【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績に関する説明
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症対策と社会経済活動の両立を図る動きから正常化が進み、経済活動や個人消費は緩やかに持ち直していますが、円安や原燃料価格の高騰等による物価上昇は続いており、個人消費回復の鈍化や企業収益への影響等、経済の先行きは依然として不透明な状況にあります。
紙パルプ業界におきましては、個人消費の回復に伴う包装パッケージ用紙や衛生用紙の需要は堅調に推移しているものの、印刷・情報用紙の構造的な需要減少や原燃料の高騰に伴う製紙メーカーの価格改定による需要の冷え込みも相まって、紙・板紙合計での国内出荷量は、前年同四半期実績を下回りました。
このような中で当社グループは、観光やイベント事業等の回復を見込み、主力商品である高付加価値特殊紙の販売強化、需要伸長が見込める高級パッケージや機能紙分野への注力、新規の顧客及び需要の獲得推進等の施策を実施し、収益性の向上に努めました。円安や原燃料の高騰による紙・板紙の価格改定においては、お客様への情報提供をはじめとする丁寧な対応を行い、販売数量への影響縮減を図っております。また、足元では需要減少局面での事業再構築に伴う製紙メーカー抄造設備の停機等が進行しており、当社取り扱い商品の改廃やリニューアルが必要となる場合が出てきておりますが、これを好機ととらえて高付加価値商品への転換と安定供給の継続を図るとともに、社会要請の高い脱炭素、SDGsに対応した新商材の開発を進めています。
このような販売営業活動の強化対応や商品リニューアルへの投資、SNS等を活用した新たな顧客層への販売促進と情報収集への注力、価格改定による販売単価の上昇も相まって、和洋紙卸売業の売上高は前年同四半期実績を上回り、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高118億51百万円(前年同四半期比3.0%増)、経常利益1億30百万円(前年同四半期比17.7%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は8億18百万円(前年同四半期は70百万円)となりました。
なお、第1四半期連結会計期間に、名古屋地区にて保有している固定資産を同地で建築される建物の一部(オフィス及び賃貸用住宅)に買い換えることを条件として譲渡し、特別利益11億33百万円を計上しております。
当第3四半期連結累計期間におけるセグメントごとの経営成績は、次のとおりです。なお、以下の数値はセグメント間の取引消去前となっております。
<和洋紙卸売業>
和洋紙卸売業は、情報伝達媒体のデジタルシフトによる印刷・情報用紙の需要縮小や原燃料の高騰による価格改定の影響はあるものの、観光やイベント事業等の個人消費を中心とした国内需要の緩やかな回復傾向が続き、出版や高級パッケージ向け用途の販売が堅調に推移し、販売単価の上昇もあり、売上高は123億11百万円(前年同四半期比2.9%増)となりました。営業利益は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて実施しておりました出勤日数の削減等による休業手当の営業外費用への計上額が減少したため、68百万円(前年同四半期比29.5%減)となりました。
<不動産賃貸業>
不動産の売買、賃貸借、管理及び仲介で構成される不動産賃貸業は、2021年9月9日に「固定資産の譲渡及び特別利益の計上に関するお知らせ」にて公表しましたとおり、名古屋地区にて保有している固定資産を譲渡したことにより不動産賃貸収入が減少し、売上高は14百万円(前年同四半期比46.1%減)、営業利益は11百万円(前年同四半期比46.6%減)となりました。
(参考)
当社単体の和洋紙卸売業の営業成績
品目別
前第3四半期累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年12月31日)
当第3四半期累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年12月31日)
増減率(%)
金額(百万円)
構成比
(%)
金額(百万円)
構成比
(%)
ファンシーペーパー
2,464
22.8
2,600
23.4
5.5
ファインボード
1,294
12.0
1,372
12.4
6.0
高級印刷紙
2,374
21.9
2,551
23.0
7.4
ベーシックペーパー
3,129
28.9
2,978
26.8
△4.8
技術紙
1,405
13.0
1,438
13.0
2.4
その他
152
1.4
162
1.4
6.6
合計
10,821
100.0
11,104
100.0
2.6
[ファンシーペーパー]
多様な色、表面性、風合いを持つ高付加価値特殊紙のファンシーペーパーは、需要におけるコロナ禍の影響が徐々に減少し、リモートやSNS、再開した展示会等での販売促進活動の効果も伴い、出版、商業印刷物用途が緩やかに回復し、売上高は26億円、前年同四半期比5.5%の増加となりました。
[ファインボード]
ファンシーペーパーの厚物(板紙)であるファインボードは、各種観光イベント需要の再開に伴い、化粧品・食品等の高級パッケージ向けの販売が徐々に回復し、売上高は13億72百万円、前年同四半期比6.0%の増加となりました。
[高級印刷紙]
独自の風合いを持ち、通常の印刷用紙より高価格帯の高級印刷紙は、商業印刷物等の販売は伸び悩みましたが、出版物や製袋、紙製品用途が増加し、売上高は25億51百万円、前年同四半期比7.4%の増加となりました。
[ベーシックペーパー]
上質紙、塗工紙、色上質紙等の印刷用紙、包装用紙、各種板紙等で構成されるベーシックペーパーは、一般パッケージ用途や東アジア向けの輸出は堅調に推移しましたが、価格改定の影響もあり、商業印刷物、出版、紙製品用途の販売が減少し、売上高は29億78百万円、前年同四半期比4.8%の減少となりました。
[技術紙]
通常の紙にはない特殊機能が付与されている技術紙は、各種工業品製造用工程紙の販売が減少しましたが、
偽造防止用途や合成紙、耐水撥水性機能紙の販売が堅調に推移し、売上高は14億38百万円、前年同四半期比2.4%の増加となりました。
[その他]
家庭紙、紙加工品、製紙関連資材等で構成される当区分では、製紙関連資材、紙加工品の販売は減少しましたが、観光需要の回復に伴い各種家庭紙の販売が伸長し、売上高は1億62百万円、前年同四半期比6.6%の増加となりました。
② 財政状態に関する説明
(資産)
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べて18億98百万円増加して、176億64百万円となりました。主な要因は、現金及び預金3億66百万円が減少したものの、電子記録債権5億30百万円、商品4億88百万円、有形固定資産11億49百万円が増加したことによるものであります。
(負債)
負債は、前連結会計年度末に比べて12億6百万円増加して、84億42百万円となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金7億5百万円、短期借入金2億49百万円、繰延税金負債2億3百万円が増加したことによるものであります。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べて6億91百万円増加して、92億22百万円となりました。主な要因は、利益剰余金7億21百万円が増加したことによるものであります。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。
(6)経営成績に重要な影響を与える要因
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について重要な変更はありません。