【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要① 経営成績の状況当連結会計年度(2022年1月1日~2022年12月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症予防に関する行動制限が減少し社会活動の正常化とともに一部景気回復の傾向がみられました。しかしながら、増減はあるものの新規感染者数が一定水準で推移したこと、ウクライナ危機を背景とした原材料価格やエネルギー価格の上昇、為替水準の大きな変動など依然として先行き不透明な状況が継続しております。 このような状況において、当社グループは生活上必要不可欠な容器-カタチ(容)あるウツワ(器)-をつうじて、お客様の商品である内容物の価値を安全に包み、さらにその価値と個性化を高め「世界の器文化に貢献」することを使命とし、お客様の求める商品価値の創造とより高い満足を目指して、Standoutなパッケージングソリューションを提供しております。
また、当社グループは自然に還りやすい「生分解性樹脂」の容器を開発して以来、植物由来のバイオマス原料やリサイクル原料を使用した製品、付替・詰替機能の付加により繰り返し使用できる製品、樹脂原材料の使用量を削減した製品など、資源循環型パッケージングカンパニーを目指して幅広くラインナップするとともに新たな容器開発も進めております。
業績面では資源循環型パッケージングのラインナップ、品揃えの充実をお客様から評価いただき、資源循環型パッケージング売上高は13億85百万円(前年同期比16.0%増)となりました。また、インドでは化粧品市場が大きく伸長し、新規顧客が増加したことにより売上高は2億70百万円(前年同期比86.3%増)となりました。一方、スタンダードボトルを軸とした開発提案型の営業活動を継続して行い新規案件の獲得にも努めたものの、化粧品市場の本格回復には至らず、国内売上高は113億90百万円(前年同期比5.1%減)となりました。また、中国国内においても、ゼロコロナ政策によるロックダウンが実施されたほか、12月初旬のゼロコロナ政策解除後も消費行動が著しく減退したことなどにより売上高は31億65百万円(前年同期比10.7%減)となりました。 また、損益面では、売上高の減少により、自社生産拠点の稼働率が低下し固定費負担率が上昇したこと、原油価格をはじめとした資源価格の値上がりに加えて、為替レートが一昨年比で円安に振れたことから、原材料価格、水道光熱費等の負担が増加しました。当社製品の販売価格見直しにも着手しましたが、当事業年度においてコスト増の影響を吸収するには至らず、営業利益は大幅に減少しました。一方で、為替レートが一昨年比で円安に振れたことから外貨建債権の為替換算の影響により為替差益が生じました。さらに中国子会社からの配当実施に関する経営方針の決定に伴い中国子会社の留保利益を対象として繰延税金負債を計上したことから法人税等調整額が増加しました。以上の結果、当連結会計年度の売上高は148億85百万円(前年同期比5.6%減)、連結営業利益は8億36百万円(前年同期比52.4%減)となりました。連結経常利益は9億8百万円(前年同期比50.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は3億68百万円(前年同期比69.1%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、63億68百万円(前年同期比0.7%減)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況については下記のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は、12億64百万円(前年同期比29.2%減)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益9億7百万円、減価償却費9億95百万円であり、支出の主な内訳は、法人税等の支払額5億74百万円であります。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果使用した資金は、8億3百万円(前年同期比50.9%増)となりました。支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出8億20百万円であります。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果使用した資金は、7億32百万円となりました。収入の主な内訳は、長期借入れによる収入5億円であり、支出の主な内訳は長期借入金の返済による支出7億93百万円、配当金の支払額4億38百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の状況当社グループは、容器事業の単一セグメントであるため、「生産、受注及び販売の状況」につきましてはセグメント別の記載を省略しております。(a) 生産実績当連結会計年度の生産実績を生産品目の分類ごとに示すと、次のとおりであります。
区分
生産高 (千円)
前年同期比 (%)
容器本体(ボトル、ジャー)
8,792,514
94.4
容器本体(押し出しチューブ)
1,176,270
104.9
容器付属品
3,767,616
96.4
合 計
13,736,401
95.8
(注) 1.金額は販売価格によっております。
(b) 受注状況当連結会計年度の受注実績を販売先の主要事業内容ごとに示すと、次のとおりであります。
区分
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高 (千円)
前年同期比(%)
化粧・美容
9,062,085
96.2
1,845,628
93.9
日用・雑貨
943,085
106.5
211,894
144.4
食品・健康食品
1,362,391
90.4
180,882
100.5
化学・医薬
822,730
73.5
168,457
97.9
卸、その他
3,050,226
90.4
466,524
83.9
合 計
15,240,519
93.5
2,873,388
95.1
(注) 1.上記区分は当社グループの販売品目である容器類について、販売先の主要事業内容により分類したものであります。販売先における容器等の用途と区分名称は異なる場合があります。
(c) 販売実績当連結会計年度の販売実績を販売先の主要事業内容ごとに示すと、次のとおりであります。
区分
売上高 (千円)
前年同期比 (%)
化粧・美容
8,938,091
100.4
日用・雑貨
845,829
