【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度(以下、当期という。)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績当期におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止と社会経済活動の両立が進み、持ち直しの動きが見られた一方、エネルギー価格の高騰や急速な円安の進行に伴う物価上昇、欧米各国の金融引締めによる世界的な景気後退懸念などにより、先行き不透明な状況が続きました。エネルギー業界におきましては、2050年までのカーボンニュートラル実現に向けた脱炭素の動きが進展する中、業種や地域の垣根を越えた競争が一層激しさを増す一方、ロシアのウクライナ侵攻などに起因したエネルギーの需給ひっ迫による安定供給や価格高騰への対応など、当社グループを取り巻く環境は大きく変化しました。このような状況のもと、当社グループは、地域の皆さまとともに様々な課題を解決することで、持続可能なくらしやすい地域をつくる「地域共創」の実現を目指し、ガスを中心とした基盤事業の他、くらしサービスや再生可能エネルギー、海外事業などの分野に積極的に取り組んでまいりました。当期における当社グループの連結売上高は、前連結会計年度(以下「前期」という)に比べ55.9%増の207,325百万円となりました。当社グループにおける売上高の大半を占めるガス事業の売上高は、ガス販売量の増加や原料費調整制度によるガス販売単価の上方調整などにより、前期に比べ66.0%増の173,433百万円となりました。なお、ガス販売量については、家庭用は減少しましたが、業務用、工業用および卸用で増加したことなどから、前期に比べ2.8%増の1,672百万㎥となりました。LPG・その他エネルギー事業の売上高は、電力事業における販売量増加や燃料費調整制度による販売単価の上方調整、LPG事業における販売量の増加や原料高に伴う販売単価の引き上げなどにより、前期に比べ31.4%増の27,698百万円となりました。設備工事、受注工事及びガス機器販売等のその他の事業の売上高は、設備工事の売上が増加したことなどにより、前期に比べ4.3%増の15,899百万円となりました。
売上原価は、前期に比べ69.1%増の169,654百万円となりました。ガス事業及びLPG・その他エネルギー事業は、売上の増加に伴う増加の一方、ガス事業においては長期契約でのLNG調達に努め、高騰したスポット市場でのLNG調達を抑制いたしました。また、その他の事業は、設備工事等の増収に伴い増加しました。供給販売費及び一般管理費は、前期に比べ5.0%増の29,040百万円となりました。
この結果、営業利益は前期に比べ73.0%増の8,629百万円となりました。
営業外損益は、匿名組合投資損失の計上などにより、前期に比べ622百万円の減益要因となりました。
この結果、経常利益は前期に比べ46.6%増の9,491百万円となりました。
特別損益は、前期に投資有価証券売却益の計上があったことにより、前期に比べ32百万円の減益要因となりました。
以上により、税金等調整前当期純利益は9,491百万円となり、これから法人税等や非支配株主に帰属する当期純利益を差し引き、親会社株主に帰属する当期純利益は前期に比べ45.2%増の5,975百万円となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
① ガスお客さま数(取付メーター数)は、新築市場及び既存市場において新規のお客さまの獲得に努めたことなどから、当期中に573戸増加し、期末現在で360,619戸となりました。ガス販売量は、前期に比べ2.8%増の1,672百万㎥となりました。用途別では、家庭用は、気温が夏場以降高めに推移し給湯需要が減少したことなどにより、前期に比べ2.5%減の92百万㎥となりました。業務用(商業用・公用および医療用)は、イベントの再開など経済活動の回復に伴う空調・給湯需要の増加などにより、前期に比べ3.3%増の77百万㎥となりました。工業用は、お客さま設備の稼働が堅調に推移したことなどから、前期に比べ1.6%増の845百万㎥となりました。卸供給は、前期に比べ5.3%増の658百万㎥となりました。
当期
前期
増減
増減率(%)
お客さま数
戸
360,619
360,046
573
0.2
ガス販売量
家庭用
百万㎥
92
94
△2
△2.5
業務用
〃
77
75
2
3.3
工業用
〃
845
832
13
1.6
卸供給
〃
658
625
33
5.3
合計
〃
1,672
1,626
46
2.8
(注) 1 「お客さま数」は、期末取付メーター数を記載しております。2 「お客さま数」には、卸供給先のお客さま数は含みません。
売上高は、ガス販売量の増加や原料費調整制度によるガス販売単価の上方調整などにより前期に比べ66.0%増の173,433百万円となりました。セグメント利益(営業利益)は主に売上高の増加に伴い前期に比べ53.9%増の9,055百万円となりました。
② LPG・その他エネルギー電力事業における販売量増加や燃料費調整制度による販売単価の上方調整、LPG事業における販売量の増加や原料高に伴う販売単価の引き上げなどにより、売上高は前期に比べ31.4%増の27,698百万円となり、セグメント利益(営業利益)は同69.8%増の1,523百万円となりました。
③ その他設備工事、受注工事およびガス機器販売などのその他の事業は、設備工事売上の増加等により、売上高は前期に比べ4.3%増の15,899百万円となり、セグメント利益(営業利益)は同11.8%減の956百万円となりました。
(注) 1 上記セグメント別の業績数値には、セグメント間の内部取引を含んでおります。2 本報告書でのガス量は、すべて1㎥当たり45MJ(メガジュール)換算で表示しております。
(2) 生産、受注及び販売の実績当社グループにおいては、当社及び連結子会社が営むガスセグメントが、生産、受注及び販売活動の中心となっております。このため、以下はガスセグメントについて記載しております。
