【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の分類が5類に移行されたことに伴い、社会経済活動の正常化が進み、緩やかな回復基調にあります。一方、原材料価格の上昇や円安の進行等によりインフレ傾向が続くなど、先行き不透明な状況が続いています。衣料品小売業界においても、原材料高や急激な為替変動等の影響が続いたものの、外出需要や消費マインドが上向いたほか、インバウンド需要も回復するなど事業環境は堅調に推移しました。このような状況の下、当社は2033年3月期を最終年度とする長期ビジョン「美しい会社ユナイテッドアローズ、真善美を追求し続けることでサステナブルな社会の実現に貢献し、お客様に愛され続ける高付加価値提供グループになる」とともに、その達成を目指して2026年3月期を最終年度とする中期経営計画「感動提供 お客様と深く広く繋がる」を策定し、3つの戦略を推進しています。2024年3月期は「新しい価値提供に向けて踏み出す」を経営方針に掲げ、3つの戦略の実行により長期ビジョンと中期経営計画の実現を目指します。1つ目のUA CREATIVITY 戦略では、既存事業の成長拡大、ブランド力の強化、(株)コーエンの再成長へ向けて取り組んでいます。既存事業の成長拡大については、人流回復や消費マインドの高まりに伴い、小売+ネット通販既存店売上高前年同期比(単体)が109.1%と伸長しました。既存事業の出店も加速させ、当第1四半期連結累計期間に3店舗を出店した「CITEN」では、実店舗を通じてブランドの認知拡大を図るとともに、商品面の修正や販売手法の見直しなど出店によって見えた課題への対応を進めています。また、外国人観光客の回復に伴い、免税売上(単体)は前年同期から約12倍、売上高構成比は前年同期から2.5ポイント増加の2.7%となり、売上成長に寄与しています。売上総利益率向上に向けて、引き続き在庫調達量をコントロールしたうえで定価販売が好調に推移したことにより、プロパー消化率(*)が前年同期から改善しました。併せて商品クオリティの向上を伴う精緻な価格設定の実施や、過年度在庫の縮小などによる単体アウトレット売上総利益率の改善が寄与し、売上総利益率が前年同期から0.4ポイント良化しました。ブランド力の強化については、ブランド価値創造の源泉である従業員のエンゲージメント向上を目指し、職能開発につながる教育機会の充実などの人事施策を講じています。(株)コーエンは、小売既存店が堅調に推移したものの、前連結会計年度の退店による小売全店売上の減に加え、今年2月にリニューアルした自社通販サイトでセール販売を縮小したことなどによる通販売上の減により、前年同期比で減収となりました。足元では、再成長に向けてターゲット設定を見直したマーチャンダイジングへの修正を進めています。(*)プロパー消化率: 総仕入金額の内、プロパー(定価)で販売した金額の比率2つ目のUA MULTI 戦略では、業容拡大に向けた事業開発やグローバル展開の拡大によって、当社の価値提供の領域を広げ、お客様層を拡大させることを目指しています。当第1四半期連結累計期間では、グローバル展開の拡大に向けて上海に期間限定店舗を出店しました。ブランドの認知を広げるとともに、中国本土のお客様の嗜好やニーズといったマーケット特性を把握するなど、今後の本格展開に向けた足掛かりとなりました。3つ目のUA DIGITAL 戦略では、OMO(*)の推進とサプライチェーンの最適化を軸に取り組んでいます。OMOの推進では、会員プログラムを今夏から改定しました。新プログラムでは、当社との接点増加により当社に対するロイヤルティ向上を促し、継続的にご愛顧いただける関係性を築きます。自社通販サイトにおいては実店舗在庫の引き当て販売等が奏功し、同サイトの売上高前年同期比は117.6%と大きく伸長しました。サプライチェーンの最適化では、今後の業容拡大に対応し得る商品管理基幹システムの刷新準備などを継続して進行しました。(*)OMO: Online Merges with Offlineの略。オンラインとオフラインの融合を指す。
出退店については、ミッド・トレンドマーケットで4店舗の出店、1店舗の退店、アウトレットで1店舗の出店を実施した結果、当第1四半期連結累計期間末の小売店舗数は192店舗、アウトレットを含む総店舗数は219店舗となりました。連結子会社の状況については、株式会社コーエン(決算月:1月)、海外子会社の台湾聯合艾諾股份有限公司(決算月:1月)とも減収となりました。出退店については、株式会社コーエンは1店舗の退店により当第1四半期連結累計期間末の店舗数は74店舗、台湾聯合艾諾股份有限公司の当第1四半期連結累計期間末の店舗数は8店舗となっています。以上により、グループ全体での新規出店数は5店舗、退店数は2店舗、当第1四半期連結累計期間末の店舗数は301店舗となりました。