【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。全ての財務数値は、国際会計基準(IFRS)ベースで記載しています。
(1)業績の状況
当第3四半期連結累計期間における売上高は、建築用ガラス事業及び自動車用ガラス事業での売上高増加に伴い、前年同期比28%増の5,662億円(前年同期は4,430億円)となりました。為替の影響を除く売上高は前年同期比20%増でした。個別開示項目前営業利益は242億円(前年同期は145億円)でした。個別開示項目は439億円の費用(純額)でしたが、これは2006年のピルキントン社買収に伴って発生した欧州における自動車用ガラス事業ののれん及び無形資産残高488億円全額について減損損失を第2四半期に計上したためです。個別開示項目の詳細については第4経理の状況(5)要約四半期連結財務諸表注記 (f)個別開示項目 をご確認ください。法人所得税の80億円(前年同期は49億円)は通期の見積実効税率に基づき計算していますが、個別に重要な項目については適切に調整しています。多額の個別開示項目費用を計上した結果、親会社の所有者に帰属する四半期損失は372億円(前年同期は86億円の利益)となりました。
当社グループの事業は、建築用ガラス事業、自動車用ガラス事業、高機能ガラス事業の3種類のコア製品分野からなっています。
「建築用ガラス事業」は、建築材料市場向けの板ガラス製品及び内装外装用加工ガラス製品を製造・販売しており、当第3四半期連結累計期間における当社グループの売上高のうち49%を占めています。太陽電池パネル用ガラス事業も、ここに含まれます。
「自動車用ガラス事業」は、新車組立用及び補修用市場向けに種々のガラス製品を製造・販売しており、当社グループの売上高のうち46%を占めています。
「高機能ガラス事業」は、当社グループの売上高のうち5%を占めており、ディスプレイのカバーガラスなどに用いられる薄板ガラス、プリンター向けレンズ及び光ガイドの製造・販売、並びにエンジン用タイミングベルト部材などのガラス繊維製品の製造・販売など、いくつかの事業からなっています。
「その他」には、全社費用、連結調整、前述の各セグメントに含まれない小規模な事業、並びにピルキントン社買収に伴い認識された無形資産の償却費が含まれています。
セグメント別の業績概要は下表の通りです。
(単位:百万円)
売上高
個別開示項目前営業利益(△は損失)
当第3四半期
連結累計期間
前第3四半期
連結累計期間
当第3四半期
連結累計期間
前第3四半期
連結累計期間
建築用ガラス事業
275,688
206,863
26,192
20,406
自動車用ガラス事業
258,424
203,295
△1,117
△5,925
高機能ガラス事業
29,775
30,773
7,233
7,782
その他
2,338
2,030
△8,153
△7,739
合計
566,225
442,961
24,155
14,524
建築用ガラス事業
当第3四半期連結累計期間における建築用ガラス事業の売上高は2,757億円(前年同期は2,069億円)、個別開示項目前営業利益は262億円(前年同期は204億円)となりました。販売価格の改善及び円安の影響を受け、売上高・個別開示項目前営業利益ともに前年同期から増加しました。
欧州における建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の43%を占めています。売上高は、販売価格の上昇と為替影響の結果、大幅に増加しました。個別開示項目前営業利益も、高騰した燃料費に関連した投入コストの大部分を販売価格の改善により吸収し、増加しました。当第3四半期では燃料費は通常の水準に戻る兆しを見せましたが、インフレの進行と金利上昇により企業の景況感や消費者マインドが悪化し、販売数量はやや減少しました。
アジアにおける建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の27%を占めています。売上高・個別開示項目前営業利益ともに前年同期を上回りました。投入コスト上昇の影響は、販売数量増と安定した操業により軽減しました。
米州における建築用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の30%を占めています。売上高・個別開示項目前営業利益ともに前年同期比で増加しました。北米では、需要は好調だった一方で上半期は販売数量が物流の制約の影響を多少受けましたが、当第3四半期中にはその制約も緩和されました。また、当第3四半期からアルゼンチンで2基目のフロート窯が生産を開始しました。
自動車用ガラス事業
当第3四半期連結累計期間における自動車用ガラス事業の売上高は2,584億円(前年同期は2,033億円)、営業損失は11億円(前年同期は59億円の損失)となりましたが、当第3四半期は前年度第1四半期以来の個別開示項目前営業利益を計上しました。販売数量は引き続き徐々に増加するとともに取引先に対する販売価格上昇も合意に達し、高騰した投入コストを軽減しました。
欧州における自動車用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の42%を占めています。売上高は増加しましたが、一部為替の影響によるものもあります。販売数量は自動車メーカーにおける半導体等部品不足の影響を受けましたが、当第3四半期中も引き続き徐々に緩和しました。収益性は引き続き投入コスト上昇の影響を受けましたが、第2四半期から当第3四半期にかけて多くの取引先との価格交渉が進捗し、販売価格が改善したため、さらにその影響を軽減しました。補修用市場向けの販売数量は好調でした。
