【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。全ての財務数値は、国際会計基準(IFRS)ベースで記載しています。
(1)業績の状況 2024年3月期第1四半期において当社グループが事業を行う市場環境は、概ね好調でした。建築用ガラス市場は、欧州では比較的低調であったものの、日本と米州では強い需要が見られました。太陽電池パネル用ガラスの需要も堅調でした。自動車用ガラス市場は引き続き徐々に回復し、取引先におけるサプライチェーンの問題による制約もさらに解消が進んだため販売数量が増加しました。高機能ガラス市場は、多くの事業で需要はやや低調でした。 当第1四半期連結累計期間における売上高は、前年同期比17%増の2,080億円(前年同期は1,779億円)となりました。増収の大部分は自動車用ガラス事業によるものです。個別開示項目前営業利益は146億円(前年同期は83億円)で、自動車用ガラス事業と建築用ガラス事業で改善しました。金融費用(純額)は64億円(前年同期は28億円)と増加していますが、主に当第1四半期において金利が上昇したためです。当社グループのジョイント・ベンチャーであるSP Glass Holdings B.V.がその保有するロシア子会社を売却した結果、過去に計上した持分法適用会社に対する金融債権の減損損失の戻入益37億円を計上し、投資の一部について過去に計上した減損損失の戻入益12億円を持分法投資に関するその他の利益として認識しました。法人所得税の57億円(前年同期は55億円)は通期の見積実効税率に基づき計算しています。個別開示項目前営業利益の増加と持分法投資に関する利益を認識した結果、親会社の所有者に帰属する四半期利益は70億円(前年同期は24億円)となりました。
当社グループの事業は、建築用ガラス事業、自動車用ガラス事業、高機能ガラス事業の3種類のコア製品分野からなっています。
「建築用ガラス事業」は、建築材料市場向けの板ガラス製品及び内装外装用加工ガラス製品を製造・販売しており、当第1四半期連結累計期間における当社グループの売上高のうち46%を占めています。太陽電池パネル用ガラス事業も、ここに含まれます。
「自動車用ガラス事業」は、新車組立用及び補修用市場向けに種々のガラス製品を製造・販売しており、当社グループの売上高のうち49%を占めています。
「高機能ガラス事業」は、当社グループの売上高のうち5%を占めており、ディスプレイのカバーガラスなどに用いられる薄板ガラス、プリンター向けレンズ及び光ガイドの製造・販売、並びにエンジン用タイミングベルト部材などのガラス繊維製品の製造・販売など、いくつかの事業からなっています。
「その他」には、全社費用、連結調整、前述の各セグメントに含まれない小規模な事業、並びにピルキントン社買収に伴い認識された無形資産の償却費が含まれています。
セグメント別の業績概要は下表の通りです。
(単位:百万円)
売上高
個別開示項目前営業利益(△は損失)
当第1四半期
連結累計期間
前第1四半期
連結累計期間
当第1四半期
連結累計期間
前第1四半期
連結累計期間
建築用ガラス事業
95,751
85,605
11,890
8,879
自動車用ガラス事業
100,897
81,552
3,230
△705
高機能ガラス事業
9,960
9,944
2,137
3,233
その他
1,346
808
△2,679
△3,142
合計
207,954
177,909
14,578
8,265
建築用ガラス事業
当第1四半期連結累計期間における建築用ガラス事業の売上高は958億円(前年同期は856億円)、個別開示項目前営業利益は119億円(前年同期は89億円)となりました。売上高・個別開示項目前営業利益は多くの地域で販売価格の改善及び販売数量の増加を受け、前年同期から増加しました。
欧州における建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の40%を占めています。売上高は経済活動の減速に伴い販売数量が減少したため前年同期比減少しました。市況の悪化による影響は、投入コストの減少により一部軽減されました。
アジアにおける建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の28%を占めています。売上高・個別開示項目前営業利益ともに前年同期比増加しました。日本では販売価格の上昇により業績が改善しましたが、その他アジアでは引き続き販売数量が伸び悩みました。太陽電池パネル用ガラスは堅調に推移しました。
米州における建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の32%を占めています。売上高・個別開示項目前営業利益ともに前年同期比で増加しました。北米の売上高、収益性は販売価格の上昇
により改善しました。南米における需要は好調で、アルゼンチンの新フロート窯稼働による販売数量増加も寄与しました。
自動車用ガラス事業
当第1四半期連結累計期間における自動車用ガラス事業の売上高は1,009億円(前年同期は816億円)、個別開示項目前営業利益は32億円(前年同期は7億円の損失)となりました。売上高の増加は、円安の恩恵と多くの地域でサプライチェーンの問題による制約が解消した結果、取引先における生産が回復し、販売数量が増加したことによるものです。