以上の結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比8.4%増の32,155百万円となりました。売上総利益は前年同期比9.3%増の17,678百万円となり、売上総利益率は前年同期から0.4ポイント増の55.0%となりました。販売費及び一般管理費は各項目で売上回復に伴う変動費の増加などにより前年同期比5.9%増の15,176百万円となりました。以上により、当第1四半期連結累計期間の営業利益は2,502百万円(前年同期比35.0%増)、経常利益は2,766百万円(前年同期比32.2%増)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は1,798百万円(前年同期比35.9%増)となりました。
② 財政状態の状況(資産)流動資産は、前連結会計年度末と比較して4,750百万円(11.4%)減少の36,854百万円となりました。これは、現金及び預金が4,451百万円、商品が289百万円、未収入金が853百万円それぞれ減少したことなどによります。固定資産は、前連結会計年度末と比較して626百万円(3.2%)減少の18,954百万円となりました。これは、店舗の出店などにより有形固定資産が23百万円、基幹システム刷新に向けた準備などにより無形固定資産が154百万円、それぞれ増加した一方、店舗の退店に伴い差入保証金が46百万円減少したこと、及び繰延税金資産が765百万円減少したことなどによります。
(負債)流動負債は、前連結会計年度末と比較して4,911百万円(20.9%)減少の18,540百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が1,345百万円、短期借入金が344百万円、未払金が993百万円、未払法人税が1,012百万円、賞与引当金が1,354百万円、それぞれ減少したことなどによります。固定負債は、前連結会計年度末と比較して54百万円(1.4%)増加の4,085百万円となりました。これは、出店などに伴い資産除去債務が54百万円増加したことなどによります。
(純資産)純資産合計は、前連結会計年度末と比較して519百万円(1.5%)減少の33,182百万円となりました。これは、利益剰余金が親会社株主に帰属する四半期純利益により1,798百万円増加した一方、配当金の支払により997百万円減少したこと及び自己株式を1,311百万円取得したことなどによります。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析当第1四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ4,451百万円減少し、4,111百万円となりました。当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)当第1四半期連結累計期間における営業活動の結果使用した資金は1,040百万円(前年同期は1,955百万円の収入)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前四半期純利益2,731百万円、売上債権の減少額651百万円、棚卸資産の減少額266百万円であり、支出の主な内訳は、賞与引当金の減少額1,354百万円、仕入債務の減少額1,272百万円及び法人税等の支払額1,033百万円であります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第1四半期連結累計期間における投資活動の結果使用した資金は818百万円(前年同期は1,536百万円の支出)となりました。これは主に、新規出店等に伴う有形固定資産の取得による支出が434百万円、基幹システム刷新に向けた準備に伴う無形固定資産の取得による支出が309百万円があったこと等によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第1四半期連結累計期間における財務活動の結果使用した資金は2,582百万円(前年同期は2,611百万円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の純減少額344百万円、自己株式の取得による支出1,311百万円及び配当金の支払額925百万円によるものであります。
(3) 事業上および財務上の対処すべき課題当第1四半期連結累計期間において、当連結会社の事業上および財務上の対処すべき課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動特記事項はありません。
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