90.9
食品・健康食品
1,335,114
90.8
化学・医薬
805,860
73.5
卸、その他
2,960,501
87.7
合 計
14,885,397
94.4
(注) 1.上記の区分は当社グループの販売品目である容器類について、販売先の主要事業内容により分類したものであります。販売先における実際の用途と上記区分名称は異なる場合があります。2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
売上高 (千円)
割合(%)
売上高 (千円)
割合(%)
日油株式会社
1,389,051
8.8
1,526,751
10.3
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、見積が必要な事項につきましては、会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積を行っております。 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。② 財政状態の分析(a)流動資産流動資産は、前連結会計年度末と比較して1億2百万円減少の117億18百万円となりました。主な変動要因は、現金及び預金が59百万円減少、受取手形及び売掛金が71百万円減少、商品及び製品が19百万円増加、原材料及び貯蔵品が48百万円増加したことによるものであります。(b)固定資産固定資産は、前連結会計年度末と比較して2億56百万円減少の69億円となりました。主な変動要因は、建物及び構築物(純額)が、1億87百万円減少、機械装置及び運搬具(純額)が1億97百万円減少、建設仮勘定が3億55百万円増加し繰延税金資産が1億30百万円減少したことによるものであります。(c)流動負債流動負債は、前連結会計年度末と比較して4億47百万円減少の40億19百万円となりました。主な変動要因は、支払手形及び買掛金が68百万円減少、電子記録債務が98百万円増加、未払法人税等が1億86百万円減少、流動負債の「その他」のうち、未払費用が1億94百万円減少したことによるものであります。(d)固定負債固定負債は、前連結会計年度末と比較して2億19百万円減少の33億10百万円となりました。主な変動要因は、長期借入金が2億40百万円減少したことによるものであります。(e)純資産純資産は、前連結会計年度末と比較して3億7百万円増加の112億88百万円となりました。主な変動要因は、親会社株主に帰属する当期純利益計上による利益剰余金が3億68百万円増加、為替換算調整勘定が3億60百万円増加、剰余金の配当が4億38百万円であったことによるものであります。③ 経営成績の分析(a)売上高当連結会計年度の売上高は、お客様の環境問題への意識の高まりから資源循環型パッケージングの伸長したことやインド国内の化粧品市場の拡大により新規顧客の増加もあったものの、日本国内においては新型コロナウイルス感染症拡大防止のための行動制限や第7波、第8波などの影響もあり化粧品の本格回復には至らなかったこと、また、中国国内においても、ゼロコロナ政策によるロックダウンにより消費活動が著しく減退したことにより、148億85百万円(前年同期比5.6%減)となりました。(b)売上総利益当連結会計年度の売上総利益は、連結売上高の減少により自社生産拠点の稼働率が低下し固定負担率が上昇したこと、原油価格の値上がりや円安の影響を受け原材料価格や水道光熱費の負担が増加したことにより41億7百万円(前年同期比17.5%減)と大きく減少し、売上総利益率は前連結会計年度の31.6%から27.6%と4.0ポイント減少いたしました。
(c)営業利益当連結会計年度の営業利益は粗利額が減少し、販売費及び一般管理費が32億71百万円(前年同期比1.5%増)と増加したことなどにより8億36百万円(前年同期比52.4%減)となりました。また、営業利益率は前連結会計年度の11.1%から5.6%と5.5ポイント減少いたしました。(d)経常利益当連結会計年度の経常利益は受取利息24百万円(前年同期比15.9%減)、助成金収入13百万円(前年同期比3.4%増)、為替差益18百万円などの営業外収益合計が89百万円(前年同期比10.1%減)となるとともに、支払利息14百万円(前年同期比2.1%減)などの営業外費用合計が16百万円(前年同期比1.2%減)となった結果、9億8百万円(前年同期比50.5%減)となり、経常利益率は前連結会計年度の11.6%から6.1%と5.5ポイント減少いたしました。(e)親会社株主に帰属する当期純利益当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、税金等調整前当期純利益の減少により法人税、住民税及び事業税が3億87百万円(前年同期比38.5%減)と減少したものの、海外子会社の配当方針の変更により中国子会社の留保利益を対象として繰延税金負債を計上したことから、3億68百万円(前年同期比69.1%減)となりました。④ 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループでは、中長期的な視点で企業価値を向上することが重要であると認識しており、売上高伸長率、売上高営業利益率、EBITDAマージン、及びROE(自己資本利益率)を主要な経営指標と位置付けております。当社グループでは、容器の企画、開発、スタンダードボトルを軸とした提案活動を積極的に展開するとともに、当社グループが提供可能な製品ラインナップをより一層拡充し新規案件の確保に努めましたが、化粧品市場の本格回復には至らず、当連結会計年度の売上高伸長率は前連結会計年度比5.6%減少となりました。また、売上高営業利益率は前連結会計年度比5.5ポイント減少の5.6%となりました。さらに、金型をはじめとする生産設備への投資も減少したため減価償却費が減少し比EBITDAマージンは前連結会計年度比5.2ポイント減少の12.3%となりました。また、ROEは親会社株主に帰属する当期純利益の大幅な減少により、前連結会計年度比8.4ポイント減少の3.3%となりました。今後も引き続き企業価値向上に努め、これらの指標を向上させるべく対応してまいります。⑤ 資本の財源及び資金の流動性に関する情報キャッシュ・フローの状況分析につきましては、「第2.事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。資金の源泉については、営業キャッシュ・フロー及び金融機関による長期借入(当連結会計年度では500百万円)であります。また、資金需要のうち、主なものは運転資金、設備投資資金、借入金の返済及び利息の支払い並びに配当金及び法人税の支払いであります。