【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、ウィズコロナの意識が浸透したことで社会経済活動は正常化に向かい、緩やかに復調傾向となった一方、原材料価格の上昇や円安による物価上昇など、先行き不透明な状況が続いています。衣料品小売業界においても、実店舗への来店客数の増加や個人消費の回復など事業環境は改善したものの、国内経済動向と同様に、原材料高や円安等の影響に加え、物価上昇による消費者マインドの低下懸念もあるなど、厳しい経営環境も継続しています。
このような状況の下、当社は2023年3月期のグループ経営方針に「感動提供 すてきな接客 すてきな商品 ヒトのチカラ モノのチカラ」を掲げています。創業以来、経営をはじめ日々の営業活動においても常にお客様視点を判断軸とし、ヒト(接客・サービス)、モノ(商品)、ウツワ(施設・空間・環境)をバランス良く磨き上げることで、お客様に感動を提供してきたことが当社の強みであると認識しています。この強みに一層磨きをかけ、当社の価値創造の基盤となるお客様価値を高めることを起点に、全てのステークホルダーの価値をバランス良く向上させることを目指しています。
「感動提供」の実現に向けて、既存店を回復させることを重点戦略に定め、「感動接客-販売力の底上げ」、「感動クリエイション-商品力の底上げ」、「新たなUAへの挑戦-積極的なトライアンドエラー」に取り組んでいます。
「感動接客」では、接客の質向上に向けて、動画コンテンツ等を用いた販売スタッフの教育や、地方店舗での商品説明会等を実施しています。併せてOMO施策も推進し、通販サイトでのスタッフスタイリングの投稿数が増加したほか、ブログや動画を活用した商品訴求も積極化したことが、お客様の体験価値向上につながるとともに、コンテンツ経由売上の拡大にも寄与しています。これらの結果、単体の小売+ネット通販既存店売上高前年同期比は111.3%となりました。
「感動クリエイション」では、定価販売比率向上を目指して取り組んでいます。品番数の削減に伴い商品1点当たりのクオリティを高めるとともに、セール期間短縮のほか、セール対象品や値下げ率の精査によりセール販売を抑制した結果、前年同期比でセール販売比率が低下し、定価販売比率は大幅に改善しました。これらの結果、単体の小売+ネット通販既存店客単価前年同期比が110.4%となりました。
「新たなUAへの挑戦」では、既存ブランドの再編等に関する中期戦略の立案とともに、次期中期経営計画で事業領域とお客様層の拡大を企図した新規ドメインやブランドの開発に着手しています。
これらの重点戦略を下支えしつつ、当社の持続的成長も担保するベース戦略として「ES(*)推進」、「DX推進」、「サステナビリティ推進」の3つの戦略も実行しています。
(*)ES :(Employee Satisfactionの略。従業員満足を指す。)
感動提供の源となる従業員に対する「ES推進」では、報酬と働き甲斐の両面から従業員エンゲージメントを高めるよう、各種制度の見直しや取り組みを進めています。昇格制度や報酬設計の見直しに加えて、モチベーションやスキルの向上を目的に希望者に対して教育機会の充実を図っています。適材適所の人材配置や異動の活発化に向けたシステム構築準備も進めています。
「DX推進」では、デジタル技術を活用したお客様体験価値の提供と、生産背景の生産性向上を目指す取り組み等を推進しています。自社通販サイトでは、さらなる利便性改善に向けたシステム改修に加え、在庫配分の適正化や実店舗在庫の通販サイトへの引き当て準備などの課題解決を継続しています。デジタルマーケティングでは、ブランド横断のコンテンツがご好評をいただき、コンテンツ経由売上に寄与しています。SNS専門部署による投稿や動画配信も拡充しフォロワーが増加するなど、お客様とのコミュニケーションも広げています。生産背景の生産性向上については、サプライチェーンのデジタル化により商品関連業務を効率化するべく、基幹システムの刷新準備も進行しています。
当社がお客様や社会から永続的なご支持を得るための「サステナビリティ推進」では、当社のサステナビリティ活動を「SARROWS(サローズ)」と名付け、社内外に理解浸透を図っています。併せて「Circularity」「Carbon Neutrality」「Humanity」という3つのカテゴリーに関する7つの数値目標の達成に向けた取り組みも進行しています。
出退店については、引き続き慎重に精査したうえで、トレンドマーケットで1店舗の出店、1店舗の退店、ミッド・トレンドマーケットで1店舗の出店、アウトレットで1店舗の出店を実施した結果、当第3四半期連結累計期間末の小売店舗数は191店舗、アウトレットを含む総店舗数は218店舗となりました。
連結子会社の状況については、株式会社コーエン(決算月:1月)、海外子会社の台湾聯合艾諾股份有限公司(決算月:1月)とも増収となりました。出退店については、株式会社コーエンは2店舗の出店、6店舗の退店により当第3四半期連結累計期間末の店舗数は83店舗、台湾聯合艾諾股份有限公司は1店舗の出店により当第3四半期連結累計期間末の店舗数は8店舗となっています。
