【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度は、世界経済におきまして本感染症に対する各国の感染対策・行動制限の緩和などが進み、個人消費を中心に経済活動再開の動きが見られた一方、ウクライナ情勢の長期化やエネルギー価格の高騰などによるインフレ圧力が継続しており、先行き不透明な状況が続いております。自動車産業においては、半導体など部品不足に加えて、グローバルなサプライチェーンの混乱が、依然として生産活動に影響を及ぼしております。エレクトロニクス関連においては、パソコンなどの需要が軟調に推移していることもあり、各液晶パネルメーカーの在庫調整が続いています。日本経済は、本感染症の行動制限の解除など、社会経済活動の正常化を目指して持ち直しの動きが続いていますが、エネルギー価格の高騰や物価上昇の影響による消費の下振れ懸念、為替・金利市場の変動など、不透明感を払拭できない状況が継続しております。また、温室効果ガス排出量削減や気候変動問題など環境課題への対応はさらに重要性を増しております。
日本の発泡プラスチックス業界におきましては、内中食を中心とした食品容器関連の需要は、行動制限の解除もあり、落ち着きを見せております。また、各種部材や搬送資材・梱包材は、半導体不足の継続などにより需要の本格的な回復までには至らず、また、エネルギー価格の高騰なども継続しております。
このような厳しい経営環境のなか、当社グループは、本感染症に関するリスクを回避する対策を取るとともに行動制限の緩和を図りながら、2022年度からスタートさせた3カ年中期経営計画「Spiral-up 2024」の3つの重点課題『収益体質の強化』、『環境・社会課題解決型事業への転換』、『経営基盤の強化』に対してグループ全体で取り組んでおります。
ア 財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ18億6千7百万円増加し、1,451億7千5百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ16億4千5百万円増加し、867億1千1百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ2億2千1百万円増加し、584億6千4百万円となりました。
イ 経営成績
当連結会計年度の業績は、売上高が1,246億8千3百万円(前期比6.1%の増加)、営業利益は7億9千3百万円(前期比45.8%の減少)、経常利益は7億4百万円(前期比49.7%の減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は4億5千2百万円(前年は59億1千7百万円の損失)となりました。
セグメントごとでは、ヒューマンライフ分野の売上高が526億2百万円(前期比6.2%の増加)、セグメント利益は25億8千5百万円(前期比23.4%の減少)となり、インダストリー分野の売上高が720億8千1百万円(前期比5.9%の増加)、セグメント損失は4億円(前期は17億7千7百万円の損失)となりました。
なお、当連結会計年度より、報告セグメント名称の見直しを行い、従来の「生活分野」を「ヒューマンライフ分野」に、「工業分野」を「インダストリー分野」へ変更しております。
「ヒューマンライフ分野」においては、食、住環境・エネルギーを、「インダストリー分野」においては、モビリティ、エレクトロニクス、医療・健康のそれぞれの領域を重点課題領域として設定し、中期計画に掲げた「収益体質の強化」を目指して事業ポートフォリオの再構築を図ってまいります。
② キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前期末に比べて5億6千9百万円増加し、110億7千2百万円となりました。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
営業利益の減少などにより、前期に比べ7億2千1百万円減少し、31億1千万円の収入となりました。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
投資有価証券の売却による収入の増加により、前期に比べ21億9千2百万円増加し、9億9千3百万円の支出となりました。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
借入金の返済が減少したことにより、前期に比べ10億3千1百万円増加し、15億4千2百万円の支出となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
ア 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比増減率(%)
ヒューマンライフ分野(百万円)
61,496
7.6
インダストリー分野
(百万円)
70,270
6.9
合計(百万円)
131,767
7.2
(注)金額は、販売価格により表示しており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
イ 受注実績
主として見込生産を行っており、受注生産はほとんど行っておりません。
ウ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比増減率(%)
ヒューマンライフ分野(百万円)
52,602
6.2
インダストリー分野
(百万円)
72,081
5.9
合計(百万円)
124,683
6.1
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
株式会社エフピコ
15,467
13.16
17,381
13.94
(2) 経営成績の分析
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
