【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間は、世界経済におきまして新型コロナウイルス感染症(以下、本感染症)の各国における影響が縮小し、個人消費を中心に経済活動活性化の動きが見られた一方、ウクライナ情勢の長期化やエネルギー価格の高騰などによるインフレ圧力は継続しており、依然、先行き不透明な状況が続いております。自動車産業においては、半導体不足などの生産が制約される状況は解消されつつあり、徐々に回復の兆しが見えてきましたが、本感染症以前までの回復には至っておりません。エレクトロニクス関連においては、パソコンなどのモニター用途の液晶パネルが前年度からの在庫調整も落ち着きを見せ始め、今後は回復が期待されます。日本経済は、本感染症の行動制限の解除など、社会経済活動の本格的な再開が進んだ一方で、エネルギー価格の高騰や物価上昇の影響による消費の下振れ懸念、為替・金利市場の変動など、不透明感を払拭できない状況が継続しております。また、温室効果ガス排出量削減や気候変動問題など環境課題への対応はさらに重要性を増しております。
日本の発泡プラスチックス業界におきましては、食品容器関連の需要は、インバウンド需要回復などプラス要因も出てきていますが、内中食関連の容器については行動制限解除により落ち着きをみせております。各種部材や搬送資材・梱包材は需要の本格的な回復までには至らず、また、エネルギー価格の高騰なども継続しております。
このような厳しい経営環境のなか、当社グループは、前年度からスタートさせた3カ年中期経営計画「Spiral-up 2024」の3つの重点課題に対してグループ全体で取り組んでおります。『収益体質の強化』においては、経営資源の選択と集中による事業ポートフォリオの再構築と抜本的な生産革新や開発品の早期収益化に取り組んでおります。『環境・社会課題解決型事業への転換』においては、「循環型ビジネスによる環境貢献製品の拡大」と「カーボンニュートラル実現への挑戦」を掲げ、SKG-5R(※)活動推進の一層の強化に取り組んでおり、その一環として「ReNew+」(※)、 「BIOCellular」(※)をはじめとする環境負荷を低減する新たな素材開発を行い、これらの効率的な生産と販売拡大に注力しております。さらに、TCFD提言に基づき、気候関連のリスクおよび機会に関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」 「指標と目標」について情報開示を行いました。今後も、生産の省エネルギー化や効率化、 再生エネルギー活用などによるCO2排出量削減や、脱炭素化に貢献する環境貢献製品の創出と拡大など、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを加速させていきます。『経営基盤の強化』では、マテリアリティ(経営重要課題)を特定し、それぞれにKPI(重要成果目標)を定め、持続的な成長に向けて「ESG経営」を強化しております。
売上面において、ヒューマンライフ分野では、人流回復に伴う回復需要の取り込みに努め、インダストリー分野では、戻りつつある各領域での拡販を図って参りました。利益面においては、エネルギー価格高騰に対して原価低減や固定費の削減、そして販売価格への転嫁などに取り組み、採算改善を行いました。
その結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高は307億8千8百万円(前年同期比8.3%の増加)、営業損失は5億8千8百万円(前年同四半期は6億5千8百万円の損失)、経常損失は8千8百万円(前年同四半期は3億2千万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失は3億7千4百万円(前年同四半期は5億6千9百万円の損失)となりました。
※「SKG-5R」は、SKGは積水化成品グループ、「5R」は、Reduce、Reuse、Recycle、Replace、Re-createを指します。
※「ReNew+」は、リサイクル原料を活用した製品カテゴリーブランドです。
※「BIOCellular」は、生分解性またはバイオマス由来プラスチックスを活用した製品カテゴリーブランドです。
その結果、当第1四半期連結累計期間の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
① 財政状態
前連結会計年度
(百万円)
当第1四半期累計期間
(百万円)
増減
(百万円)
流動資産残高
66,874
65,496
△1,378
固定資産残高
78,301
77,952
△349
資産合計残高
145,175
143,448
△1,727
負債残高
86,711
86,662
△49
純資産
58,464
56,786
△1,678
(資 産)
当第1四半期連結会計期間末における総資産は17億2千7百万円減少し、1,434億4千8百万円となりました。現金及び預金の減少などにより流動資産が13億7千8百万円減少しました。
