【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績(事業環境)当連結会計年度のわが国経済は、新たな変異株による新型コロナウイルス感染症の再拡大、世界的な半導体部品等の供給不足や、ウクライナ情勢の長期化、エネルギー価格の高騰、急速な円安の進行、さらには中国における対コロナ政策による物流等への影響など、引き続き不透明な状況が継続しました。当社グループの主要顧客である自動車業界においては、急速に進行する電動化対応を強化する一方、半導体不足等による生産の落ち込みが解消に至らない状況が継続しております。
(受注高、売上高及び受注残高の状況)このような事業環境のなか、受注高は11,201百万円(前期比0.4%減)となりました。一部に回復の傾向も見られますが、依然としてお客様の設備投資に対する姿勢は慎重であり、回復は緩やかであります。売上高は、10,928百万円(前期比10.9%増)となりました。第2四半期から第3四半期にかけては、部品供給不足の影響により、受注残高を売上へ結びつける事が難しい状況が生じておりましたが、第4四半期に入り、一部の欠品部品が調達できたことから生産が回復し、ほぼ想定どおりの売上高を計上することができました。これらの結果、当連結会計年度末の受注残高は、5,418百万円(前期比5.3%増)となりました。
(損益の状況)損益面では、営業利益は55百万円(前期は859百万円の営業損失)、経常利益は211百万円(前期は685百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は246百万円(前期は1,271百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。生産の効率化に向けた取組みなどを継続したことから、売上原価率は52.0%(前期は56.1%)と改善することができました。原材料価格の上昇があるものの、販売価格の適正化に努めております。販売費及び一般管理費は、全体的な費用の見直しを進めました。研究開発費は、部品の長納期化に対応した設計変更を含め121百万円増加する一方、減価償却費の減少や、費用圧縮等により収益性が改善され、営業利益を計上することができました。また、保険商品の変更等による保険解約返戻金80百万円、政策保有株式の見直しに伴う投資有価証券の売却益44百万円により、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益が増加いたしました。なお、当連結会計年度より、収益認識に関する会計基準等の適用を行っております。これによる影響額は「第5経理の状況 1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][注記事項](会計方針の変更)」に記載のとおりであります。当社グループでは、大きく変化する事業環境に対応し、更なる成長を遂げ、また当社グループが描くビジョン(ありたい姿)を実現するため、新中期経営計画「Challenge StageⅢ」を策定いたしました。本中期経営計画におきましては、コロナ禍によって大きな影響を受けた業績の回復を目指し、「事業再生」の方針を掲げて推進いたします。また、クラウド事業領域に進出する事を目的として、株式会社Sound One(本社横浜市、資本金90百万円)を設立し、9月より業務を開始しました。当該子会社の設立による当期業績に与える影響は軽微であります。これらの詳細につきましては、2022年1月28日公表の「中期経営計画「Challenge StageⅢ」策定に関するお知らせ」、及び2022年8月30日公表の「子会社設立のお知らせ」をご参照ください。(当社ホームページhttps://www.onosokki.co.jp)セグメント別の業績は、次のとおりであります。<計測機器>「計測機器」は、受注高は3,886百万円(前期比5.0%減)、売上高は3,959百万円(前期比5.1%増)、セグメント損益は119百万円の利益(前期は309百万円の損失)となりました。回転速度分野、寸法変位分野など生産ライン関連商品や、音響・振動関連のセンサ類、半導体製造ライン向けの厚さ計等が好調に推移しました。一方、データ処理分野につきましては、部品の長納期化等を踏まえた昨年度中の前倒し発注の反動等により想定を下回り、微増にとどまりました。当社の製品は多品種少量生産であることから、部品の長納期化の影響は広範囲の製品に及びます。当社としましては、部品の在庫確保や先行発注等を行っているものの、一部の部品欠品による生産遅延が発生し、受注や売上に影響がありました。部品の長納期化については、緩和の兆しが見えつつあり、今後の改善に期待するものです。また、中期経営計画の施策として、計測機器のグローバル市場での拡販を掲げておりますが、中国におけるコロナ対策の影響もあり、販売増に繋がる積極的な活動が出来ませんでした。
<特注試験装置及びサービス>「特注試験装置及びサービス」は、受注高は7,302百万円(前期比2.3%増)、売上高は、6,956百万円(前期比14.5%増)、セグメント損益は63百万円の損失(前期は549百万円の損失)となりました。期首受注残高が大きく増加しておりましたが、部材の供給不足や他社納入品の遅延に伴い、売上予定であった案件が先送りとなるなど、第3四半期まで影響が顕著に表れておりました。期末に向けて生産、出荷、現地調整等に注力し、相当量の案件の売上計上が出来たものの、先送り案件をすべて解消するには至りませんでした。なお、修理・校正などのアフターサービスや受託試験などのエンジニアリング領域は、堅調に推移いたしました。