ア 経営成績等
(ア)財政状態
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
増減
(百万円)
流動資産残高
63,771
66,874
3,102
固定資産残高
79,536
78,301
△1,235
負債残高
85,065
86,711
1,645
純資産
58,242
58,464
221
(資 産)
当連結会計年度末における総資産は1,451億7千5百万円(前連結会計年度末比18億6千7百万円の増加)となりました。
資産の部では、電子記録債権の増加などにより流動資産が31億2百万円増加しました。投資有価証券の売却により固定資産は12億3千5百万円減少しました。
(負 債)
負債の部では、短期借入金の返済により流動負債は26億1千9百万円減少しました。長期借入金の増加などにより、固定負債は42億6千4百万円増加しました。
(純資産)
純資産の部は2億2千1百万円増加しました。
(イ)経営成績
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
増減
(百万円)
売上高
117,567
124,683
7,116
国外売上高
46,374
49,448
3,074
(国外売上高比率)
(39.4%)
(39.7%)
-
営業利益
1,463
793
△670
(売上高営業利益率)
(1.2%)
(0.6%)
-
営業外収益
1,019
1,025
5
営業外費用
1,082
1,114
32
経常利益
1,401
704
△697
特別利益
445
1,632
1,186
特別損失
6,407
50
△6,357
当期純利益又は当期純損失(△)
△5,876
453
6,329
親会社株主に帰属する当期純利益又は
親会社株主に帰属する当期純損失(△)
△5,917
452
6,370
(自己資本利益率)
(△9.3%)
(0.8%)
-
当連結会計年度における、売上高は1,246億8千3百万円(前期比6.1%の増加)、営業利益は7億9千3百万円(前期比45.8%の減少)、経常利益は7億4百万円(前期比49.7%の減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は4億5千2百万円(前年は59億1千7百万円の損失)となりました。
営業外損益における、営業外収益は、受取配当金の増加や受取補償金の発生などにより前期比で5百万円増加し10億2千5百万円となり、営業外費用は支払利息の増加などにより前期比で3千2百万円増加し、11億1千4百万円となりました。
特別損益では、特別利益は投資有価証券売却益の増加により、前期比11億8千6百万円増加し、16億3千2百万円となり、特別損失は固定資産の減損損失の減少により前期比63億5千7百万円減少し、5千万円となりました。
(ウ)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、下記のとおりです。
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
増減
(百万円)
営業活動によるキャッシュ・フロー
3,831
3,110
△721
投資活動によるキャッシュ・フロー
△3,186
△993
2,192
財務活動によるキャッシュ・フロー
△2,573
△1,542
1,031
現金及び現金同等物期末残高
10,503
11,072
569
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
営業利益の減少などにより、前期に比べ7億2千1百万円減少し、31億1千万円の収入となりました。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
投資有価証券の売却による収入の増加により、前期に比べ21億9千2百万円増加し、9億9千3百万円の支出となりました。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
借入金の返済が減少したことにより、前期に比べ10億3千1百万円増加し、15億4千2百万円の支出となりました。
<現金及び現金同等物期末残高>
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前期末に比べて5億6千9百万円増加し、110億7千2百万円となりました。
イ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2022年度の計画達成状況は以下のとおりであります。
連結業績
2022年度
計画
2022年度
実績
対計画比
増減率
売上高
1,250億円
1,246億円
△0.3%
営業利益
18億円
7億円
△55.9%
(売上高営業利益率)
(1.4%)
(0.6%)
-
経常利益
16億円
7億円
△56.0%
親会社株主に帰属する当期純利益
9億円
4億円
△49.7%
(自己資本利益率)
(1.5%)
(0.8%)
-
※ 億円未満は切捨てで表示しております。
2022年度計画は2022年4月28日公表数値であります。
ウ 経営成績の状況等に関する認識及び分析検討内容
2022年度は、年度初の業績予想計画に対して、売上高はほぼ計画並みとなったものの、営業利益△55.9%、経常利益△56.0%となり、親会社株主に帰属する当期純利益△49.7%の実績となりました。
2022年度は、ウクライナ情勢の長期化やグローバルなサプライチェーンの混乱、エネルギー価格上昇の影響等により、前期比で減益となりました。セグメントごとの分析状況につきましては、エ に記載のとおりです。
今後の当社グループの経営に影響を与える主な要因としては、市場動向、資材費動向、海外動向等があります。