以上により、グループ全体での新規出店数は6店舗、退店数は7店舗、当第3四半期連結累計期間末の店舗数は309店舗となりました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比10.6%増の96,093百万円となりました。売上総利益は前年同期比14.0%増の50,635百万円となり、売上総利益率は前年同期から1.6ポイント増の52.7%となりました。これは在庫の調達をコントロールし、値引きを抑制したことなどによるものです。販売費及び一般管理費は各項目で売上回復に伴う変動費の増などにより前年同期比4.0%増の44,247百万円となりました。
以上により、当第3四半期連結累計期間の営業利益は6,387百万円(前年同期比247.7%増)、経常利益は6,731百万円(前年同期比153.1%増)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は4,340百万円(前年同期比234.9%増)となりました。
(2) 財政状態の分析(資産)流動資産は、前連結会計年度末と比較して5,423百万円(14.1%)増加の43,898百万円となりました。これは、商品が2,719百万円、貯蔵品が150百万円、未収入金が3,793百万円、それぞれ増加した一方、現金及び預金が1,173百万円減少したことなどによります。固定資産は、前連結会計年度末と比較して2,054百万円(9.7%)減少の19,173百万円となりました。これは、基幹システム刷新に向けた準備などにより無形固定資産が138百万円増加した一方、不採算店舗の見極めによる減損損失の計上や減価償却などにより有形固定資産が442百万円減少したこと、店舗の退店により差入保証金が447百万円減少したこと、および繰延税金資産が1,143百万円減少したことなどによります。(負債)流動負債は、前連結会計年度末と比較して36百万円(0.1%)減少の25,401百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が1,322百万円、未払法人税等が249百万円、流動負債のその他が1,345百万円、それぞれ増加した一方、短期借入金が2,420百万円、未払金が633百万円、賞与引当金が236百万円、それぞれ減少したことなどによります。固定負債は、前連結会計年度末と比較して163百万円(3.9%)減少の4,033百万円となりました。これは、店舗の退店の決定に伴い資産除去債務を158百万円、流動負債に組替えたことになどよります。(純資産)純資産合計は、前連結会計年度末と比較して3,567百万円(11.9%)増加の33,637百万円となりました。これは、利益剰余金が親会社株主に帰属する四半期純利益により4,340百万円増加した一方、配当金の支払により683百万円減少したことなどによります。
(3)
キャッシュ・フローの状況の分析当第3四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ1,173百万円減少し、4,420百万円となりました。当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)当第3四半期連結累計期間における営業活動の結果得られた資金は3,827百万円(前年同期は702百万円の収入)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前四半期純利益6,432百万円、減価償却費653百万円、減損損失143百万円、仕入債務の増加額2,137百万円およびその他の流動負債の増加額1,238百万円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加額3,615百万円、棚卸資産の増加額2,869百万円、その他の流動資産の増加額60百万円であります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第3四半期連結累計期間における投資活動の結果使用した資金は1,792百万円(前年同期は617百万円の支出)となりました。これは主に、基幹システム刷新に向けた準備などに伴う無形固定資産の取得による支出541百万円、自社ネット通販サイトリニューアルに伴う長期前払費用の取得による支出1,324百万円があったこと等によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第3四半期連結累計期間における財務活動の結果使用した資金は3,075百万円(前年同期は1,781百万円の支出)となりました。これは、短期借入金の純減少額2,420百万円、および配当金の支払額655百万円があったこと等によるものであります。
(4)
事業上および財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当連結会社の事業上および財務上の対処すべき課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(5)
研究開発活動特記事項はありません。
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