アジアにおける自動車用ガラス事業の売上高は、グループ全体における当事業売上高の19%を占めています。売上高は前年同期比で増加しましたが、これは投入コスト上昇の影響を緩和するために取引先との価格改善交渉を進めた結果です。収益性は前年とほぼ同水準でした。
米州における自動車用ガラス事業の売上高はグループ全体における当事業売上高の39%を占めています。売上高は為替の影響を受けて前年同期比で増加しましたが、個別開示項目前営業利益は減少しました。北米での需要は、自動車メーカーによる在庫の積み増しの影響を受け好調でしたが、多くの取引先で引き続きサプライチェーンの問題の影響を受けました。南米での需要は比較的堅調で、アルゼンチンでは販売数量が改善しました。
高機能ガラス事業
当第3四半期連結累計期間における高機能ガラス事業の売上高は298億円(前年同期は308億円)、営業利益は72億円(前年同期は78億円)となりました。売上高・営業利益は前年にバッテリーセパレーター事業を譲渡したためわずかに減少しました。バッテリーセパレーター事業譲渡による売上高・営業利益への影響は、好調な市場環境により概ね相殺されていますが、当第3四半期は引き続き中国での新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴うロックダウンの影響を受けました。
ファインガラス事業では、景気減速の影響を一部受けましたが、継続的なコスト削減による事業基盤の強化により、業績は引き続き安定していました。情報通信デバイス事業では、半導体等部品不足の影響から徐々に回復したため売上高は安定していましたが、プリンター用レンズの需要は北米や欧州でのインフレの影響によりわずかに減少しました。エンジンのタイミングベルト用グラスコードの潜在的需要自体は安定しているものの、販売数量は取引先におけるサプライチェーンの問題による影響を受けました。メタシャイン®の売上高は、自動車塗料及び化粧品向けでわずかに減少しました。
持分法適用会社
持分法で会計処理される投資に係る利益には、持分法による投資利益及び持分法投資に関するその他の損失が含まれています。当第3四半期連結累計期間においては、純額で43億円(前年同期は56億円)となり前年同期を下回りましたが、これは主にブラジルの建築用ガラスの持分法適用会社であるCebrace社の利益が減少したことによるものです。
前連結会計年度において、投資の一部に対して減損損失を認識したことに伴い、当社グループは、当第3四半期連結累計期間におけるロシアのジョイント・ベンチャーに対する持分法による投資利益を即時減損しています。この減損損失は連結損益計算書では、持分法投資に関するその他の損失として表示しています。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、83億円のプラスとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による284億円の支出等により297億円のマイナスとなりました。以上より、フリー・キャッシュ・フローは214億円のマイナス(前年同期は11億円のプラス)となりました。
(3)経営方針、経営戦略並びに事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略並びに事業上及び財務上の対処すべき課題について重要な変更等はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動について重要な変更はありません。
当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費は、68億円となりました。事業別の内訳は、建築用ガラス事業にて21億円、自動車用ガラス事業にて20億円、高機能ガラス事業にて7億円、その他において20億円となりました。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
2022年12月末時点の総資産は9,456億円となり、2022年3月末時点から64億円増加しました。
当社グループの資本の源泉としては、事業活動からの営業キャッシュ・フロー、銀行からの借入金、リース契約、又は資本が挙げられます。2022年12月末現在、当社グループの総借入残高の構成割合は、銀行からの借入金が92%、リース契約等が8%となっています。
当社グループは、最適な調達方法と調達期間の組み合わせにより、適切なコストで安定的に資金を確保することを、資金調達の基本方針としています。
2022年12月末時点のネット借入残高は、2022年3月末より543億円増加して4,195億円となりました。ネット借入の増加は、主に運転資本の増加と為替影響によるものです。為替影響によるネット借入の増加は116億円でした。運転資本の増加の影響を除いたキャッシュ・フローはプラスとなりました。また総借入残高は5,103億円となりました。当社グループは2022年12月31日時点で未使用の融資枠を263億円保有しており、これに加えて未引き出しのコミット型タームローンが160億円あります。
資本合計は1,388億円となり、2022年3月末時点の1,694億円から305億円減少しました。資本合計の減少は、主にのれん及び無形資産の減損損失の認識に伴うものですが、退職給付債務の減少、超インフレの調整によって一部相殺されました。
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