市場動向については、従来からの景気動向に加え、本感染症拡大による需要の回復動向、ウクライナ情勢などの地政学リスクやサプライチェーンの混乱、他社との競合による需給バランスや価格の変動によって、当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があるため、市場における経済状況、需要家や個人消費の動向に留意した戦略を遂行できるよう販売力、開発力、財務体質の強化に努めております。
資材費動向については、当社グループで使用する原材料の価格変動をタイムリーに製品価格に転嫁できなかった場合または自然災害の発生や仕入先の供給が不安定な場合、当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があるため、原材料、荷造材料、製造設備等の有利購買に注力しております。
海外動向については、アジア地域をはじめ、欧州、米国、中米でも生産・販売事業を展開しており、予期しない法律または規制の変更、不利な政治または経済要因、戦争や政情不安等の社会的混乱などにより、当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があるため、リスクを最小限にとどめるため情報収集に努めております。また、グローバルなEV及び次世代自動車市場動向の重要性を認識し、高機能化や環境負荷を低減する新たな新素材開発を行うなど対応を強化しております。
本感染症によるリスクについては1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題](3)対処すべき課題、及び3[事業等のリスク]において記載のとおりであります。
これらの点を踏まえ、当社グループは、中期経営計画「Spiral-up 2024」を着実に推進してまいります。
エ セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a ヒューマンライフ分野
2021年度
実績
2022年度
実績
増減率
売上高
495億円
526億円
6.2%
経常利益
34億円
26億円
△23.4%
※ 億円未満は四捨五入で表示しております。
b インダストリー分野
2021年度
実績
2022年度
実績
増減率
売上高
680億円
721億円
5.9%
経常損失(△)
△18億円
△4億円
-
※ 億円未満は四捨五入で表示しております。
(ヒューマンライフ分野)
食領域においては、食品容器用途は人流が回復しつつあることで、観光関連や外食関連の弁当容器、テイクアウト容器等で復調の兆しがあるものの、内中食関連向けの需要はやや減少となりましたが、価格改定により全体的には前年を上回る売上となりました。農産用途は、天候などの影響もありほぼ前年並みの出荷となりましたが、水産用途では、漁獲量の減少傾向が継続し低調な出荷となりました。
住環境・エネルギー領域においては、土木用途は工事物件の進捗遅れなどが影響し低調でしたが、建材用途は堅調に推移しました。
主力製品である「エスレンシート」(発泡ポリスチレンシート)の売上数量は、テイクアウト容器用途の需要は堅調ながら、スーパーなどの生鮮食品容器用途等には落ち着きが見られ、即席麺用途も減少となり、全体では前年並みとなりました。「エスレンビーズ」(発泡性ポリスチレンビーズ)の売上数量は、クッション用ビーズなどのライフグッズ用途が前年の需要増からは落ち着きを見せ、また水産分野及び農産分野が低調となったことで、全体では前年より減少しました。
利益面では、期中における度重なる原料、副資材価格、エネルギーコストの高騰に対して、原価低減や固定費削減に取り組み、あわせて販売価格への転嫁を行いましたが、市況低迷により販売数量が減少となったこと、また4月の積水化成品大分の火災事故対応として他工場からの製品移管運賃発生等の要因が収益を圧迫し、減益となりました。
その結果、ヒューマンライフ分野の売上高は526億2百万円(前期比6.2%の増加)、セグメント利益は25億8千5百万円(前期比23.4%の減少)となりました。
(インダストリー分野)
モビリティ領域において、自動車部材用途では、上期での中国各地でのロックダウンや、世界各国での半導体をはじめとした部品不足による自動車メーカーでの減産の影響を受け需要が伸び悩みました。上期後半より回復基調に転じたものの本格的な回復に至っていない状況であります。一方、部品梱包材用途では、電動部品関連で上期は売上が大幅に伸長しましたが、下期はそれらが一巡し、「ピオセラン」(ポリスチレン・ポリオレフィン複合樹脂発泡体)の販売は前年並となりました。欧州のProseatグループは、固定費削減・生産集約等の改善を進めましたが、半導体などの部品不足やウクライナ情勢の影響により欧州自動車メーカーからの受注が引き続き伸び悩み、エネルギーコストの大幅増なども影響し、業績改善に時間を要し、赤字が継続しております。
エレクトロニクス領域においては、「テクポリマー」(有機微粒子ポリマー)の液晶パネル等の光拡散用途での需要は、在庫調整の影響により第2四半期以降大きく落ち込みましたが、第4四半期から緩やかながらも回復の兆しを見せ始めました。パネル搬送資材・梱包材用途での「ピオセラン」も、ロックダウンの影響や他素材との競争激化、液晶パネルの在庫調整などにより中国、台湾等における需要は低調に推移しました。
医療・健康領域においては、「エラスティル」(熱可塑性エラストマー発泡体)は、ランニングシューズミッドソールに加え、他用途シューズへの展開を図ることができました。また「テクノゲル(ST-gel)」(機能性高分子ゲル)も医療用電極用途などで、「テクポリマー」も化粧品用途などで売上が伸長しました。
利益面では、生産性向上や固定費削減にも取り組みましたが、上半期の原料価格、エネルギーコストの高騰に対する価格転嫁においてタイムラグが生じたことなどにより、損失となりました。
その結果、インダストリー分野の売上高は720億8千1百万円(前期比5.9%の増加)、セグメント損失は4億円(前期は17億7千7百万円の損失)となりました。