<その他>「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、損害保険代理業務及び当社が所有する土地・建物の管理業務、その他当社からの委託業務等を行っております。当区分の売上高は157百万円(前期比1.2%増)、セグメント利益は31百万円(前期比12.2%増)となりました。なお、当区分の外部顧客に対する売上高は12百万円(前期比1.7%増)であります。
(生産、受注及び販売の実績)
① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前期比(%)
計測機器
3,625
△1.3
特注試験装置及びサービス
6,861
25.8
その他
-
-
合計
10,487
14.9
② 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(百万円)
前年同期比(%)
受注残高(百万円)
前年同期比(%)
計測機器
3,886
△5.0
748
△8.9
特注試験装置及びサービス
7,302
2.3
4,669
8.0
その他
157
1.2
-
-
(調整額) (注)1
△144
-
-
-
合計
11,201
△0.4
5,418
5.3
(注) 1 (調整額)はセグメント間取引消去であります。
③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(百万円)
前年同期比(%)
計測機器
3,959
5.1
特注試験装置及びサービス
6,956
14.5
その他
157
1.2
(調整額) (注)1
△144
-
合計
10,928
10.9
(注) 1 (調整額)はセグメント間取引消去であります。2
主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
販売高(百万円)
割合(%)
販売高(百万円)
割合(%)
本田技研工業㈱
1,494
15.2
1,349
12.3
トヨタ自動車㈱
962
9.8
1,056
9.7
(2) 財政状態
① 資産の部当連結会計年度末における資産合計は21,109百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,662百万円増加しました。主な内訳は、現金及び預金の増加、売掛金の増加、原材料の増加、投資有価証券の増加であります。
② 負債の部当連結会計年度末における負債合計は7,722百万円となり、前連結会計年度末に比べ997百万円増加しました。主な内訳は、短期借入金の増加であります。
③ 純資産の部当連結会計年度末における純資産は13,386百万円となり、前連結会計年度末に比べ665百万円増加となりました。主な内訳は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加、投資有価証券の時価評価によるその他有価証券評価差額金の増加であります。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ250百万円増加(12.3%)し、2,276百万円となりました。当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、230百万円の支出(前期は498百万円の支出)となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益255百万円、減価償却費543百万円、売上債権の増加額912百万円、棚卸資産の増加額131百万円、未払消費税等の増加額125百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、160百万円の支出(前期は2百万円の支出)となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出278百万円、無形固定資産の取得による支出186百万円、保険積立金の解約による収入267百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、569百万円の収入(前期は374百万円の支出)となりました。主な内訳は、短期借入金の増加額600百万円、長期借入金の返済による支出28百万円であります。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)当社グループの運転資金及び設備投資資金については、自己資金、金融機関からの借入金により資金調達を行っております。運転資金は自己資金及び短期借入金を基本としており、設備投資資金は長期借入金を基本としております。なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は4,103百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,276百万円となっております。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社グループが連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。当社グループの連結財務諸表作成において、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りについては過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。