胞治療市場に対して高度に自動化された受託細胞製造サービスを提供する事業基盤の整備を進め、再生医療等製品の受託製造サービスを提供する体制の構築を進めております。当第2四半期連結累計期間における当社グループの業績は、売上高1兆4,278億56百万円(前年同期比7.2%増)、営業利益159億98百万円(同56.4%増)、経常利益172億80百万円(同50.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益118億50百万円(同69.3%増)となりました。
セグメント別の業績は、以下のとおりであります。
① 医療用医薬品等卸売事業当第2四半期連結累計期間においては、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5月から「5類感染症」に移行されましたが、再拡大の様相を呈しました。このようななか、当社グループでは、生命関連商品を取り扱う社会インフラとしての使命を果たすべく、医薬品等の安定供給はもとより、新型コロナウイルスワクチンおよび治療薬の配送業務ならびに欠品や需給調整が続くジェネリック医薬品への対応に尽力しております。医療用医薬品等卸売事業におきましては、スペシャリティ領域ならびにメディカル品への取り組み強化とDXによる事業変革を通じて、「22-24中計」の重点施策として掲げた「既存事業の強化」「事業変革による収益化」「グループ全体での最適化・効率化・標準化」を推進しております。
当社グループでは、新たな医療サービスの開発に挑戦する様々なベンチャー企業との提携により、医療分野における課題解決への取り組みを進めております。連結子会社のアルフレッサ株式会社(本社:東京都千代田区)は、株式会社MICIN(本社:東京都千代田区)との間で資本業務提携契約を締結し、オンライン診療サービス「curon(クロン)」や通院専用のキャッシュレス決済サービス「クロンスマートパス」等の普及拡大を推進するとともに、両社の経営資源を活用し、生活者の健康向上や医療アクセスの充実につなげるなど、医療・ヘルスケアサービスの開発および展開を図っております。また、アルフレッサ株式会社は、2023年5月、キッズウェル・バイオ株式会社(本社:東京都中央区)および三菱倉庫株式会社(本社:東京都中央区)との間で、キッズウェル・バイオ株式会社が再生医療等製品として開発中のヒト乳歯歯髄幹細胞の高品質かつ安定的な保管・輸送体制の構築に関する業務委託基本契約を3社間で締結し、再生医療分野においても医薬品の安定供給を担うべく、ヒト乳歯歯髄幹細胞を原料とする再生医療等製品の実用化に向けた協業を進めてまいります。当セグメントの当第2四半期連結累計期間の業績は、2023年4月に実施された薬価の中間年改定によるマイナス影響はあったものの、新型コロナウイルス感染症治療薬をはじめとする市場の伸長および一部製薬企業の流通体制変更ならびに販管費率の低減に取り組んだこと等により、売上高1兆2,671億88百万円(前年同期比7.2%増)、営業利益137億96百万円(同72.6%増)となりました。なお、売上高には、セグメント間の内部売上高89億19百万円(同7.0%増)を含んでおります。
② セルフメディケーション卸売事業セルフメディケーション卸売事業におきましては、既存領域の高収益化と成長領域への挑戦を推進し、「22-24中計」の重点施策として掲げた「高収益化への取り組み」「グループ連携強化」「事業変革による収益力強化」を推進しております。なかでも、物価高騰による仕入原価上昇への対応、調剤薬局販路開拓をはじめとするニューチャネル創造に取り組んでまいりました。当セグメントの当第2四半期連結累計期間の業績は、新型コロナウイルス感染症の「5類」移行後の都市部における人流回復に加えて、訪日外国人増加によるインバウンド需要増に伴う市場回復の影響から増収となったこと等により、売上高1,333億50百万円(前年同期比7.5%増)、営業利益14億66百万円(同26.6%増)となりました。なお、売上高には、セグメント間の内部売上高2億75百万円(同9.9%減)を含んでおります。
③ 医薬品等製造事業医薬品等製造事業におきましては、「次代の基盤創り」を目指し、「22-24中計」の重点施策として掲げた「安心・安全・誠実なモノづくり」「トータルサプライチェーンサービスの実現に向けた取り組み」「デジタルを活用した新たな取り組み」を推進しております。2023年4月、連結子会社のアルフレッサ ファーマ株式会社(本社:大阪市中央区)は、連結子会社であったサンノーバ株式会社(本社:群馬県太田市)を合併いたしました。本合併により新たな価値の創造を通じて顧客満足を追求し、当社グループが掲げる「健康に関するあらゆる分野の商品・サービスを提供できるヘルスケアコンソーシアム®」の実現に貢献いたします。また、アルフレッサ ファーマ株式会社は、2023年3月に株式会社ケイファーマ(本社:東京都港区)との間で締結した、筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬としてのロピニロール塩酸塩の国内開発権・製造販売権許諾契約に基づく開発に引き続き取り組んでおります。当セグメントの当第2四半期連結累計期間の業績は、製造販売権を承継した長期収載品の売上伸長および新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原迅速検査キット「アルソニック®