(負 債)
当第1四半期連結会計期間末における負債は、未払法人税等の減少などにより4千9百万円減少し、866億6千2百万円となりました。
(純資産の部)
親会社株主に帰属する四半期純損失による利益剰余金の減少及び為替換算調整勘定などの減少により、16億7千8百万円減少し、567億8千6百万円となりました。この結果、自己資本比率は39.1%となりました。
② 経営成績
前第1四半期累計期間
(百万円)
当第1四半期累計期間
(百万円)
増減
(百万円)
売上高
28,441
30,788
2,346
うち国外売上高
11,402
13,041
1,639
(国外売上高比率)
(40.1%)
(42.4%)
-
営業損失(△)
△658
△588
69
(売上高営業利益率)
(△2.3%)
(△1.9%)
-
営業外収益
523
702
179
営業外費用
185
202
16
経常損失(△)
△320
△88
231
特別利益
-
-
-
特別損失
-
-
-
四半期純損失(△)
△566
△367
199
親会社株主に帰属する四半期純損失(△)
△569
△374
194
当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高は307億8千8百万円(前年同期比8.3%の増加)、営業損失は5億8千8百万円(前年同四半期は6億5千8百万円の損失)、経常損失は8千8百万円(前年同四半期は3億2千万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失は3億7千4百万円(前年同四半期は5億6千9百万円の損失)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
ア ヒューマンライフ分野
ヒューマンライフ分野の売上高は118億1千9百万円(前年同期比1.4%の減少)、セグメント利益は2億5千1百万円(前年同四半期は6千7百万円の損失)となりました。
食領域においては、食品容器用途は外出機会の増加により観光関連の弁当容器やテイクアウト容器などの需要は堅調に推移したものの、内中食関連向けの需要は低調に推移しました。農産用途は生育不良や天候などの影響もあり出荷が伸びず、水産用途も漁獲量の減少傾向が継続し低調に推移しました。売上高は価格改定を推し進めましたが、前年を下回る結果となりました。
住環境・エネルギー領域においては、屋上緑化関係での物件獲得は進みましたが、建材用途・土木用途は工事物件の進捗遅れなどがあり低調に推移しました。
主力製品である「エスレンシート」(発泡ポリスチレンシート)の売上数量は、テイクアウト容器用途の需要は堅調ながら、スーパーなどの生鮮食品容器用途などは落ち着きを見せ、即席麺用途も減少となり、全体では前年を下回りました。「エスレンビーズ」(発泡性ポリスチレンビーズ)の売上数量は、クッション用ビーズなどのライフグッズ用途の出荷が減少し、また水産分野・農産分野が低調となったことで、全体では前年より減少しました。
利益面では、原価低減や固定費削減、販売価格への転嫁、また製品移管運賃の低減を図り、増益となりました。
イ インダストリー分野
インダストリー分野の売上高は189億6千8百万円(前年同期比15.3%の増加)、セグメント損失は1億5千5百万円(前年同四半期は3億4千1百万円の損失)となりました。
モビリティ領域における、「ピオセラン」(ポリスチレン・ポリオレフィン複合樹脂発泡体)の販売は、自動車部材用途では、一部自動車メーカーで部品不足の影響が残ったものの、自動車生産台数の回復を背景に好調に推移しました。部品梱包材用途では、前年度売上が大きく伸長した電動部品梱包用途での需要が一巡したこともありましたが、全体としては順調に推移しています。また、トラック、バス向けのFRP(繊維強化プラスチック)部材ならびに関連資材などで新たな需要を取り込み、好調に推移しました。欧州のProseatグループでは、欧州自動車市場の回復の兆しの中、生産量は増加、あわせて生産性改善や固定費削減に努めるもインフレや人件費の高騰があり、赤字が継続しております。
エレクトロニクス領域においては、「テクポリマー」(有機微粒子ポリマー)の液晶パネル等の光拡散用途が、前年同期からは下回りましたが、液晶パネルメーカーの在庫調整の解消が進んだことで、回復傾向となりました。パネル搬送資材・梱包材用途での「ピオセラン」は、台湾での需要は回復、堅調に推移しましたが、中国での需要回復はやや遅れたこともあり前年を下回りました。
医療・健康領域においては、「エラスティル」(熱可塑性エラストマー発泡体)は、トレーニングシューズ用のミッドソール関連が現行モデルの切替え時期により低調な出荷となり、「テクノゲル(ST-gel)」(機能性高分子ゲル)も中国向けの売上が減少致しました。
利益面では、モビリティ領域での回復や生産性改善、固定費削減等に努めましたが、黒字回復までには至りませんでした。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間のキャッシュ・フロー