① 生産実績ガスの生産実績は次のとおりであります。
区分
当連結会計年度(2022年1~12月)
生産量(百万㎥)
前期比(%)
ガス
1,691
102.8
(注) ガス量は1㎥当たり45MJ換算し、表示単位未満を四捨五入しております。
② 受注実績ガスについては、その性質上、受注生産は行っておりません。
③ 販売実績ガスは、導管を通じて直接お客さまに販売しております。また、他のガス事業者に卸供給をしております。
区分
当連結会計年度(2022年1~12月)
数量(百万㎥)
前期比(%)
金額(百万円)
前期比(%)
ガス販売実績
家庭用
92
97.5
21,063
117.0
業務用その他
1,580
103.1
146,419
180.1
計
1,672
102.8
167,482
168.7
お客さま数
360,619戸
100.2
(注) 1 「お客さま数」は、期末取付メーター数を記載しております。2 「お客さま数」には、卸供給先のお客さま数は含みません。3 販売量は1㎥当たり45MJ換算し、表示単位未満を四捨五入しております。4 上記数値は、セグメント間の内部取引を含んでおります。5 主要な販売先として、㈱INPEX及びサーラエナジー㈱へ卸供給をしております。㈱INPEXへの前連結会計年度における販売実績は248百万㎥、総販売実績に対する割合は15.3%であり、当連結会計年度における販売実績は246百万㎥、総販売実績に対する割合は14.8%であります。サーラエナジー㈱への前連結会計年度における販売実績は194百万㎥、総販売実績に対する割合は12.0%であり、当連結会計年度における販売実績は227百万㎥、総販売実績に対する割合は13.6%であります。
なお、当社グループのガスセグメントにおいては、上記のほか、LNGの販売を行っております。
(3) 財政状態当期末における総資産は、現預金の増加や、ガス販売単価上昇による受取手形、売掛金及び契約資産の増加、新規取得や株式市況の影響による投資有価証券の増加等により、前期末に比べ35,500百万円増の159,497百万円となりました。負債は、コマーシャル・ペーパーや長期資金の調達等により、前期末に比べ28,042百万円増の59,888百万円となりました。純資産は、当期の利益計上による利益剰余金の増加等により、前期末に比べ7,458百万円増の99,608百万円となりました。この結果、当期の自己資本比率は58.2%となりました。
(4) キャッシュ・フロー営業活動によるキャッシュ・フローは、4,116百万円の収入(前期は6,909百万円の支出)となりました。これは、減価償却前利益が18,232百万円となり、ガス販売単価の上昇により売上債権及び契約資産が増加したことなどによるものであります。投資活動によるキャッシュ・フローは、14,074百万円の支出(前期は9,797百万円の支出)となりました。これは、ガス導管網の拡張・整備や再生可能エネルギーなどへの設備投資や投資有価証券の取得等によるものであります。財務活動によるキャッシュ・フローは、23,552百万円の収入(前期は1,412百万円の支出)となりました。これは、コマーシャル・ペーパーの発行等によるものであります。以上の結果、当期末における現金及び現金同等物は、前期末と比べ13,715百万円増加し、当期末残高は27,264百万円となりました。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標は以下のとおりであります。
前連結会計年度
当連結会計年度
自己資本比率
(%)
69.6
58.2
時価ベースの自己資本比率
(%)
58.9
51.3
キャッシュ・フロー対有利子負債比率
(年)
△1.0
7.8
インタレスト・カバレッジ・レシオ
(倍)
△92.0
45.7
(注) 1 各指標はいずれも連結ベースの財務数値を用いて、以下の計算式により算出しております。
自己資本比率
:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率
:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率
:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ
:キャッシュ・フロー/利払い
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。3 キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。4 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、長期借入金(1年以内に期限到来のものを含む)、短期借入金、コマーシャル・ペーパーを対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(5) 当社グループの資本の財源及び流動性について当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、設備投資資金については、自己資金を充当し、不足分を社債の発行や金融機関からの長期借入による調達を基本としております。また、短期運転資金は、主に自己資金、短期借入金、コマーシャル・ペーパー等で賄っていく方針であります。なお、当社グループ内でキャッシュ・マネジメント・システムを採用しており、余剰資金の活用等により、当社グループ全体の有利子負債の削減を図っております。その結果、当連結会計年度末の有利子負債残高は32,177百万円となりました。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、過年度実績や経営計画、入手可能で合理的な情報に基づく仮定等から会計上の見積りを行っておりますが、見積りは不確実性を伴うため、実際の結果は異なる場合があります。なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております。
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