【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の概況並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(1)経営成績当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)における世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、欧米でのインフレ加速による政策金利の引き上げ、中国でのゼロコロナ政策による経済停滞等により、緩やかな減速傾向となりました。わが国経済においては、サプライチェーンの混乱等による製造業の生産活動の遅れもあったものの、コロナ禍からの経済活動正常化等により底堅く推移しました。当社グループでは、サステナビリティ基本方針及び重要課題(マテリアリティ)を制定し、「明日のものづくりへの貢献」「地球環境に配慮した活動」に取り組んでおり、環境情報開示システムを提供する国際環境非営利団体であるCDPによる「気候変動」に対する取り組みや情報開示の評価において「B」評価を獲得し、UMI3号脱炭素投資事業有限責任組合(UMI脱炭素ファンド)に出資するなどして、当社の新規事業の創出及び当社取引先との協業等を図ることを目的とした取り組みと脱炭素分野を含めた気候変動に対する取り組みを強化してまいりました。また、従業員の心身の健康を守り、健全かつ柔軟な職場環境の整備に努めることが、事業活動を推進する上での重要な課題と認識し、健康経営優良法人認定制度において健康経営優良法人2023(大規模法人部門)に認定されるなどの取り組みも実施しております。当連結会計年度における業績につきましては、売上高は584,856百万円(前連結会計年度比18.3%増)となりました。営業利益は13,459百万円(同33.9%増)、経常利益は12,668百万円(同30.2%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は9,196百万円(同28.9%増)となりました。事業セグメント別の主な営業状況は、以下のとおりであります。
①鉄鋼鋼板製品・特殊鋼製品の取扱量については、造船・建築分野での需要が堅調に推移したものの、自動車関連向けは半導体不足等が続く中で生産台数の回復が進まず減少し、鋼板製品・特殊鋼製品とも取り扱い数量が減少しました。一方で、鋼材価格が上昇したことにより、増収増益となりました。これらにより、鉄鋼セグメントの売上高は238,585百万円(前連結会計年度比18.3%増)となり、セグメント利益は5,140百万円(同24.4%増)となりました。
②鉄鋼原料神戸製鋼所向け主原料や冷鉄源の取扱量の増加、原料価格が上昇したことにより、増収増益となりました。これらにより、鉄鋼原料セグメントの売上高は64,535百万円(前連結会計年度比42.6%増)となり、セグメント利益は1,498百万円(同108.5%増)となりました。
③非鉄金属自動車向け・半導体向けアルミ板条や非鉄原料取扱量増等によって増収となるも、自動車端子向け銅板条や空調向け銅管の取扱量減等により、減益となりました。これらにより、非鉄金属セグメントの売上高は194,480百万円(前連結会計年度比15.4%増)となりましたが、セグメント利益は2,675百万円(同11.8%減)となりました。
④機械・情報国内外で建設機械部品等の取扱量が増え、また、国内向け回転機も本体・メンテナンスともに取扱いが増えたことに加え、国内子会社の業績好調もあり、増収増益となりました。これらにより、機械・情報セグメントの売上高は58,143百万円(前連結会計年度比4.9%増)となり、セグメント利益は2,170百万円(同37.1%増)となりました。
⑤溶材国内の造船・建築向けや海外の造船向けの取扱量が堅調に推移し、溶接材料価格も上昇したことにより、増収増益となりました。これらにより、溶材セグメントの売上高は28,870百万円(前連結会計年度比23.8%増)となり、セグメント利益は804百万円(同148.0%増)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。販売の状況につきましては、各セグメントの業績に関連付けて示しております。なお、主要な相手先別販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
㈱神戸製鋼所
27,454
5.6
32,771
5.6
(2)財政状態(流動資産)当連結会計年度末における流動資産は343,466百万円となり、前連結会計年度末比26,862百万円増加いたしました。これは、商品及び製品の増加が主な要因であります。(固定資産)当連結会計年度末における固定資産は51,625百万円となり、前連結会計年度末比4,200百万円増加いたしました。これは、時価変動による投資有価証券の増加が主な要因であります。(流動負債)当連結会計年度末における流動負債は297,884百万円となり、前連結会計年度末比18,563百万円増加いたしました。これは、支払手形及び買掛金と預り金の増加が主な要因であります。(固定負債)当連結会計年度末における固定負債は23,311百万円となり、前連結会計年度末比2,356百万円増加いたしました。これは、長期借入金の増加が主な要因であります。(純資産)当連結会計年度末における純資産は73,896百万円となり、前連結会計年度末比10,143百万円増加いたしました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上と為替相場の円安に伴い為替換算調整勘定が増加したことが主な要因であります。
(3)キャッシュ・フロー当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2,597百万円減少し、12,800百万円となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、7,664百万円(前連結会計年度は9,279百万円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益13,571百万円、棚卸資産の増加額19,827百万円によるものです。(投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、△1,523百万円(前連結会計年度は806百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,108百万円によるものです。(財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、△9,188百万円(前連結会計年度は4,068百万円の収入)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出7,925百万円によるものです。
(4)資本の財源及び資金の流動性当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部留保、売上債権流動化及び借入により資金調達することとしております。このうち、借入金に関しましては、運転資金は主に短期借入金で、設備などの固定資産は主に固定金利の長期借入金で調達しております。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するに当たり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。その他重要な会計方針につきましては、「第5経理の状況[注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。