【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 財政状態および経営成績の状況(経営成績の状況)当第2四半期連結累計期間のわが国を含む世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和し、持ち直しの動きが継続しております。経済社会活動の正常化が進み、景気が持ち直していくことが期待されますが、世界的な金融引締めに伴う影響やそれに伴う急激な円安進行、原燃料価格の高騰、半導体の不足、ウクライナ情勢の長期化による影響が懸念され、先行きが不透明な状況が依然続いております。このような状況のなか、当社グループは、新型コロナウイルス感染症に対し感染予防と感染リスク低減に努めて安定的に事業活動を継続しております。第1四半期初めには、同感染症の再流行に伴う中国でのロックダウンにより、機能製品事業の炭素製品分野の現地工場が一時稼働を停止しましたが、影響は軽微でした。また、原燃料価格の高騰による業績への悪影響はあるものの、顧客の理解を得ながら、製品価格への転嫁等の対策を進めております。当社グループの当第2四半期連結累計期間は、機能製品事業のリチウムイオン二次電池用バインダー向けのフッ化ビニリデン樹脂を中心に売上げが伸張し、前年同期比で増収増益となりました。売上収益は前年同期比28.7%増の1,017億55百万円、営業利益は前年同期比47.3%増の167億37百万円、税引前四半期利益は前年同期比51.8%増の173億77百万円、四半期利益は前年同期比46.1%増の122億78百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は前年同期比46.4%増の121億90百万円となりました。
セグメントの業績は次のとおりです。
(単位:百万円)
売
上
収
益
営
業
損
益
前第2四半期
当第2四半期
増減
前第2四半期
当第2四半期
増減
機能製品事業
28,794
47,296
18,502
2,600
9,034
6,434
化学製品事業
12,804
17,524
4,719
1,168
1,617
448
樹脂製品事業
22,942
23,782
840
5,140
4,270
△869
建設関連事業
5,524
4,231
△1,292
414
265
△149
その他関連事業
9,003
8,920
△83
1,799
1,387
△411
セグメント合計
79,069
101,755
22,686
11,123
16,575
5,452
調整額 (注)
-
-
-
241
161
△79
連結合計
79,069
101,755
22,686
11,364
16,737
5,372
(注) 営業損益の調整額には、報告セグメントに配分していないその他の収支が含まれております。詳細は、要約四半期連結財務諸表注記「5.セグメント情報」に記載しております。
① 機能製品事業機能樹脂分野では、リチウムイオン二次電池用バインダー向けのフッ化ビニリデン樹脂、PPS樹脂、シェールオイル・ガス掘削用途向けのPGA(ポリグリコール酸)樹脂加工品、その他の樹脂加工品等の売上げが増加したことから、この分野での売上げ、営業利益はともに増加しました。炭素製品分野では、高温炉用断熱材向けの炭素繊維の売上げが増加し、この分野での売上げ、営業利益はともに増加しました。この結果、本セグメントの売上収益は前年同期比64.3%増の472億96百万円となり、営業利益は前年同期比247.4%増の90億34百万円となりました。
② 化学製品事業農薬・医薬分野では、慢性腎不全用剤「クレメジン」の売上げは減少したものの、農業・園芸用殺菌剤の売上げが増加し、この分野での売上げ、営業利益はともに増加しました。工業薬品分野では、無機および有機薬品類の売上げが増加しましたが、原燃料価格高騰の影響により、前年同期の営業利益から営業損失となりました。この結果、本セグメントの売上収益は前年同期比36.9%増の175億24百万円となり、営業利益は前年同期比38.4%増の16億17百万円となりました。
③ 樹脂製品事業コンシューマー・グッズ分野では、フッ化ビニリデン釣糸「シーガー」の売上げは増加したものの、家庭用ラップ「NEWクレラップ」の売上げが減少したことおよび原燃料価格高騰の影響により、この分野での売上げ、営業利益はともに減少しました。業務用食品包装材分野では、熱収縮多層フィルムおよび塩化ビニリデン・フィルムの売上げが増加し、この分野での売上げ、営業利益はともに増加しました。この結果、本セグメントの売上収益は前年同期比3.7%増の237億82百万円となり、営業利益は前年同期比16.9%減の42億70百万円となりました。
④ 建設関連事業建設事業では、公共工事は前年同期並みとなったものの民間工事の減少により、売上げ、営業利益はともに減少しました。この結果、本セグメントの売上収益は前年同期比23.4%減の42億31百万円となり、営業利益は前年同期比36.0%減の2億65百万円となりました。
⑤ その他関連事業環境事業では、低濃度PCB廃棄物等の産業廃棄物処理の減少により、売上げ、営業利益はともに減少しました。運送事業では、売上げ、営業利益はともに前年同期並みとなりました。病院事業では、売上げ、営業利益はともに前年同期並みとなりました。この結果、本セグメントの売上収益は前年同期比0.9%減の89億20百万円となり、営業利益は前年同期比22.9%減の13億87百万円となりました。
(財政状態の状況)当第2四半期末の資産合計につきましては、前期末比131億48百万円増の2,957億88百万円となりました。流動資産は、棚卸資産ならびに営業債権及びその他の債権が増加したこと等により、前期末比95億58百万円増の1,219億76百万円となりました。非流動資産は、有形固定資産が増加したこと等により、前期末比35億90百万円増の1,738億11百万円となりました。負債合計につきましては、前期末比7億67百万円減の811億47百万円となりました。これは、未払法人所得税等が増加した一方で、有利子負債が社債の償還等により前期末比21億24百万円減の263億82百万円となったこと等によるものです。資本合計につきましては、前期末比139億15百万円増の2,146億40百万円となりました。これは、剰余金の配当を24億39百万円実施した一方で、親会社の所有者に帰属する四半期利益を121億90百万円計上するとともに、為替市場での円安の影響によりその他の資本の構成要素が増加したこと等によるものです。
(2) キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは86億63百万円の収入となり、前年同期に比べ48億53百万円収入が減少しました。これは、棚卸資産が増加したこと等によるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは48億74百万円の支出となり、前年同期に比べ94百万円支出が増加しました。これは、持分法で会計処理されている投資の売却による収入が発生した一方、前年同期に発生した政府補助金による収入が当第2四半期連結累計期間はなかったこと、有形固定資産及び無形資産の取得による支出が増加したこと等によるものです。財務活動によるキャッシュ・フローは68億24百万円の支出となり、前年同期に比べ23億5百万円支出が増加しました。これは、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの増減額による収入が増加した一方、社債の償還による支出が発生したこと等によるものです。以上の結果、現金及び現金同等物の当第2四半期末残高は、前期末に比べ15億10百万円減少し291億28百万円となりました。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題「(1)財政状態および経営成績の状況」に記載のとおり、原燃料価格の高騰が続いており、一部製品では製品価格への転嫁等の対策を実施いたしました。引き続き業績に悪影響を与えることが懸念される原燃料価格の高騰に対して、適切な製品価格への転嫁等の対策を図っていくことが重要と認識しております。なお、経営の基本方針・目標とする経営指標・会社の経営戦略は、何れも中長期の観点で設定したものであることから、現時点において見直す必要はないと判断しております。
(4) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は3,011百万円です。