【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況(事業環境)当第3四半期連結累計期間のわが国経済は、ロシアによるウクライナ侵攻を発端とするエネルギー価格の高騰、各国の金融引き締めと急速に円安傾向となっている為替相場の影響等により、引き続き先行きが不透明な状況が継続しております。また、当社にとって課題となっております部品供給不足は、コネクタ等の一部の特定の部品において、不安定さが継続しているものの、全般的に改善に向かいつつあります。
(受注高、売上高及び受注残高の状況)このような事業環境のなか、受注高は8,238百万円(前年同期比4.6%減)となりました。部品供給不足が改善に向かうなかで、当社製品の製造リードタイムが短縮されてきたことにより、お客様からの前倒しでの発注が減少するなど、一部で受注時期の分散化傾向へと繋がっており、従前よりも状況が見通しづらくなっております。売上高は、お客様指定納期に向けて生産に注力した結果、7,521百万円(前年同期比6.5%増)となりました。なお、受注残高は6,134百万円(前年同期比8.7%減)となりました。
(損益の状況)損益面では、営業損益は579百万円の損失(前年同期は576百万円の損失)、経常損益は545百万円の損失(前年同期は472百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損益は606百万円の損失(前年同期は502百万円の損失)となりました。前年同期に比べ、部品供給不足のなかでの原材料価格の上昇や生産の小ロット化等により計測機器の製造原価が上昇しておりますが、販売価格への転嫁は遅行しております。また、技術伝承やスキルアップ等の人的資本への投資を推し進めており、固定費を含む売上原価率は、55.9%(前年同期は52.3%)と上昇しました。販売費及び一般管理費は、国内外における販売促進や展示会等の拡販のための活動を再開する一方、設計変更に伴う開発が一段落して研究開発費が減少し、41百万円の減少となりました。これらの結果、売上高が増加したものの、売上原価率は上昇し、損益を改善するに至りませんでした。当社グループでは、大きく変化する事業環境に対応し、更なる成長を遂げ、また当社グループが描くビジョン(ありたい姿)を実現するため、新中期経営計画「Challenge StageⅢ」を策定いたしました。本中期経営計画におきましては、コロナ禍によって大きな影響を受けた業績の回復を目指し、「事業再生」の方針を掲げて推進しております。当連結会計年度においては、ソフトウェアのオフショア開発の拡大のために設立した子会社である小野測器ソフトウェア株式会社を、2023年5月1日をもって吸収合併いたしました。また、計測技術の知見を活かし「コト」ビジネスに参入するため、電動車両のベンチマーキングレポート販売を開始することとし、2023年6月より受注を開始いたしました。これらにつきましては、当社ホームページより、2022年1月28日公表の「中期経営計画「Challenge StageⅢ」策定に関するお知らせ」、2023年3月17日公表の「連結子会社の吸収合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ」、2023年6月12日公表の「電動車両のベンチマーキングレポート販売開始」をご参照ください。(当社ホームページhttps://www.onosokki.co.jp)コーポレートガバナンスの面においては、2023年3月17日開催の第69回定時株主総会において、取締役報酬に譲渡制限付株式報酬を導入する制度改定を行いました。またサステナビリティ推進の面においては、当社宇都宮テクニカル・アンド・プロダクトセンターの敷地の一部に太陽光発電パネルを導入することとし、本年度中に着工予定であるほか、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みの一環として、当社の事業活動における温室効果ガス排出量の算出にも着手しております。人財の面においては、技術伝承の加速とエンゲージメントの向上を図るため、2023年7月1日付けで人事制度を改定し、従業員の定年を60歳から65歳へと延長いたしました。また、当社の資本収益性の改善に向けて、働き方が変化するなかで自社ビルを保有し続けるコスト等を検討した結果、経営資源の有効活用と財務基盤の強化を図るため、現本社の土地、建物を売却することとし、当該不動産の売買契約を締結いたしました。本件による2023年12月期連結業績への影響は軽微です。固定資産の譲渡に伴う売却益は2024年12月期に計上を予定しております。詳細は、2023年9月27日に開示した「固定資産の譲渡及び特別利益の計上ならびに本社移転に関するお知らせ」をご参照ください。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。<計測機器>「計測機器」は、受注高は2,867百万円(前年同期比2.0%減)、売上高は2,841百万円(前年同期比4.0%増)、セグメント損益は141百万円の損失(前年同期は152百万円の損失)となりました。