【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績に関する説明
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、2023年5月に新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが変更され、経済活動の正常化に伴う個人消費やインバウンド需要が回復基調にあることから景気は緩やかに持ち直しています。しかしながら、ウクライナ情勢や円安の長期化に伴う原燃料価格の高騰、物価上昇の継続による個人消費の鈍化や海外経済の減速といった懸念は続いており、景気の先行きは不透明な状況にあります。
紙パルプ業界におきましては、観光やインバウンド需要の増加から、衛生用紙に回復の兆しが見られるものの、印刷・情報用紙の構造的な需要減少や原燃料高騰に伴う価格改定による需要の冷え込みが続いており、紙・板紙での国内出荷量は、前年同四半期実績を下回りました。
このような中で当社グループは、事業の高付加価値化をターゲットとし、主力である高付加価値特殊紙の販売強化、観光、インバウンドやリオープン消費による需要が見込める高級パッケージや各種機能紙分野への注力、新規需要、新規顧客の獲得推進を進めました。製紙メーカーの事業再構築に伴う抄造設備の停機等による商品再構築局面での商品の高付加価値化を推進し、顧客満足度の向上と収益性の改善を図っています。引き続き脱炭素、脱プラスチック、SDGs等の社会要請に合致した商材の開発を進めるとともに、展示会、SNS等による継続的な情報発信、新規顧客及び新規需要の獲得を強化しています。原燃料の高騰による価格改定は概ね順調に進行しておりますが、それに伴う需要の冷え込み傾向が続いており、売上高においては販売単価の上昇もあり前年同四半期を上回りましたが、販売数量においては前年同四半期より減少しました。
この結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高38億8百万円(前年同四半期比2.1%増)、経常利益32百万円(前年同四半期は経常損失2百万円)、親会社株主に帰属する四半期純利益は9百万円(前年同四半期比98.8%減)となりました。
当第1四半期連結累計期間におけるセグメントごとの経営成績は、次のとおりです。なお、以下の数値はセグメント間の取引消去前となっております。
<和洋紙卸売業>
和洋紙卸売業は、構造的な情報伝達媒体のデジタルシフト、原燃料高騰に伴う価格改定による需要減少の影響が強く、販売数量は減少しました。しかしながら、販売単価の上昇や経済活動の正常化による個人消費や観光イベント事業等の国内需要の下支えもあり、主力である高付加価値特殊紙の販売金額は上向き、売上高は39億57百万円(前年同四半期比2.0%増)、営業損失は1百万円(前年同四半期は営業損失25百万円)となりました。
<不動産賃貸業>
不動産の売買、賃貸借、管理及び仲介で構成される不動産賃貸業は、概ね前年同四半期と同水準で、売上高は4百万円(前年同四半期比0.1%増)、営業利益は3百万円(前年同四半期比0.8%増)となりました。
(参考)
当社単体の和洋紙卸売業の営業成績
品目別
前第1四半期累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年6月30日)
当第1四半期累計期間
(自 2023年4月1日
至 2023年6月30日)
増減率(%)
金額(百万円)
構成比
(%)
金額(百万円)
構成比
(%)
ファンシーペーパー
797
23.1
787
22.0
△1.3
ファインボード
411
11.9
479
13.4
16.5
高級印刷紙
788
22.8
849
23.8
7.8
ベーシックペーパー
945
27.3
958
26.8
1.3
技術紙
466
13.5
450
12.6
△3.5
その他
50
1.4
47
1.4
△6.0
合計
3,459
100.0
3,572
100.0
3.2
[ファンシーペーパー]
多様な色、表面性、風合いを持つ高付加価値特殊紙のファンシーペーパーは、需要におけるコロナ禍の影響が縮減、書籍装丁用途や東アジア向けの輸出が堅調に推移しましたが、紙製品や紙袋用途が減少し、売上高は7億87百万円、前年同四半期比1.3%の減少となりました。
[ファインボード]
ファンシーペーパーの厚物(板紙)であるファインボードは、各種観光イベント事業の再開に伴い、化粧品・食品等の高級パッケージ向けの販売が回復し、売上高は4億79百万円、前年同四半期比16.5%の増加となりました。
[高級印刷紙]
独自の風合いを持ち、通常の印刷用紙より高価格帯の高級印刷紙は、商業印刷物用途の販売が安定し、出版物や紙製品用途が増加したことで、売上高は8億49百万円、前年同四半期比7.8%の増加となりました。
[ベーシックペーパー]
上質紙、塗工紙、色上質紙等の印刷用紙、包装用紙、各種パッケージ向け板紙等で構成されるベーシックペーパーは、書籍向けや医療品・化粧品パッケージ用途が堅調に推移しましたが、全体の販売数量は減少、販売単価の上昇に伴い、売上高は9億58百万円、前年同四半期比1.3%の増加となりました。
[技術紙]
通常の紙にはない特殊機能が付与されている技術紙は、各種工業品製造用工程紙や耐水撥水性機能紙の販売が堅調に推移しましたが、偽造防止用途や合成紙の販売が伸び悩み、売上高は4億50百万円、前年同四半期比3.5%の減少となりました。
[その他]
家庭紙、紙加工品、製紙関連資材等で構成される当区分では、製紙関連資材、紙加工品やペーパータオル等家庭紙の販売が減少し、売上高は47百万円、前年同四半期比6.0%の減少となりました。
② 財政状態に関する説明
(資産)
当第1四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べて1億94百万円減少して、173億70百万円となりました。主な要因は、電子記録債権77百万円、商品1億43百万円、投資有価証券1億83百万円が増加したものの、現金及び預金3億15百万円、受取手形及び売掛金2億75百万円が減少したことによるものであります。
(負債)
負債は、前連結会計年度末に比べて3億23百万円減少して、78億32百万円となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金1億23百万円、未払法人税等1億24百万円、賞与引当金1億5百万円が減少したことによるものであります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べて1億28百万円増加して、95億38百万円となりました。主な要因は、その他有価証券評価差額金1億27百万円が増加したことによるものであります。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。
(6)経営成績に重要な影響を与える要因
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について重要な変更はありません。