COVID-19 Ag」をはじめとする診断薬の底堅い需要ならびに受託製造および原薬製造が堅調であったことによる増収の一方で、ALS治療薬開発に係る契約一時金支出等の経費増の影響により、売上高260億15百万円(前年同期比10.2%増)、営業利益1億86百万円(同77.9%減)となりました。なお、売上高には、セグメント間の内部売上高76億87百万円(同16.5%増)を含んでおります。
④ 医療関連事業医療関連事業におきましては、予防からターミナルケアまでライフジャーニーにおけるすべてのステージに対応する「かかりつけ薬局」を目指し、「22-24中計」の重点施策として掲げた「在宅医療への取り組みによる事業の成長」「DXによる事業変革」「未病予防への取り組み」を推進しております。当セグメントの当第2四半期連結累計期間の業績は、薬価改定によるマイナス影響はあったものの、新型コロナウイルス感染症治療薬等の影響による増収および経費抑制等により、売上高181億83百万円(前年同期比1.7%増)、営業利益2億79百万円(前年同期は営業損失14百万円)となりました。
(2) 財政状態① 資産の部資産は、前連結会計年度末と比較して863億63百万円増加し、1兆4,262億16百万円となりました。流動資産は、735億84百万円増加し、1兆1,081億11百万円となりました。これは主として、「現金及び預金」が260億42百万円増加および「受取手形及び売掛金」が449億37百万円増加したことによるものであります。固定資産は、127億79百万円増加し、3,181億4百万円となりました。これは主として、物流センター等の設備投資などに伴い有形固定資産が20億34百万円増加および保有株式の時価上昇等に伴い「投資有価証券」が106億17百万円増加したことによるものであります。
② 負債の部負債は、前連結会計年度末と比較して1,091億46百万円増加し、9,606億63百万円となりました。流動負債は、1,075億68百万円増加し、9,333億円となりました。これは主として、「支払手形及び買掛金」が919億33百万円増加および「短期借入金」が120億円増加したことによるものであります。固定負債は、15億78百万円増加し、273億63百万円となりました。これは主として、保有株式の時価上昇等に伴い繰延税金負債等の「その他」が18億89百万円増加した一方で、「退職給付に係る負債」が4億67百万円減少したことによるものであります。
③ 純資産の部純資産は、前連結会計年度末と比較して227億82百万円減少し、4,655億52百万円となりました。これは主として、「利益剰余金」が64億93百万円増加および保有株式の時価上昇等に伴い「その他有価証券評価差額金」が55億83百万円増加した一方で、株主還元の一環として自己株式を取得したこと等に伴い「自己株式」が347億43百万円増加したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フロー現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、260億29百万円増加(前年同期は109億28百万円の減少)し、1,848億5百万円となりました。当第2四半期連結累計期間におけるキャッシュ・フローの状況は、前第2四半期連結累計期間と比較して以下のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー営業活動の結果、増加した資金は631億12百万円(前年同期は106億97百万円の増加)となりました。これは主として、「税金等調整前四半期純利益」173億56百万円および「減価償却費」64億18百万円の計上ならびに運転資本の増減等によるものであります。なお、営業活動におけるキャッシュ・イン・フローは前年同期と比較して524億14百万円増加しておりますが、これは主として、税金等調整前四半期純利益の増加および運転資本増減の影響等によるものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー投資活動の結果、減少した資金は86億93百万円(前年同期は153億26百万円の減少)となりました。これは主として、物流センター建設等の物流設備投資および製造事業強化のための製造設備投資を中心とした「有形固定資産の取得による支出」60億83百万円ならびにベンチャー企業への出資等の「投資有価証券の取得による支出」26億36百万円があったこと等によるものであります。なお、投資活動におけるキャッシュ・アウト・フローは前年同期と比較して66億33百万円減少しておりますが、これは主として、有形固定資産の取得支出が減少したことによるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー財務活動の結果、減少した資金は294億67百万円(前年同期は63億85百万円の減少)となりました。これは主として、剰余金の配当を実施したこと、株主還元の一環として自己株式を取得したことおよび短期借入金が増加したこと等によるものであります。なお、財務活動におけるキャッシュ・アウト・フローは前年同期と比較して230億81百万円増加しておりますが、これは主として、自己株式の取得による支出が増加および短期借入金が増加したことによるものであります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間における研究開発費の総額は13億38百万円(前年同期比79.5%増)であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。