【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度における経済環境は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和により経済活動の正常化が進み、景気に持ち直しの動きがみられました。一方、ウクライナ情勢の長期化懸念により、原材料価格やエネルギー価格の高騰、物価の上昇など、先行きは不透明な状況が続きました。
当社グループの事業につきましては、電力コストの高騰、脱炭素社会の推進に向けた再生可能エネルギーの活用拡大といった市場環境のもと、事業用太陽光発電システムの販売を強化するとともに、電力小売については、独自燃調(電力市場調達コストの一部を電気代に反映する仕組み)の導入とその機動的な運用、市場価格連動型契約の促進により、電力調達価格変動リスクの低減といった取り組みをいたしました。また、安定的な需要があるコスト削減・省エネルギー・再生可能エネルギー関連の商品・サービスについては、事業者向け・一般消費者向けのいずれも受注は好調に推移いたしました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高は31,392百万円(前期比35.0%増)、営業利益は3,600百万円(前期比46.9%増)、経常利益は3,687百万円(前期比46.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,465百万円(前期比14.2%増)となりました。売上高につきましては会社設立以来18期連続の増収となっております。また、各利益ともに過去最高を更新しております。
事業別の状況は、以下のとおりであります。
〔エネルギーコストソリューション事業〕
エネルギーコストソリューション事業につきましては、電力コストの高騰を背景に、電気を創って自家消費することを提案する事業用太陽光発電システムをはじめ、事業者のコスト削減のための電力基本料金削減コンサルティングやIoT機器、省エネルギー化のための業務用エアコン・トランス・コンデンサなどの各種省エネ設備の販売を推進し、顧客に電力の運用改善・設備改善などの提案をしてまいりました。
その結果、エネルギーコストソリューション事業の売上高は5,528百万円(前期比7.9%増)、セグメント利益は2,079百万円(前期比0.0%増)となりました。
〔スマートハウスプロジェクト事業〕
スマートハウスプロジェクト事業につきましては、脱炭素による再生可能エネルギーへの関心の高まりや、太陽光発電の10年間の固定価格買取制度の適用が終わる卒FIT案件の増加といった市場環境、住宅のエネルギーレジリエンス強化へのニーズにより蓄電池への需要があることから、蓄電池の販売を推進いたしました。
その結果、スマートハウスプロジェクト事業の売上高は4,014百万円(前期比11.4%減)、セグメント利益は496百万円(前期比21.0%減)となりました。
〔小売電気事業〕
小売電気事業につきましては、電力の調達改善を顧客に提案することにより受注を伸ばしました。また、独自燃調の導入や市場価格連動型契約の促進、デリバティブ取引の活用といった電力調達価格の上昇に対するリスクヘッジ施策の効果により、利益が大幅に増加いたしました。
その結果、小売電気事業の売上高は21,848百万円(前期比60.6%増)、セグメント利益は1,801百万円(前期比304.1%増)となりました。
② 財政状態の状況
(流動資産)
当連結会計年度末の流動資産は14,168百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,695百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が2,707百万円、商品が909百万円増加したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末の固定資産は3,049百万円となり、前連結会計年度末に比べ94百万円減少いたしました。これは主に、ソフトウエア仮勘定が23百万円、投資有価証券が762百万円減少した一方で、機械及び装置が262百万円、ソフトウエアが225百万円、繰延税金資産が113百万円、敷金及び保証金が92百万円増加したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末の流動負債は4,663百万円となり、前連結会計年度末に比べ253百万円増加いたしました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が451百万円、未払金が435百万円、契約負債が39百万円増加した一方で、支払手形及び買掛金が342百万円、未払法人税等が157百万円、未払消費税等が172百万円減少したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末の固定負債は2,545百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,306百万円増加いたしました。
これは主に、長期借入金が1,085百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は10,008百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,040百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に係る包括利益により2,390百万円増加した一方で、剰余金の配当で432百万円減少したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」と言います。)は、8,224百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,707百万円増加いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は1,464百万円(前期は619百万円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益3,681百万円等による資金の増加があった一方で、棚卸資産の増加909百万円、法人税等の支払1,460百万円等による資金の減少があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果得られた資金は80百万円(前期は1,145百万円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の売却1,650百万円等による資金の増加があった一方で、投資有価証券の取得900百万円、有形固定資産の取得459百万円、敷金及び保証金の差入250百万円等による資金の減少があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果得られた資金は1,162百万円(前期は924百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入れ2,200百万円による資金の増加があった一方で、長期借入金の返済663百万円、配当金の支払432百万円による資金の減少があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
該当事項はありません。
b. 仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前期比(%)
エネルギーコストソリューション事業(千円)
1,454,515
63.7
スマートハウスプロジェクト事業(千円)
2,462,855
1.8
小売電気事業(千円)
19,509,053
53.6
合 計(千円)
23,426,423
46.3
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前期比(%)
エネルギーコストソリューション事業(千円)
5,528,863
7.9
スマートハウスプロジェクト事業(千円)
4,014,293
△11.4
小売電気事業(千円)
21,848,944
60.6
合 計(千円)
31,392,100
35.0
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、本文における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度における経営成績は「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおり、売上高・各段階利益ともに増加しており、いずれも過去最高となりました。当期純利益の増加により自己資本比率は57.8%となっており、引き続き財政状態は健全です。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、電力をめぐる状況があります。当連結会計年度における小売電気事業は電力調達価格高騰に対するリスクヘッジ施策を講じたことから利益は増加いたしましたが、燃料価格高騰や電力需給の逼迫などの要因による電力調達価格の上昇懸念は常にあるため、引き続きリスクヘッジを十分に行うことにより、安定的なストック収益源とする方針です。一方、そのような電力コストの上昇を背景に、エネルギーコストソリューション事業において、電気を創って自家消費することで経済的メリットを得るとともに再生可能エネルギーの普及にもつながる事業用太陽光発電システムは好調に販売を拡大しました。また、スマートハウスプロジェクト事業における蓄電池の販売についても、受注は順調に推移しています。
(売上高及び売上総利益)
当連結会計年度における売上高は、小売電気事業を中心として売上高は増収となり、過去最高の31,392百万円(前期比35.0%増)となりました。売上総利益につきましては、独自燃調の導入や市場価格連動型契約の促進により電力調達価格の変動リスクを低減した小売電気事業が2,339百万円の利益(前期比159.5%増)となり、過去最高の7,508百万円(前期比22.7%増)となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は売上総利益と同様に伸長し、過去最高の3,600百万円(前期比46.9%増)となりました。
なお、セグメント別の内容は「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、過去最高の2,465百万円(前期比14.2%増)となりました。また、1株当たり当期純利益は108.19円となり、前連結会計年度に比べ13.38円増加いたしました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フ
ローの状況」に記載のとおり、増益に伴い営業活動によるキャッシュ・フローが順調に拡大しております。
当社グループは、主に営業活動によるキャッシュ・フローを財源として企業活動を行っております。重要な資本的支出の予定はありません。また、安定的な資金の確保のため金融機関から長期借入金を調達しております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は3,157百万円、現金及び現金同等物の残高は8,224百万円となっております。また、当連結会計年度末における自己資本比率は57.8%となっております。
③ 重要な会計方針及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されております。その作成は、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、電力料金収益の算定、棚卸資産の評価及び貸倒引当金の計上につきまして、過去の実績等を勘案して合理的に見積りを行っております。
当社グループの連結財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1. 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。