オ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容、資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料や仕入商品の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入や社債発行を基本としております。また、必要に応じてシンジケート方式によるコミットメントライン契約による調達も行い、資金調達方法の多様化を図りつつ、負債と資本のバランスに配慮しながら必要な資金需要に対応してまいります。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は423億9千万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は110億7千2百万円となっております。
当社グループは、設備等の投資にあたっては、調達した資金のコスト(資本コスト、借入コスト等)を十分に勘案し、投資前に投資効果の収益性について十分な精査を行った上で実行しております(設備の状況は、第3[設備の状況]に記載のとおりです。)。
(参考)財務関連指標の推移
2019年
3月期
2020年
3月期
2021年
3月期
2022年
3月期
2023年
3月期
自己資本比率(%)
42.5
44.1
44.2
40.1
39.8
時価ベースの自己資本比率(%)
27.2
17.6
17.7
13.8
13.0
キャッシュ・フロー対有利子負債比率
4.9
5.5
5.8
10.9
13.6
インタレスト・カバレッジ・レシオ
38.8
15.0
17.1
10.7
6.8
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※ いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※ 株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
※ キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
※ 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
② 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループとしては、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表の作成において使用される見積りと判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
ア 固定資産(無形固定資産、投資その他の資産を含む)の評価
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」において対象とされる固定資産(無形固定資産、投資その他の資産を含む)について、その帳簿価額の回収が懸念される企業環境の変化や経済事象が発生した場合には、減損の要否を検討しております。その資産の市場価格及びその資産を使用した営業活動から生じる損益等から減損の兆候があると判定された固定資産については、回収可能価額が帳簿価額を下回る場合、回収可能価額まで減損処理を行っております。
回収可能価額は、複数年の事業計画から生じる将来キャッシュ・フロー及びその他の見積り及び仮定から合理的に決定しておりますが、今般の本感染症による影響など、事業計画や市場環境の変化により、これらの見積り及び仮定が将来、変更された場合、減損金額の増加及び新たな減損認識の可能性があります。
イ 退職給付債務
当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、割引率や年金資産の期待運用収益率等の数理計算上で設定される計算基礎を用いて算出されております。割引率の見積りにあたっては、安全性の高い長期の債券利回りを基礎に決定しております。また、期待運用収益率については、保有する年金資産のポートフォリオ、過去の実績、運用方針及び市場の動向等を考慮して決定しております。今般の本感染症拡大等、予想困難な事象による市場動向等が原因で、その見積数値と実績が異なる場合、または見積数値が変更された場合、その影響額は将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には、将来において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
ウ 有価証券及び投資有価証券の評価
当社グループでは、「金融商品会計に関する実務指針」を基に長期的な協力関係や取引関係の観点から株式等を所有しており、投資価値の下落が一時的でないと判断した場合に株式等の減損処理を実施することとしております。これは、期末時価が帳簿価額を50%以上下回った場合に、何らかの減損処理を実施するものであります。したがって、今般の本感染症の影響等による将来の株式市場や投資先の業績動向により、これらの有価証券及び投資有価証券の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。
エ 税効果会計
当社グループでは将来の課税所得に対する様々な予測・仮定に基づいて、税効果会計の計算を行っており、実際の結果がこれらの予測・仮定とは異なる可能性があります。将来の課税所得や加減算などのスケジューリングに基づき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しておりますが、将来の課税所得の予測・仮定に変更が生じ、繰延税金資産に一部または全部の回収ができないと判断した場合、当社グループの繰延税金資産は減額されて税金費用が計上される可能性があります。