前第1四半期累計期間
(百万円)
当第1四半期累計期間
(百万円)
増減
(百万円)
営業活動によるキャッシュ・フロー
△362
77
439
投資活動によるキャッシュ・フロー
△609
△721
△112
財務活動によるキャッシュ・フロー
892
△1,575
△2,467
現金及び現金同等物の四半期末残高
10,572
9,096
△1,476
(注)現金及び現金同等物の前連結会計年度末残高は11,072百万円であります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
税金等調整前四半期純損失となったものの、損害保険金の受取などにより前年同期に比べ4億3千9百万円資金は増加し、7千7百万円の収入となりました。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
有形固定資産の売却による収入の減少などにより、前年同期に比べ1億1千2百万円資金は減少し、7億2千1百万円の支出となりました。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
長期借入金による収入の減少などにより前年同期に比べ24億6千7百万円資金は減少し、15億7千5百万円の支出となりました。
<現金及び現金同等物当第1四半期連結会計期間末残高>
上記キャッシュ・フローの結果、現金及び現金同等物の当第1四半期連結会計期間末残高は、前連結会計年度末に比べて、19億7千6百万円減少し、90億9千6百万円となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
2024年3月期連結業績予想につきましては、下記のとおりとなります。
2022年度
実績
2023年度
計画
売上高
1,246億円
1,300億円
営業利益
7億円
20億円
経常利益
7億円
17億円
親会社株主に帰属する当期純利益
4億円
5億円
※ 億円未満は切捨てで表示しております。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は、6億6千9百万円であります。
(6) 経営成績に重要な影響を与える要因
今後の当社グループの経営に影響を与える主な要因としては、市場動向、資材費動向、海外動向等があります。
市場動向については、従来からの景気動向に加え、本感染症拡大による需要の回復動向、ウクライナ情勢などの地政学リスクやサプライチェーンの混乱、他社との競合による需給バランスや価格の変動によって、当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があるため、市場における経済状況、需要家や個人消費の動向に留意した戦略を遂行できるよう販売力、開発力、財務体質の強化に努めております。
資材費動向については、当社グループで使用する原材料の価格変動をタイムリーに製品価格に転嫁できなかった場合または自然災害の発生や仕入先の供給が不安定な場合、当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があるため、原材料、荷造材料、製造設備等の有利購買に注力しております。
海外動向については、アジア地域をはじめ、欧州、米国、中米でも生産・販売事業を展開しており、予期しない法律または規制の変更、不利な政治または経済要因、戦争や政情不安等の社会的混乱などにより、当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があるため、リスクを最小限にとどめるため情報収集に努めております。また、グローバルなEV及び次世代自動車市場動向の重要性を認識し、高機能化や環境負荷を低減する新たな新素材開発を行うなど対応を強化しております。
これらの点を踏まえ、当社グループは、中期経営計画「Spiral-up 2024」を着実に推進してまいります。
(7) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料や仕入商品の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入を基本としております。また、シンジケート方式によるコミットメントライン契約及び社債発行による調達を行い、資金調達方法の多様化と負債と資本のバランスに配慮しつつ必要な資金需要に対応しております。
なお、当第1四半期連結会計期間末における借入金・社債及びリース債務を含む有利子負債の残高は426億5千1百万円となっております。また、当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は90億9千6百万円となっております。
当社グループは、設備等の投資にあたっては、調達した資金のコスト(資本コスト、借入コスト等)を十分に勘案し、投資前に投資効果の収益性について十分な精査を行った上で実行しております。