欧州における自動車用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の42%を占めています。売上高・個別開示項目前営業利益は投入コスト増の一部を取引先に転嫁することができたため、改善しました。販売数量は取引先におけるサプライチェーンの問題による自動車生産制約の解消が続いたことに加え、取引先および販売網における在庫積み上げの動きもあり増加しました。
アジアにおける自動車用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の18%を占めています。売上高・個別開示項目前営業利益は増加しました。日本の販売数量は自動車販売量の改善により増加し、収益性も依然続く投入コスト上昇の影響を緩和するための価格改善交渉が進展したため改善しています。
米州における自動車用ガラス事業の売上高はグループ全体における当事業売上高の40%を占めています。売上高・個別開示項目前営業利益は前年同期比で増加しました。需要は、自動車販売台数の回復と取引先におけるサプライチェーンの問題による生産制約の緩和により改善しました。
高機能ガラス事業
当第1四半期連結累計期間における高機能ガラス事業の売上高は100億円(前年同期は99億円)、個別開示項目前営業利益は21億円(前年同期は32億円)となりました。事業ごとに需要に濃淡があり売上高は横ばいでしたが、個別開示項目前営業利益は、一部の事業で市場環境が悪化し投入コストの増加を販売価格に転嫁できなかったため、減少しました。
ファインガラス事業では、厳しい市場環境に伴い販売数量が減少しました。情報通信デバイス事業では、消費者需要の後退と取引先での在庫削減の影響により需要が減少しました。エンジンのタイミングベルト用グラスコードは自動車関連市場の改善に伴い回復しており、メタシャイン®の売上高は自動車塗料及び化粧品向けで好調でした。
持分法適用会社
持分法で会計処理される投資に係る利益には、持分法による投資利益及び持分法投資に関するその他の利益(損失)が含まれており、当第1四半期連結累計期間においては、純額で21億円(前年同期は10億円)となりました。
持分法で会計処理される投資に係る利益の増加は、ロシアに子会社を保有していたジョイント・ベンチャーであるSP Glass Holdings B.V.に対する投資について、過去に計上した減損損失の戻入益を認識したためです。SP Glass Holding B.V.によるロシア子会社の売却に伴い、投資の一部について過去に計上した減損損失の戻入益12億円を認識し、持分法投資に関するその他の利益に計上しています。
さらに、同じく売却の結果として、当社グループは過去に計上した持分法適用会社に対する金融債権の減損損失の戻入益37億円を計上しました。
SP Glass Holdings B.V.に伴う損益を除けば、持分法で会計処理される投資に係る損益は前年並みでした。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、175億円のマイナスとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による138億円の支出等により141億円のマイナスとなりました。以上より、フリー・キャッシュ・フローは316億円のマイナス(前年同期は129億円のマイナス)となりました。
(3)経営方針、経営戦略並びに事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略並びに事業上及び財務上の対処すべき課題について重要な変更等はありません。
(4)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動について重要な変更はありません。
当第1四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費は、22億円となりました。事業別の内訳は、建築用ガラス事業にて8億円、自動車用ガラス事業にて7億円、高機能ガラス事業にて2億円、その他において5億円となりました。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
2023年6月末時点の総資産は10,000億円となり、2023年3月末時点から486億円増加しました。 当社グループの資本の源泉としては、事業活動からの営業キャッシュ・フロー、銀行からの借入金、リース契約、又は資本が挙げられます。2023年6月末現在、当社グループの総借入残高の構成割合は、銀行からの借入金が93%、リース契約等が7%となっています。
当社グループは、最適な調達方法と調達期間の組み合わせにより、適切なコストで安定的に資金を確保することを、資金調達の基本方針としています。
2023年6月末時点のネット借入残高は、2023年3月末より552億円増加して4,631億円となりました。ネット借入の増加は、主に運転資本の季節的な増加と為替影響によるものです。為替影響によるネット借入の増加は165億円でした。運転資本の増加の影響を除いたキャッシュ・フローはプラスとなりました。また、総借入残高は5,291億円となりました。
資本合計は1,557億円となり、2023年3月末時点の1,249億円から308億円増加しました。資本合計の増加は、主に為替影響と純利益の計上によるものです。
#C5202JP #日本板硝子 #ガラス土石製品セクター