回転速度分野、寸法変位分野など生産ライン関連商品や、音響・振動関連のセンサ類、半導体製造ライン向けの厚さ計等が堅調に推移しました。自動車計測関連商品の受注は回復傾向ですが、データ処理分野はやや軟調でありました。全般的に引合いは拡大傾向にありますが、部品供給不足が改善に向かうなかで当社製品の製造リードタイムが短縮されてきたことにより、お客様からの前倒しでの発注が減少したことなどから、前年同期に比べ受注時期は分散化しております。なお、受注残高は775百万円(前年同期比23.7%減)となりました。当社の製品は多品種少量生産であることから、部品の長納期化の影響は広範囲の製品に及びます。前連結会計年度において大きな課題となった部品供給不足は、全般的に解消へ向かいつつありますが、コネクタ等の特定の部品において、不安定さが継続しており、引き続きリスクと認識しております。また、部品供給不足のなかでの原材料価格の上昇や生産の小ロット化等により売上原価率が上昇し、減益の要因となりました。
<特注試験装置及びサービス>「特注試験装置及びサービス」は、受注高は5,360百万円(前年同期比5.9%減)、売上高は4,669百万円(前年同期比8.1%増)、セグメント損益は436百万円の損失(前年同期は424百万円の損失)となりました。部品供給不足等の影響で長納期が常態化するなか、お客様の設備発注においても、一定のリードタイムを確保していただけたことから、お客様指定納期に向けて生産に注力いたしました。なお、受注残高は5,359百万円(前年同期比6.0%減)となりました。当第3四半期連結累計期間においては、特注試験機の新規受注が減少する一方、既存設備の改造、修理・校正などのアフターサービスや受託試験などのエンジニアリング領域は、好調に推移しております。また、当社の計測技術及び受託試験で得た知見を活かし、電動車両のベンチマーキングレポートの販売に参入することとし、6月12日より受注を開始、想定を上回る引合いをいただいております。今後も販促活動に注力して参ります。
<その他>「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、損害保険代理業務及び当社が所有する土地・建物の管理業務、その他当社からの委託業務等を行っております。当区分の売上高は116百万円(前年同期比1.7%減)、セグメント利益は20百万円(前年同期比16.9%減)となりました。なお、当区分の外部顧客に対する売上高は9百万円(前年同期比3.3%減)であります。
② 財政状態(資産)当第3四半期連結会計期間末における資産合計は20,556百万円となり、前連結会計年度末に比べ552百万円減少しました。主な内訳は、現金及び預金の増加、売掛金の減少、仕掛品の増加、投資有価証券の時価評価による増加であります。
(負債)当第3四半期連結会計期間末における負債合計は7,301百万円となり、前連結会計年度末に比べ421百万円減少しました。主な内訳は、短期借入金の返済による減少、1年内返済予定長期借入金の返済による減少、賞与引当金の増加、長期借入金の増加であります。
(純資産)当第3四半期連結会計期間末における純資産は13,255百万円となり、前連結会計年度末に比べ131百万円減少となりました。主な内訳は、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上による減少、投資有価証券の時価評価によるその他有価証券評価差額金の増加であります。
(2) キャッシュ・フローの状況当第3四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ319百万円増加(14.0%)し、2,596百万円となりました。当第3四半期連結累計期間に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、1,115百万円の収入(前年同期は697百万円の収入)となりました。主な内訳は、税金等調整前四半期純損失546百万円、減価償却費412百万円、売上債権の減少額2,078百万円、棚卸資産の増加額557百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローは、192百万円の収入(前年同期は201百万円の支出)となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出155百万円、無形固定資産の取得による支出167百万円、有形固定資産の売却に係る手付金収入577百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、1,071百万円の支出(前年同期は330百万円の支出)となりました。主な内訳は、短期借入金の減少額1,200百万円、長期借入れによる収入800百万円、長期借入金の返済による支出567百万円であります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(6) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は839百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。