【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績
当第3四半期連結累計期間は、国際通貨基金が経済成長率見通しを複数回下方修正し、予想だにしなかったことや「何十年ぶりの現象」という言われ方がなされる事態が多々起きました。インフレーションの沈静化を目指す金融政策が景気を下押しする一方で、様々な変化が世界経済を揺り動かしています。加えて、カーボンニュートラルの施策や経済安保ほかの産業政策が進みつつあります。その中にあって当社は、顧客との意思疎通を密に保ち、顧客にとって価値ある製品の開発を急ぐとともに、揺るぎない品質の製品を安定供給し続けます。短期的な変動・振幅を巧みに乗り切り、顧客と市場からの要望・需要に適時に応えられるよう、投資と開発を継続します。
当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高は、前年同期に比べ45.8%(6,795億3千4百万円)増加し、2兆1,632億3千7百万円となりました。営業利益は、前年同期に比べ68.3%(3,281億1千5百万円)増加し、8,082億2千7百万円となり、経常利益は、前年同期に比べ68.1%(3,339億1千3百万円)増加し、8,242億1千7百万円となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期に比べ63.8%(2,253億8千4百万円)増加し、5,785億1千9百万円となりました。
セグメントごとの状況は以下のとおりです。
[生活環境基盤材料事業]
塩化ビニルに関しては、世界的な景気後退の様相が市況に表れましたが、2022年末に市況は概ね底打ちしました。その一方で、か性ソーダ市況は底堅さを維持しました。
その結果、当セグメントの売上高は、前年同期に比べ69.3%(4,130億1千7百万円)増加し、1兆88億3千5百万円となり、営業利益は、前年同期に比べ107.0%(2,271億7千4百万円)増加し、4,394億9千8百万円となりました。
[電子材料事業]
半導体市場は、昨年の秋以降調整局面に入りましたが、当該期にあってはシリコンウエハー、フォトレジスト、マスクブランクス等の半導体材料をほぼ計画通り出荷しました。希土類磁石も、データセンター投資の調整の影響が見られましたが、他市場向けの出荷で補いました。
その結果、当セグメントの売上高は、前年同期に比べ30.1%(1,556億7千5百万円)増加し、6,725億4百万円となり、営業利益は、前年同期に比べ32.3%(594億3千6百万円)増加し、2,433億1千7百万円となりました。
[機能材料事業]
一部の製品群で在庫調整がありましたが、機能性の高い製品群で補い、収益性の維持を図りました。
その結果、当セグメントの売上高は、前年同期に比べ32.8%(949億6千9百万円)増加し、3,841億4千6百万円となり、営業利益は、前年同期に比べ55.4%(378億3千7百万円)増加し、1,061億6千5百万円となりました。
[加工・商事・技術サービス事業]
半導体ウエハー関連容器は300mm用を中心に販売好調で、自動車用入力デバイスも販売が伸びました。食品包装用塩ビラッピングフィルムや建設材料など塩ビ関連製品は、改定価格の浸透により販売が伸びました。
その結果、当セグメントの売上高は、前年同期に比べ19.4%(158億7千3百万円)増加し、977億5千1百万円となり、営業利益は、前年同期に比べ27.8%(45億5千8百万円)増加し、209億3千6百万円となりました。
(2)財政状態
当第3四半期連結会計期間末(以下「当四半期末」という。)の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」という。)に比べて7,181億1千1百万円増加し、4兆7,715億2千3百万円となりました。円安の影響を受け在外子会社資産の円換算額が増加したこと、売上債権、棚卸資産等が増加したことによるものです。
当四半期末負債合計額は、前期末に比べ606億4千2百万円増加し、6,848億4千6百万円となりました。主に支払手形及び買掛金が増加したことによるものです。
当四半期末純資産は、前期末に比べ6,574億6千8百万円増加し、4兆866億7千6百万円となりました。これは、自己株式の取得や剰余金の配当による減少の一方、親会社株主に帰属する四半期純利益や円安に伴う為替換算調整勘定の増加によるものです。
その結果、自己資本比率は、前期末に比べ0.4ポイント増加し、82.5%となりました。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発費は48,202百万円です。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5)生産、受注及び販売の実績
当第3四半期連結累計期間における販売及び生産の実績は、「(1)経営成績」に記載の通り、前年同期に比べ、生活環境基盤材料事業を中心に著しく増加しました。