【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期累計期間における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症収束を受けた社会経済活動の正常化や、インバウンド消費の回復を反映して景気は緩やかに持ち直しました。一方で、物価高騰やロシアによるウクライナ侵攻の長期化等の地政学リスク、欧米各国の金融引き締めの影響から世界経済に減速傾向が続いたこと等により先行きは極めて不透明な状況となりました。
原料とうもろこしのシカゴ相場は、期初657セント/ブッシェル台で始まりましたが、中国向けとうもろこし成約の取消やウクライナ産穀物の安全回廊延長を受けて、5月中旬には一時554セント/ブッシェル台迄値を下げました。その後、米国主産地の高温乾燥予報及び作柄報告の悪化から6月中旬には一時670セント/ブッシェル台迄値を上げましたが、主産地の降雨や米国農務省から新穀作付面積の上方修正が発表されると値を下げ、第1四半期平均では617セント/ブッシェル台となりました。
WTI原油相場は期初80ドル/バレル台で始まり、欧米利上げを受け景気後退感による需要減退観測や米国債務上限問題によるリスク回避の売りや、イラン核合意再建により原油供給が増加する見込み等から値を下げ、第1四半期平均では73ドル/バレル台となりました。
米国から日本までの穀物海上運賃は、期初53ドル/トン台で始まり荷動きが低調に推移し、船舶余剰感から値を下げ、第1四半期平均では49ドル/トン台となりました。
為替相場は、期初134円/ドル台で始まり、好調な米国経済指標等から米国金利上昇が継続する一方、本邦では金融緩和を継続し、日米金融政策の違いを背景にしたドル買いによる円安進行から値を上げ、第1四半期平均では138円/ドル台となりました。
販売面では、社会経済活動の正常化が進み、人流が回復したことで、観光、イベントといった分野でチラシ・パンフレットに使用される澱粉製品の需要が回復傾向であったものの、新聞、雑誌のデジタル化等の影響が色濃く、紙の生産量も減少が続いており、製紙向け澱粉の販売数量は前年同四半期に比べ減少しました。糖化製品は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の扱いが2類から5類への移行により人流が回復したことに加えて大型連休も天候に恵まれたものの、末端製品値上げ等による物価上昇の影響を受け一般消費者の節約志向が強まったことで飲料向けの販売数量は減少しました。一方で外食産業始めとする業務用需要は回復傾向であり、業務用途の販売数量は増加しましたが、糖化製品全体では販売数量が減少する結果となりました。なお、売上高については、原料とうもろこし及び原油相場高騰による製造費用上昇を背景とした製品価格の適正化に継続的に取組んだことから、澱粉製品、糖化製品いずれも前年同四半期に比べて増収となりました。
また、2023年5月に当社が保有していた株式会社サニーメイズの全株式の譲渡を行ったため、同社を関連会社から除外しております。これに伴い、関係会社株式売却益566百万円を特別利益として計上しております。
この結果、当第1四半期累計期間における当社の売上高は182億7千万円(前年同四半期比14.0%増)、営業利益は11億9千万円(前年同四半期比29.5%増)、経常利益は15億4千万円(前年同四半期比26.2%増)、四半期純利益は14億6千万円(前年同四半期比72.8%増)となりました。
次に、各部門の販売概況は以下のとおりであります。
(澱粉部門)
澱粉部門は、社会経済活動が再開したことにより食品向け澱粉需要は回復傾向にあるものの、製紙向け澱粉需要が全体的に減少したことを受け、澱粉製品の販売数量は減少しました。一方、原料や燃料の高騰を背景とした製品価格の適正化に継続的に取組んだことから、売上高は34億7千万円と前年同四半期比2億6千万円(8.3%)の増収となりました。
(糖化品部門)
糖化品部門は、経済再開により外出機会が増加したことで業務用販売が回復したものの、末端飲料製品の値上げと物価上昇による節約志向が強まった影響で販売数量は減少しました。売上高は、製品価格の適正化に継続して取組んだことから、売上高は118億6千万円と前年同四半期比17億円(16.8%)の増収となりました。
(ファインケミカル部門)
ファインケミカル部門は、社会経済活動の正常化が進んだ影響により国内向け製品販売も緩やかに回復、売上高は6億2千万円と前年同四半期比7千万円(13.8%)の増収となりました。
(副産物部門)
副産物部門は、前年と同様に穀物相場高に伴う価格上昇の影響を受け、売上高は23億1千万円と前年同四半期比1億9千万円(9.2%)の増収となりました。
(2)経営方針・経営戦略等
当第1四半期累計期間において当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期累計期間において新たに発生した優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題はありません。
(4)研究開発活動
当第1四半期累計期間の研究開発費の総額は46百万円であります。
(5)生産、受注及び販売の実績
当第1四半期累計期間において、前年に比べファインケミカル部門の生産高が著しく増加しております。主な要因は販売数量の増加による生産数量の増加等によるものです。
① 生産実績
当第1四半期累計期間における生産実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
事業部門の名称
生産高(百万円)
前年同四半期比(%)
澱粉部門
2,871
118.3
糖化品部門
11,661
118.1
ファインケミカル部門
660
151.8
副産物部門
2,298
112.6
合計
17,491
118.4
(注)金額は、販売価格によっております。
② 当社は受注生産を行っておりません。
③ 販売実績
当第1四半期累計期間における販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
事業部門の名称
販売高(百万円)
前年同四半期比(%)
澱粉部門
3,474
108.3
糖化品部門
11,869
116.8
ファインケミカル部門
622
113.8
副産物部門
2,311
109.2
合計
18,276
114.0